マンション大規模修繕工事の費用はいくらが適切?算出方法や費用を抑えるコツ・注意点を解説

  • Update: 2022-10-21
マンション大規模修繕工事の費用はいくらが適切?算出方法や費用を抑えるコツ・注意点を解説

マンションの大規模修繕工事は足場を組んで、外壁や屋上防水、開放廊下・階段等の床防水を補修したり、鉄部塗装の塗替を行うなど、機能を回復または向上させて、これからも安心、安全な住まいを維持していくため行われる工事です。大抵12年サイクルで計画されていることが多く、「時期を迎える」管理組合は修繕委員会を立ちあげるなどして、大規模修繕工事を検討し始めているのではないでしょうか。

しかし、大規模修繕工事を行う場合は、ある程度の費用がかかってしまいます。費用はマンションの高さや規模、形状、仕様や立地条件などによって異なり、適切な金額の判断がしにくいものです。マンション管理組合は、大規模修繕工事の前に適切な費用なのか確認する必要があるでしょう。

今回の記事ではマンションの大規模修繕工事の費用を解説し、適切な費用の検証方法を探ります。

マンション大規模修繕工事の費用相場(目安)

マンションの大規模修繕工事を控えた方は、どのくらいの費用がかかるものでしょうか。修繕工事の内容と共に紐解きます。

工事は、主に「防水工事」・「外壁工事」・「仮設工事」・「設備工事」の4種類に分けられます。各工事の費用はマンションの規模によって、異なっています。マンションを規模ごとに分類すると、大規模マンションが100戸以上、小規模マンションが50戸以下です。

以下の表には、マンションの大規模修繕工事と小規模修繕工事の費用相場(目安)をまとめています。

  防水工事 外壁工事 仮設工事 設備工事 合計
大規模 3,000万円~4,000万円 3,500万円~5,000万円 3,000万円~4,000万円 500万~1,000万円 1億5,000万円~2億円
小~中規模 600万円~800万円 700万円~1,000万円 600万円~800万円 100万円~200万円 3,000万円~4,000万円
  • 上記の金額は目安のため、各マンションの状況により異なります

マンションの修繕工事費用(修繕積立金)の算出方法

国土交通省は、「修繕積立金に関するガイドライン」(令和3年9月改訂)の中修繕積立金額の目安を示しています。

計画期間全体における修繕積立金の平均額の算出方法(m2当たり月単価)

F=(A+B+C)÷D÷E

  • F・・・計画期間全体における修繕積立金の平均額(円)
  • A・・・計画期間当初における修繕積立金の残高(円)
  • B・・・計画期間全体で集める修繕積立金のの総額(円)
  • C・・・計画期間全体における専用使用料等から額の総額(円)
  • D・・・マンションの総専有床面積(m2
  • E・・・長期修繕計画の計画期間(カ月)

計画期間全体における修繕積立金の平均額の目安(機械式駐車場分を除く場合)

建築延床面積 平均値(m2・月)
5,000m2未満 335円
5,000m2~10,000m2未満 252円
10,000m2~20,000m2未満 271円
20,000m2以上 255円
20階以上 388円

参照元:マンションの修繕積立金に関するガイドライン(国土交通省)

機械式駐車場の1台あたりの月額の修繕工事費

マンションに機械式駐車場がある場合は、以下の方法で加算額が算出されます。

加算額=機械式駐車場の1台あたりの修繕工事費用×台数÷マンションの総専有床面積(m2

以下に、機種と修繕工事費用の目安をまとめています。

機械式駐車場の機種 機械式駐車場の修繕工事費用
(1台あたりの月額)
2段(ピット1段)昇降式 6,450円
3段(ピット2段)昇降式 5,840円
3段(ピット1段)昇降横行式 7,210円
4段(ピット2段)昇降横行式 6,235円
エレベーター方式(垂直循環方式) 4,645円
その他 5,235円

参照元:マンションの修繕積立金に関するガイドライン(国土交通省)

