長嶋修が解説!マンションの建て替え可否を分ける7つのポイント

  • Update: 2019-07-17
長嶋修が解説!マンションの建て替え可否を分ける7つのポイント

多くのマンションは、これから建物と住民の深刻な「2つの老い」に直面していくことになるでしょう。

これから、圧倒的な人口ボリュームゾーンである段階の世代が後期高齢者を迎えるころには、築50年を超えるマンションも国内で32万戸を超え、「廃墟マンション」と呼ばれるマンションも出てくるでしょう。

建物はボロボロなのに修繕積立金は枯渇し、必要な建物修繕がままならない、とはいえ年金暮らしが多数を占めるような高経年マンションでは、修繕積立金の大幅値上げや一時金徴収といった方策をとれず、まさに「八方ふさがり」・・・。

では、これから深刻化するであろう、マンションの空き家問題、廃墟化問題解決のため、「建て替え」という選択肢はどうなのでしょうか?

「賛成4分の3で建て替え実現」はあくまで理論上の話

結論から言ってしまえば、残念ながらこれもほとんどのケースでは期待できません。

これまでに行われたマンションの建て替えは、前述の通り17年4月1日時点で、実施準備中のものまで含めてわずか268例と、マンションストックの0.0004%。

建て替えの際にネックになるのが古い建物の解体費や新築の建設費、諸費用、引っ越し費用といった資金です。

とはいえ、所有者全員が足並みをそろえて多額の費用を出すのは容易でありません。

確かに、理論上、5分の4の賛成があれば建て替えは可能です。

反対する人の権利を買い取ったり(売り渡し請求)、権利分を保証金として渡し清算するといったことも可能です。

しかし現実問題として、実際の現場では、買い取り価格を吊り上げられたり、「ここで一生を終える」とおっしゃる高齢の方がいて交渉が長引いてしまったり、建物の老朽化を賃貸契約解消の正当事由としない借地借家法が立ちはだかり、賃貸人がなかなか出ていかない、そもそも建て替え費用が捻出できない、など、様々な事情がマンションの建て替えを阻むでしょう。

これまでに建て替えが実現した多くのマンションの共通点

実は、これまでに建て替えが実現したマンションのほとんどは、容積率が余っていたために以前より大きな建物を建てることができ、余剰分を売却することによって建て替え資金を捻出できたケースです。

こうした手法は、建て替えに携わる事業者にとって、「建て替え後に引き取った住戸が市場で売れるかどうか」で決まります。

つまり事業者がリスクをとって事業を行えるという前提があって初めて成立する手法でもあるため、立地的に販売が難しいと事業者が判断すれば実現しないのです。

マンション立地に対する評価は時間の経過とともにますます厳しくなっています。

昨今の新築マンション市場は「都心」「駅前・駅近」「一等立地」「大規模」「タワー」といったワードに代表されるマンションが主流を占めます。

「駅遠」「郊外」「小規模」といったマンションは極端に減りました。

この傾向は今後さらに顕著になるでしょう。

事業採算性に見合う立地にないマンションにとっては、建て替えなど夢のまた夢です。

建て替えが可能となるマンションは、「現在よりも大きな建物を建てることができるか、今後その見込みがある」「新築・中古を問わずマンションの需要が根強い地域である」という特徴があります。

建て替えの可否を左右する、7つのチェックポイント

以下の項目のうち、5つ以上満たせるならば、建て替えができる可能性は高く、3つ以下なら建て替え可能性はほとんどないといっていいと思います。

  • 低層で、建て替える場合には現在の2倍以上の面積の建物を建築可能。
  • 複数の棟で構成された、総戸数が2 0 0戸程度以上の大規模な団地。
  • マンションの立地が高度利用地区内にある。
  • 都市計画(用途地域)などの見直しにより、マンションが建築された当時よりも容積率が2倍以上大きくなっているか、今後見直しの予定があり、現在の容積率よりも2倍以上となる見込みがある。
  • 駅前または駅近くの立地条件。
  • 近所で新築マンションが販売されると、人気が高く、早期完売することが多い。
  • 築年数が長く老朽化しているが、中古マンション市場で根強い需要がある。

14年の「マンション建替え円滑化法の改正」では、耐震性不足の認定を受けたマンションについて5分の4以上の多数の賛成により、マンションと敷地を売却する「マンション敷地売却決議」を可能とする制度等が創設されています。

耐震性不足と判断されたマンションなら、敷地を売却してマンション管理組合を解散するといった手もあるにはありますが、これも結局、その敷地を買い取る事業者が買い取り後、何らかの形で事業化できるのか、の採算性がポイントになります。

立地によってはかなり安くしなければ売れず、解体費用すら捻出できない、あるいはまったく売れず、解体費用すら捻出できず、放置されるケースのほうが圧倒的に多いはずです。

そうしたマンションは荒れていく一方でしょう。

資産価値はもちろん大幅下落あるいは無価値に向かうしかなく、居住快適性は失われ、「売れない、貸せない。かといって何もできない」といったお荷物となります。

将来的に、「容積率の緩和」や「斜線制限・日影規制撤廃」といった方策も考えられるかもしれませんが、それでも全国の老朽化マンションに適用されることはないでしょう。

本格的な人口減少社会に突入していく中、必要以上の数のマンションが、現在の数倍の大きさに建て替えられてしまったら、更なる空き家を生むことになるからです。

将来の修繕費用をより正確に知るための、60年の超長期修繕計画

いずれにせよ適切な点検と修繕が行われなければ、マンションは廃墟化していきます。

長く安心して住めるマンションを維持するために、建物の点検、必要に応じた適切な修繕はもちろんのこと、資金難で修繕ができない、といった事態を招かないよう、築年数の浅いうちから修繕積立金についてもしっかりと検討しておきましょう。

根拠とする長期修繕計画を、超長期の期間で作成することで、将来的な修繕費用をより実態に近いものとして出すことができるかもしれません。

さくら事務所では、60年の超長期の修繕計画の作成も行っています。

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