新築マンションでは、竣工引渡し後10年間にわたりアフターサービス保証が、受けられることになっています。
アフターサービス規準の内容は、分譲会社によって異なりますが建物と設備に分けて、不具合が発生した部分や、不具合の状況によりアフターサービスの期限を、分譲引渡し後、1年間・2年間・5年間・10年間などに分類されています。
最近では、積極的にこのアフターサービスを活用して、不具合や施工不良を早期に無料で改善することで、来る大規模修繕工事の費用削減につなげようとするマンションが増えています。
目次
誰が主導になって行うか?いずれも注意点が
アフターサービス活用、一般的なのはこの4ケースでしょう。
・管理会社に任せる
・分譲会社(施工会社)に任せる
・管理組合が自力で行う
・外部の専門家に依頼する
いずれの場合も注意点がありますので、管理組合のみなさんが陥りやすい失敗例と併せてご紹介いたします。
アフターサービス活用でありがちな失敗
1)管理会社に任せきりにしてしまったパターン
管理会社さんにお任せしてしまった場合に多いのが「十分に建物のチェックがされたか不安」というケースです。
「アフターサービス活用にあたり、管理会社にお任せしたが、後から第三者に見てもらったら、見落としだらけだった」という声もかつてさくら事務所に寄せられました。
どのように進められ、実際にその当時、見落とされてしまったのかどうかは、後からではわかりません。
また、マンションの管理会社が売主・分譲会社の子会社であったりすると、「本当に客観性をもってきちんと見てくれたか疑問」という意見もあります。
(そもそも、管理会社によってはアフターサービスの活用そのものに積極的に取り組んでくれないところもあります。)
2)補修方法や補修後のチェックが未了
アフターサービス活用のため、建物のチェックを十分に行い、不具合や施工不良は洗いなおしてもらったものの、その後、どのように修繕して、結果どうなったかが把握できていないパターンです。
その補修方法で適切なのか?また同じことが起きるのではないか?といった懸念が残ります。
適切な補修がされて初めて、本来のアフターサービスの活用の目的が果たされます。
補修方法やその結果もきちんと報告してもらいましょう。
3)気がつかずに期限が過ぎた
知らずにアフターサービスの期限を過ぎてしまうパターンです。
管理組合も居住者も気がつかずに、管理会社も売主・分譲会社も特になにも言ってきてくれなかったので、知らずに過ぎてしまったというのです。
とはいえ、アフターサービスの活用は自主申告制になります。
管理組合のみなさんで忘れずにきちんと取り組んでください。
4)建物の知識を持っている方はごくわずか
管理会社さんにも、分譲会社さんにもお任せできそうにないので、理事会や委員会で自力で頑張る、というマンションもあります。
とはいえ、期限を切れた後から、実は直してもらえるはずだった箇所の不具合が発覚して、担当した理事さんたちが住民から反感を買うことも。
マンション居住者はほとんどの方が建物については素人の方でプロの知識は持っていません。
あくまでボランティアとして取り組んでいるので、責任までは持てない、とうのが実情でしょう。
外部の専門家に依頼する際の注意点
このような失敗や不安から外部の専門家に依頼するマンションも増えています。
とはいえ、その際に気を付けたいのが、依頼先の選び方です。
同じ施工会社、売主・分譲会社や同じマンションのタイプ(タワー型等)のコンサルティングの実績が豊富なところに依頼するのが賢明な方法でしょう。
また、外部の専門家の起用を検討する場合には、理事会は早めに総会の準備が必要になります。
外部に依頼する費用について、最近では1~2期目の交代でもう予算を確保している理事会も多く見られます。
そして、お住まいのマンションのアフターサービスの期限日と無償補修の対象となる内容を把握しておきましょう。
そもそもこの期日と内容がわかっていないと、スケジュール感がつかめずに、時間切れでもう外部に依頼できない、なんてことにもなりかねません。
いかがでしたでしょうか?
この機会に直さなかった不具合もいずれは、大規模修繕工事の際に、マンションの住民の負担で修繕することになりますので、ぜひこの機会に補修をお願いしておきたいですね。
2年なんてあっという間ですので、「つい先日入居したでやっと落ち着いたばかり・・・」という方も多いでしょうが、2年目は補修の対象項目も多く、無償で直してもらえる可能性が一番高くなりますので、ぜひ活用して頂きたいと思います。