マンションの修繕積立金、「目安」とされるガイドラインとは?

  • Update: 2020-05-15
マンションの修繕積立金、「目安」とされるガイドラインとは?

マンション修繕積立金とは、長期的に建物の健全な状態を維持すべく、そのための資金を区分所有者で計画的に積み立てていくお金であり、マンションで長く安心して住むために欠かせないものです。

その重要性も広く伝えられ、中古マンション購入者の間でも修繕積立金を意識する方、お住まいのマンションでの修繕積立金の金額について見直したいという方がいます。

とはいえ、修繕積立金が適正な金額かどうか、ぱっと見で判断することは不可能です。

そこで、国のだす具体的な数字として、国土交通省の「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」の数字を目安にされる方もいらっしゃるかもしれません。

結論から言ってしまえば、あくまで目安、参考程度に見ていただきたいと思いますが、そもそもこのガイドラインはどのようなものなのでしょうか?

修繕積立金のガイドラインと注意点についてさくら事務所のマンション管理士が解説します。

マンションの修繕積立金に関するガイドラインとは

そもそも「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」とはどのようなものなのでしょうか?

国土交通省が2011年に発表したものであり、その活用方法については、「分譲事業者から提示された修繕積立金の額の水準について、購入予定者が判断する際の参考になるよう」また「見直しの必要性や見直し後の修繕積立金の概ねの水準について、区分所有者間の合意形成がより促進される」ことを期待して作成したとされています。

マンションの修繕積立金に関するガイドライン(平成23年4月 国土交通省)

修繕積立金の目安となる金額が示されている

本ガイドラインでは、実際に作成された長期修繕計画の事例を収集し、その事例の「平均値」と「事例の大部分が収まるような幅」として、修繕積立金の目安を専有面積の㎡ごとに金額で示しています。

具体的に収集された事例とその算出は、大まかにいって以下のようになります。

①自らの居住を目的としたマンション

②長期修繕計画作成ガイドラインに沿って作成された長期修繕計画

③新築時から30年間に必要な修繕工事費の総額を均等に積み立てる方式

また、マンションに機械式駐車場がある場合は、修繕工事に多額の費用を要し、修繕積立金に大きく影響することから、機械式駐車場に係る修繕積立金は特殊要因として別に加算する仕組みとしています。

修繕積立金ガイドラインの計算方法

上記の方法で収集・計算された金額は、階数と建築延床面積ごとに、【15階未満】「5,000 ㎡未満」「5,000~10,000 ㎡」「10,000 ㎡以上」と【20階以上】の4つの区分で平均値と幅が示されています。

修繕積立金のガイドラインガイドラインにもあるように個々のマンションごとに様々な要因によって変動しばらつきも多いことから、平均値の他に、事例の大部分が収まるような範囲を示す「事例の 3 分の 2 が包含される幅」があわせて示されています。

修繕積立金ガイドラインを目安にする際の注意点

サンプル数があまり多くない

あくまで参考・目安にとありますが、いくつか注意点があります。

ガイドライン作成にあたり収集されたマンション長期修繕計画はわずか84件。

また、規模別にみるとそれぞれ14~30件のサンプリングとなることが資料からわかります。

2011年時点(かそれ以前?)での修繕費用で算出されている

少し古い調査資料などはあるものの改修工事に特化した適切な指数が見当たらないことから、比較的近似な動きをすると思われる新築時の仕上げ工事の指数で比較すると、(1.19/0.963≒)1.23倍にもなっています。

2011年3月(ガイドライン公開) 「96.7」

2020年1月(最新)       「119.0」

【参考】一般社団法人 建設物価調査会「建築費指数」(平成17年=100)

長期修繕計画の期間が30年

一般的に、マンションの修繕で費用が掛かってくるのは、最初の30年を超えたことろです。

築35~40年目辺りに修繕コストピークがあるにもかかわらず、長期修繕計画のガイドラインでは、新築時は30年でも一般的に見直した時点から25年程度しか計画期間に含まれておらず、計画期間として切り取る年度によって必要積立額が変動してしまっています。

さくら事務所では、計画更新業務を担う管理会社から協力を得られた場合には、それを見越した、築60年目までを計画期間に含めた超長期修繕計画の作成をお勧めしています。

修繕積立金の変動要因は他にもある

上記に加え、ガイドラインには修繕積立金の変動要因として、以下のようなものが挙げられています。(概略抜粋)

・建物等の形状や規模、立地、共用施設の有無等

・仕上げ材や設備の仕様

・区分所有者の機能向上に対するニーズ

個々のマンションの規模や設備仕様はもちろん、「居住者がどんな修繕計画を望むのか?」によっても、変わってくるのです。

さらにいえば、もっとも大きな変動要素に、一時金徴収が計画されているケースや駐車場使用料の管理費会計への繰入れがあります。

本来、その収支が対応するように、駐車場修繕コスト分だけが修繕積立金会計に繰り入れられ、ランニングコストと剰余分が管理費会計に繰り入れられるべきと考えるのですが、現実はそうなってはいません。

修繕積立金のガイドラインはあくまで目安として考える

なんら基準の無かったところに、この「平均値」が提示されたことは、画期的なことでした。

ただ、大きな社会環境の変化を経た現在に至っては、結論、あくまで「参考値」程度の意味付けしかなく、それを超えているとしても、必要な積立額を充足していることをまったく約束していません。

また、「毎月いくらを積み立てているのか?」も重要ですが、「マンションとして戸当たりどれほどの修繕積立金残高を有しているか?」「積立計画(理想)と積立残高(現実)に乖離がないか?」もチェックポイントになるかもしれません。

マンション全体で考えるビジョンとそれに即した長期修繕計画であり、「実現するための資金計画に問題がないか?」が重要で、いざという時に足りないでは困る積立金の計画ですから、「保守的」な計画であることも大切です。

お住まいのマンションの長期修繕計画について、気になる方はまずは「長期修繕計画無料簡易チェック」をご利用ください。

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