マンションのサッシ交換、費用は?タイミングは?押さえておきたいポイントを解説

  • Update: 2022-01-12
マンションのサッシ交換、費用は?タイミングは?押さえておきたいポイントを解説
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株式会社さくら事務所

一定の築年数を経たマンションでのお悩みとして多いのが「窓(サッシ)の交換」。

20年、30年と過ごすうち、マンションのお部屋うちでもさまざまな不具合が出てくるでしょう。

もちろんサッシも同様で、経年や使い勝手によって変形や摩耗するなど、開閉に支障をきたすケースもあります。

築年数によっては「エアコンをつけてもなかなか暖まらない、涼しくならない」「結露してカビが生えやすい」「外部の音が気になる」「クレッセントが傷んでかかりにくい」というお悩みもあるかもしれません。

ここでは、マンション管理士がマンションのサッシの交換について知っておきたいいくつかのポイントをご紹介します。

各住戸のサッシ(窓)は専有部分ではなく、共用部分

個々で皆さんが住まわれているお部屋の中(専有部内)のリフォームは、管理規約のルールにのっとって、個人で行うことができます。しかし分譲マンションの窓(サッシ)は共用部の扱いになるため、実はリフォームと同じように勝手に交換することはできません。

基本的には外壁やそのほかの共用部の修繕と同様に、マンション管理組合として決議をおこなう必要があります。ただしお住まいのマンションの管理規約や使用細則に記載がある場合は、個別にサッシを取り替えることが可能な場合があります。

それぞれで状況が異なるため、管理規約や使用細則の確認、理事会への確認をおすすめします。個別でサッシを交換する場合は、交換出来るサッシメーカーや型番が指定されている場合があり、自費での交換となります。ただし災害などでガラス等が破損した場合は、災害である証明ができれば管理組合の保険や経費で取替可能です。

なぜサッシ交換は必要? サッシ交換で何が変わるの?

もとのサッシ(窓)の仕様・耐用年数にもよりますが、大多数の住戸で開閉がスムーズにできず生活に支障をきたすようになってき声などをきっかけに、サッシ(窓)の交換が検討されます。基本的にサッシの耐用年数は竣工後40年以上経過したマンションが対象になってくる場合が多いと言われています。

サッシ交換を検討するケースは、結露や騒音といった問題が生じた場合が多いです。また先に挙げたようなサッシの建付けが悪くなったことにより、隙間風が生じるケースがあります。施錠するためのクレッセント錠の交換に際し費用が高額になるケースもあります(2万円など)。さらにはすでに交換用の部品が既に製造中止となり、欠品になっているケースも考えられます。

一般的にサッシの交換にあたっては、基本的に「カバー工法」という手法がとられます。
カバー工法とは既存サッシのレール枠の上に、新たな枠を取り付ける方法です。ベランダから部屋のあいだがフラットなタイプのサッシの場合は、「カバー工法」でサッシ交換をした場合は、部屋の外と内とは段差が出来、サッシの枠(レール)を跨ぐようなイメージになります。

超高層タワーマンションに対応するようなカバー工法は現在はありません。そのため超高層タワーマンションで一般的なマンションで行われるような「カバー工法」は流用出来ませんし、仮に流用した場合は不具合の原因にしかならないため絶対に行わないでください。

☆つまり超高層タワーマンションでは現状サッシ交換の工法は確立されていません。

サッシを最新のものに交換することで、断熱性や気密性、遮音性などの性能は向上しますが、サッシの交換だけでは狙った意図は達成されない場合もあります。つまり断熱性・気密性・遮音性をしっかりと向上させる意図がある場合は、サッシの交換と合わせて、玄関ドアの交換、コンクリート壁の断熱や遮音も検討するべきです。竣工から25年程度以内のマンションであれば壁の断熱性能は問題ない可能性が高いですが、それ以上の築年数だった場合は、壁の断熱が十分でない可能性も考えられます。またサッシの交換等で気密性が高まる結果、品確法で24時間の換気が義務付けられる前のマンションについては、サッシ交換をすることで結露を招く場合もあり注意が必要です。

サッシ交換の費用は? 費用は長期修繕計画に入ってる?