機械式駐車場の修繕工事費を駐車場使用料の収入で賄う場合は、加算する必要はありません。

機械式駐車場は「屋内」・「屋外」・「地下」・「地上」などのタイプがあります。各タイプで修繕工事費用が異なることも理解しておきましょう。

大規模修繕工事の費用(修繕積立金)を貯蓄方式

マンションの大規模修繕工事の費用捻出においては、修繕積立金の積み立て方式が要となります。費用の積立方法としては、以下の3つが挙げられます。

  • 均等積立方式
  • 段階増額積立方式
  • 修繕積立基金

各貯蓄方式を正しく理解しましょう。

均等積立方式

均等積立方式は、長期修繕計画の計画期間において修繕積立金を均等に積み立てる方式で、国土交通省のマンションの修繕積立金に関するガイドラインに置いても望ましいとされている方式です。

メリットは後述する段階増額積立方式に比べて修繕積立金を安定して積み立てることができることです。デメリットは、積立初期の段階から管理する資金が大きくなるので、注意しなければならない点です。

長期修繕計画の見直しによって、修繕積立金の額が増額になることがあることも忘れてはなりませんが、比較的安定して修繕積立金を積み立てることが出来るということで、もし売却する場合も高く評価される可能性があるでしょう。

段階増額積立方式

段階増額積立方式は、長期修繕計画の計画期間において修繕積立金を段階的に増額する積立方式です。

将来的に修繕積立金の金額が増額になることを前提に計画されています。

メリットとして、築浅ほど修繕積立金の額が小さく、ローンの返済などその他費用にあてることができる点が挙げられるのですが、デメリットとしては、築古になるほど修繕積立金の額が大きくなり、老後資金に影響を与える可能性が高くなることと、管理組合の合意形成が難しく増額ができないと、修繕積立金が不足し、劣化を直せなくなる可能性が考えられます。

現在、段階増額積立方式のマンションで、今後も永住することを前提にしているのであれば、どこかのタイミングで均等積立方式に切り替えることが必要でしょう。

修繕積立基金

修繕積立基金は新築マンションを購入した人が入居前に支払う費用であり、地震や火災などの事態に備え集めておくものです。

メリットは、事前に大規模修繕工事の費用をある程度確保できることです。一方、デメリットは修繕積立基金の金額が安い場合、大規模修繕工事の費用が不足してしまうことです。

修繕積立基金が蓄えられている場合でも、大規模修繕工事の費用に不足がないか未然に確認しておきましょう。

大規模修繕工事の費用を倹約する方法

以下では、大規模修繕工事の費用を安く抑える4つの方法を挙げています。

  • 助成金・補助金の活用
  • 複数の業者から見積もりをする
  • 管理会社任せにしない
  • アフターサービスチェックや、劣化診断を活用する

大規模修繕工事の費用を抑えたい人はいくつかの方法を試してみましょう。

助成金・補助金の活用

大規模修繕工事をする場合は、助成金・補助金を活用しましょう。国や自治体には助成金や補助金を設けており、利用できるケースがあります。

例えば、バリアフリー化や防音工事をする場合、長期優良住宅化リフォームとして支援を受けられます。ただし、助成金や補助金の内容は自治体によって異なり、同じ支援を受けられるわけではありません。

そのため、事前にマンションがある都道府県もしくは市町村に連絡を入れ、助成金と補助金の有無を確認するとよいでしょう。

複数の業者から見積もりをする

大規模修繕工事をする前には、複数の業者から見積もりを出してもらいましょう。なぜなら、複数の会社に見積もりを依頼すること(※相見積もり)で適正な費用がわかるからです。

例えば、相見積もりした場合、工事にかかる各項目の費用を比べられます。また、相見積もりしていることを各業者に伝えることで、適切な見積もりを出してもらいやすくなります。

大規模修繕工事をするマンションの場合は、総会等で相見積もりについて話し合いましょう。

相見積もりをする際は、比較サイトを利用すると手間がかかりません。無料で利用できるサイトもあるため、活用してみましょう。

管理会社任せにしない

管理会社を通して大規模修繕工事をお願いすれば、手間がかからず、楽かもしれませんが、コストは高くなる傾向にあります。管理会社から提出される予算書や見積書を見て、「今」必要な工事を選び抜き、不要な工事は実施しない、という判断が、もし、できるようであれば、相談してみると良いでしょう。

