建物の劣化だけじゃない、マンションに迫る3つの劣化

  • Update: 2018-11-28
建物の劣化だけじゃない、マンションに迫る3つの劣化

この記事はマンション管理士/一級建築士などの専門家が監修しています

マンションの劣化、というと建物そのものの劣化を思われるかもしれませんが、マンションに訪れる劣化はそれだけではありません。

古いマンションに伺うと、玄関周りや薄いサッシ、給排水設備などところどころに時代を感じるような、新築マンションとの違いを感じますよね。

ここで感じるのは、「機能的劣化」や「社会的劣化」。

マンションは、その躯体をつくるコンクリートの耐久性から、設備機器を全部リニューアルしていけば100年以上使用することも、決して難しいお話ではありません。

定期的な補修をしていけば物理的劣化はある程度抑えることができるでしょう。

ですが、マンションには「物理的劣化」に加えて、「機能的劣化」「社会的劣化」が起こるのです。

ここでは、マンションに訪れる3つの劣化とその備え方について、さくら事務所のマンション管理士が解説します。

新築時の付加価値が失われる「機能的劣化」

「機能的な劣化」とはつまり、新築時には最新であった設備や機器が、技術の進歩により、優れた機能を持つものにとってかわられ、そのマンションの付加価値が下がってしまっていることを指します。

例えば、給排水。

昔のマンションでは、給排水管(特に排水管)が下の階の天井裏に通っているケースがほとんどでした。

最近のマンションでは床下(下階のコンクリートの天井と部屋の床のコンクリートの間)で処理されることが多いのですが、昭和40年代のマンションですと、床下で処理するような技術がまだなかったことから、コンクリートの床に空けた穴に、上の階のお風呂やキッチン、お手洗いの排水管が下の階の天井裏に通っているのです。

ここで問題になるのが、リフォームや漏水事故。

排水管がその住戸ではなく、下階の住戸に通っているので、排水管が絡むリフォーム工事では下階にお住まいの方に多大な協力をお願いしなければなりません。こうなると実際のところ排水管の絡む大掛かりなリフォーム工事は難しくなります。

漏水事故が起きた場合も、自分の住戸ではなく、下階の住戸にお住まいの方が被害を被ることになります。

変わりゆくライフスタイル、ニーズについていけない「社会的劣化」

マンションは建物も経年していきますが、居住者も同じです。

お住まいの方のライフスタイルも時代とともに変わってきますので、そのときのライフスタイルに求められるニーズについていけず、利用価値が下がってしまうケースがあります。

代表的な例が、バリアフリーでしょう。

最近のマンションでは、バリアフリーがもう当たり前のようになっていますが、昭和40年代に分譲されたようなマンションでは、4階建て、5階建てでもエレベーターがついていないものも珍しくありません。

シニアの方にとって、毎日の暮らしの中で4階、5階の階段を上り下りするのは大変な負担ですが、エレベーターを後から設置するといった例はごく一部のマンションでしか実現していません。

3つの劣化に対応した長期修繕計画づくりを

マンションのライフプランともいえる長期修繕計画ですが、多くのマンションでは、建物の「物理的劣化」しか織り込まれていません。

機能的劣化や社会的劣化への対応が不十分なのです。

「時代遅れになってしまった設備の取り換え」や「新しい通信インフラへの対応」そういったところへの費用を見込んでいる長期修繕計画はほとんどありません。

とはいえ、時がくれば対応しないわけにもいきません。ですが、

建物が使えても利用価値や付加価値といったものが全然なければ、中古マンション市場での流通性を期待することはできませんので、資産価値にも影響すると考えることができます。

建物を健全な状態に保ち、快適に住める環境を長期間維持できるように「機能的劣化」「社会的劣化」の観点からも、長期修繕計画の見直しをおすすめします。

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鬼塚 竜司
監修者

鬼塚 竜司

新築工事にてマンションや複合施設の給排水および空調設備の工事管理を経験後、マンション管理会社の修繕工事部門にて、工事企画及び工事管理を14年間経験(管理職含む)。大規模修繕80棟以上、給排水管更生更新30棟以上、窓サッシ改修工事等補助金対応工事10棟以上、機械式駐車場入替、インターホン改修工事など、マンション全般の工事を経験。長期修繕計画の作成500回以上。2021年6月株式会社さくら事務所へ参画。