次にお金の問題です。

まずは、サッシの交換がそもそも長期修繕計画に含まれているか?将来的に計画されているか?を確認しましょう。もし含まれていなかった場合は、交換のためにこれまで積み立ててきた修繕積立金とは別に費用を積み立てる必要があります。

サッシの交換について、長期修繕計画に含まれていないケースも多々あります。このとき、問題になるのは、長期修繕計画に入っていると思っていた(別途交換に費用が必要と思っていなかった)場合です。

上記のような場合、生活に影響が出るほどの経年がすすみ交換を検討した際、修繕積立金の不足に追い打ちをかける可能性もあります。

長期修繕計画にサッシ交換が入っていないこと自体は、組合の考えに基づき合理的な理由があれば問題ではありません。

長期修繕計画に含まないのであれば、その旨をはっきりと長期修繕計画に記載しておき、誤解のないようにしておけばいいでしょう。また不明な場合は管理組合などに有無を確認することをおすすめします。

サッシ交換の標準的な費用は?

カバー工法・・・170~180cmの足元からサッシの場合で20万円前後
        ウエストの上から窓の場合で12~15万円前後

ちなみに
玄関ドア交換・・・断熱性能のないドアの交換で15万円前後
         断熱性能のあるドアの交換だと25万円~30万円

※玄関ドアの交換も長期修繕計画に含まれている場合と含まれていない場合があるので確認が必要になってきます。

☆断熱性・気密性をしっかりと上げることを想定して交換をする場合、サッシと玄関ドアはセットで交換する必要があります。

標準管理規約では個人でのサッシ交換も可能に

2004年に改正されたマンション標準管理規約(多くのマンションで管理規約のひな型とされています)では、各区分所有者の負担・責任において実施することも細則として定めることができる、としています。

マンション標準管理規約22条(窓ガラス等の改良)の第2項

区分所有者は、管理組合が前項の工事を速やかに実施できない場合には、あらかじめ理事長に申請して書面による承認を受けることにより、当該工事を各当該区分所有者の責任と負担において実施することができる。

 

【同コメント】

第2項は、開口部の改良工事については、治安上の問題を踏まえた防犯性能の向上や、結露から発生したカビやダニによるいわゆるシックハウス問題を改善するための断熱性の向上等、一棟全戸ではなく一部の住戸において緊急かつ重大な必要性が生じる場合もあり得ることに鑑み、計画修繕によりただちに開口部の改良を行うことが困難な場合には、専有部分の修繕等における手続と同様の手続により、各区分所有者の責任と負担において工事を行うことができるよう規定したものである。

ただし、他リフォーム同様、交換にあたっては仕様など一定のルールを定めておく必要があるでしょう。実際に個別でサッシ交換を行う場合は、後の全戸交換の際に、かかるはずだったその住戸の交換費用を案分してお支払いするケースもあります。

【同コメント】内でひとつ注意する必要があります。サッシ交換をすることで断熱性とともに気密性も上がる結果、逆にシックハウス症候群の原因となる可能性があります。そのため各マンションの竣工年から経過した年数など、各々に対応した対策を総合的に判断する必要があります。

サッシ交換工事にあたり、在宅の協力が得られない住戸への対策

サッシ交換には所有者・居住者に在宅していただく必要があります。

交換工事に反対の住戸や、空室になっている住戸の対処法も検討しておきましょう。

例えばお部屋うちを見られるのが嫌、そこまでしてうちは必要ない、とどうしても理解が得られない場合、その住戸の所有者に対して、将来的にサッシの交換がどうしても必要になった場合の対処(自費で実施することに関して)について、覚書などを交わしておくといいでしょう。※この場合基本的に故障による交換も同じように自費で行わなければなりません。

過去の例では、賃借人が入室を許可してくれず、結局その部屋の交換ができずに、後日そのお部屋のオーナーが賃借人の退去後に取り付け費用のみ自身が負担して(保管していたサッシの)交換工事を行った、というケースもありました。

また、所有者がお住まいのケースであっても、作業の日程確認など管理会社や管理組合が行う場合がありますが、空室の住戸の場合、お部屋の中から交換工事ができるよう(お部屋の鍵を開けてもらえるよう)所有者に連絡をとる必要があります。

サッシ交換はいつやる? 大規模修繕工事と一緒がいいの?

