マンション修繕積立金の見直し、あるある事例と注意点

  • Update: 2018-08-24
マンション修繕積立金の見直し、あるある事例と注意点

最近、タワーマンションの修繕積立金不足、マンションのスラム化問題などがメディアで取り上げられています。

築年数の浅いマンションにお住まいの方はピンと来ない方がほとんどでしょう。

ですが、さくら事務所で以前、管理会社が作成したタワーマンションの60年分の長期修繕計画を確認したところ、竣工後60年にかかる費用をざっくり見積もった結果、戸当たり2200万円という計算になりました。

2200万円を60年(720ヶ月)で単純に割っても、月々3万円以上の負担です。

タワーマンションは一般的なマンションに比べ防災設備など維持に費用が掛かりますのでちょっと特殊ではありますが、マンションの修繕は最初の30年と次の30年で掛かる費用は大きく変わってくるのです。少なく見積もっても1.5倍にはなるでしょう。今後もずっと最初の30年を繰り返していく、というわけにはいかないのです。

築年数の浅いマンションでも、修繕積立金の見直しについては早めの対応が肝心です。

修繕積立金と併せて見直すべきもの

では、実際に修繕積立金を見直す際、皆さんはどのように行うのでしょうか?

A、長期修繕計画に基づき、見直しを提案

まずは、今ある長期修繕計画に基づいて必要となる金額を計算し、見直しを提案するパターン

B、長期修繕計画見直しを行い、見直しを提案

そもそもの新築時の長期修繕計画に問題はないのか?今あるものものの信憑性がないとそれに基づいて計算しても意味がない、という考えから、長期修繕計画の見直しに先に着手される管理組合も。

C、管理費見直しを行い、見直しを提案

ただの見直しだけではなく、他に削れるところはないか?ムダに支払っているものはないか?を考えるパターンです。

管理費に見直しはないかを同時に見直し、無駄があれば精査してから修繕積立金の見直しを考えるという流れです。

D、長期修繕計画+管理費の見直しを行い、見直しを提案

最近多いのがこのケースです。

長期修繕計画、管理費のいずれも見直し・検証を行い、内容に問題がないことを確認(あれば是正)してから修繕積立金の見直しをしようという考え方です。

修繕積立金の見直しでよくある事例

1)できれば先送りしたい・・・

近々困る問題でもないのに、月々の出費が増えるのですから、先送りできるものであれば先送りしたい、と思う気持ちもわかるような気もしますが、このようなことを続けていくと次の方もきっとそのまま先送りするでしょう。

どんなに先送りしても、将来的に掛かる積立金は変わりません。

先々の負担が大きくなるだけで、先送りしてもだれも得することはありません・・・。

2)きっと反対される、という思い込み

先送りしたくないと理事の方が思われる理由の1つに、住民の反感を買うのでは?という懸念があるかもしれません。

ところが、この「修繕積立金の見直し(増額)は反対される」というのも思い込みかもしれません。

早めに見直して、年金生活になったときに負担がいくらになるかわからないという不安を払拭したいと考える人もいます。

また、早い時期に見直しを行い将来的に不安のない適切な金額を積み立てているマンションは、マンション管理が適切にされているとも考えられますので、資産価値が上がるという実例も最近では耳にします。

具体的には、中古マンション購入時、マンション管理の実態や将来性を比較検討の材料に加えている方が増えているのです。こういった購入検討者は今後ますます増えていくでしょう。

今の居住者、これからマンションを買おうと思う方のためにも、早い段階で適正な価格まで修繕積立金をしっかり上げることが重要です。

3)そもそもその根拠となる長期修繕計画への疑念

そもそも、計算のもとになる長期修繕計画は妥当なものなのか?という声もあるでしょう。

やはり見直しの際に、根拠となる長期修繕計画も併せて見直しておくといいでしょう。

新築時は、修繕積立金を低く抑えるために現実的でないような長期修繕計画が立てられているケースも残念ながらあります。

そこまでいかずとも、大事な要素が抜けていたり、数字が違っていた、なんてことは珍しくありません。

これを機に、外部のプロに見てもらい、確固たる根拠のもと、見直しを提案するのもいいでしょう。

4)見直しする際の説明が曖昧

見直しを提案する際、何の根拠もなく「今回上げれば今後ずっと上げなくても大丈夫です」なんて説明をしては絶対にいけません。

30年後までしか計算していないのに、ずっと見直しが必要のないかのような説明では、先の数十年後に見直しが必要になった際に問題になるでしょう。

「何年後まで見直し(増額)は必要ありません」と根拠に基づいて、丁寧に説明しましょう。

5)必要になったら一時金を集めればいい?

居住者の中には「次の修繕工事に間に合う分だけぎりぎりあればいいじゃない」と考える人もいるかもしれません。

今から慌てて集めなくても、必要になったら一時金で集めればいい、と考えているのです。

ところが、この一時金、そう簡単に集まるものではありません。

人によってお金の価値観はさまざまですし、その世帯によってもお金が掛かるタイミングは異なります。

マンションでは、こういったとき、誰かを置いてけぼりにしてはいけません。将来的にこういった負担に耐えられない居住者を出さないように、計画的に考えていく必要があるのです。

長期修繕計画、管理費等の見直しと併せ、根拠をもとに居住者に丁寧に説明して、適切な価格に見直しするというのがベストなやり方でしょう。

外部のプロに相談してみてもいいでしょう。見直すべき点が他にも浮かび上がるかもしれません。


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【監修】さくら事務所マンション管理コンサルタント(マンション管理士)

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