大規模修繕工事と一緒にやるかどうか?という問題もあるかと思います。

「サッシ交換は3回目の大規模修繕工事で行いましょう」というアドバイスをするケースもあるようですが、実際、サッシの交換はお部屋うちから交換するので足場がなくても交換は可能ですので、必ずしも大規模修繕工事と一緒に行う必要性はありません。

しかし、大規模修繕工事と同時に行うメリットとしては、工事に伴う様々な調整などが一本化できる、総会での議案・決議など面倒なことが一回で済むこと、などがあります。また大規模修繕工事と一緒でサッシ交換をする場合は、外側から工事出来るものは同時に工事することが出来るため、内側からの工事が時期によっては日常生活に支障が出ることもあり得ることを考えると、予算的に問題無く、皆さんも賛成しているなら1回で済ませることも1つの方法です。

しかしサッシ交換だけを単独で考えてもあまり意味がありません。サッシ交換だけ部分的な刷新を考えるのではなくトータルで検証しなければ意味がありません。サッシ交換と同じ時期にたとえば断熱性の観点でいえば、内断熱ならば外断熱改修への変更についても検討の余地があるかもしれません。

マンションの長期修繕計画に玄関やサッシの交換費用を入れるのか入れないか、目安の時期よりも早くやるべきかどうかも考慮に入れるべきです。ちなみにサッシとドアを交換すると約100万円/1戸程度の費用発生が見込まれます。

実際にサッシやドアの交換で約100万円掛かる費用を考えた場合、さくら事務所が提唱している修繕周期を長くすることでコスト軽減を図れる可能性があります。現在標準的と言われている12年周期を18年周期に変更することを検討してはいかがでしょうか。

仮に従来の長期修繕計画の予算枠組みのなかでサッシや玄関の交換費用が入っていない場合でも、12年から18年へ建築工事の大規模修繕工事周期を伸ばすことで、修繕コストを削減することが出来るので、いままでの予算枠で交換コストを含められる場合があります。

ご参考:【長周期化】大規模修繕工事 これからの修繕周期は18年!

マンション全体で共通の認識をもつことが重要

サッシの交換については、(竣工時期などにより)既存のものの性能の違いもあり、大規模修繕工事のように「だいたいいつこの方法でやらなければならない」というものでもありません。

それゆえに「いつやればいいのか?」「やるべきなのか?」と悩んでしまうマンションもあるかと思います。

「将来的にこの建物を何年くらい使うつもりなのか?」といった問題同様に、サッシについてもマンション全体で将来に向けた共通の認識を持っておくことが重要です。

ただ常日頃からメンテナンスを心がけることが最善です。たとえば定期的にサッシを清掃したり、サッシ屋さんにサッシを調整してもらうことも賢明です。

管理組合によってはマンションでついているタイプのサッシが同じ場合があるので、消耗品を一定数量買っておくことでストックしておくと結果的にコストを削減することが可能です。消耗品であるサッシの滑車や戸車、パッキン、クレッセント錠はメーカーが欠品になる前に一定数量ストックしておくことで補修で対応出来る場合があります。

あらかじめ日々のメンテナンスやストックをしておくことも非常に重要な要素となります。また気密性や断熱性・遮音性の向上は、それに特化した専門家もおります。大規模修繕工事のコンサルタントでも、断熱改修に特化した専門家もおりますので、日々のメンテナンスなどのアドバイスも含めて、専門家に相談することも一考の余地があるので、お気軽にご連絡ください。

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ホームインスペクション(住宅診断)をはじめとする個人向け不動産コンサルティングや管理組合向けコンサルティングを行っている。400を超えるマンション管理組合のコンサルティング実績をもち、大規模修繕工事や長期修繕計画の見直し、瑕疵トラブルなどの管理組合サポートサービスを提供している。

【監修】さくら事務所マンション管理コンサルタント(マンション管理士)

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