アフターサービスチェックや、劣化診断を活用する

築10年目までのマンションであれば、アフターサービスチェックを実施することをお勧めします。アフターサービスは一般的には新築から2年、5年、10年までの期限付で利用できる保証サービスになり、そのほとんどは、2年で終了してしまいます。しかし、10年目のマンションでも住宅品質確保法に対応し、構造耐力上主要な部分及び雨水の浸入を防止する部分としてコンクリート躯体の亀裂や損傷、屋上、外壁、開口部などの雨漏れについて保証しています。

保証期限が切れる前に点検し、もし不具合が確認された場合は無償で補修してもらえるかもしれません。

また、劣化診断を行うことも有効です。それも、大規模修繕工事を実施することを前提に行う劣化診断(建物診断)ではなく、大規模修繕工事を実施するか否かを検討できるような劣化診断が良いでしょう。マンションの劣化度合を知ることで、まだまだ工事しなくても問題が無い個所がわかったり、そもそも大規模修繕工事自体を延期することも検討できるようになったりしますので、積極的に活用してください。

大規模修繕工事の費用が足りない場合の対処法

大規模修繕工事の費用が足りない場合、マンションの機能を回復させるための充分な修繕工事ができません。費用を捻出するためには、以下のような対応が求められます。

  • 修繕積立金の値上げ
  • 工事の延期を検討する
  • 一時金を徴収する
  • 金融機関から借入れる

費用が不足する事態に陥らないように、早いうちから対策を取ってみましょう。

修繕積立金の値上げ

大規模修繕工事の費用が不足している場合、修繕積立金の値上げを行い、その分補填する方法があります。修繕積立金を値上げする際は、総会決議が必要となります。

メリットは居住者に一時的な負担をかけずに、修繕費を確保できる点です。居住者は費用の不足分を支払うために、高額な費用を支払わずに済みます。

一方、デメリットは、居住者が毎月支払っている修繕積立金の金額が増えてしまうことです。仮に修繕積立金の金額を値上げする場合は、居住者に丁寧かつ納得する説明をしなければなりません。

今後、大規模修繕工事をするマンションは、費用が不足していないのか確認しておきましょう。

工事の延期を検討する

マンションの大規模修繕工事の費用が足りない状態では、工事の延期を検討しましょう。工事を延期することで、トラブルや施工不良を防げます。

例えば、費用が不足した状態で修繕工事をした場合、安価な資材が使われたり、手抜き工事に繋がったりする恐れがあります。ただし、修繕工事を中止してしまうと、修繕箇所が悪化し、建物自体に影響を及ぼすリスクもあり得るでしょう。

大規模修繕工事に備え、修繕費の確保を検討しましょう。

一時金を徴収する

もう1つの方法は、組合員から一時金を徴収することです。総会で決議して、月々支払う修繕積立金のほかに、一時金として、まとまった金額を徴収することを決定します。

不足額によっては数百万単位の一時金を徴収することになり、組合員にとって負担が大きい対処方法になります。

金融機関から借入れる

修繕工事の費用が不足している場合には、金融機関から借入れる方法があります。借入れをするケースとして、居住者からの修繕費の補填ができない時が挙げられます。金融機関から借入れをする際は、管理組合の総会決議をしなければなりません。

メリットとして、早急に費用の不足分を確保できる点が挙げられますが、デメリットは、借り入れた金額だけ利息が発生することです。

借入れ後、組合員は利息をつけて返済することになるので一時金と比較すると、一度に支払う額は小さいですが、支払総額は大きくなります。

大規模修繕工事の費用が不足する場合は、金融機関からの借り入れも検討しましょう。

注意点:大規模修繕工事は追加費用がかかることもある

大規模修繕工事の際には見積もりに加え、追加の費用がかかることがあります。以下のようなケースでは、追加費用が必要になる可能性が高いです。

  • 補修・交換するタイルの枚数が想定よりも多くなった
  • 足場の設置が困難だった
  • 地震や台風などの災害によって修繕箇所が増えた
  • いざ工事を始めてみたら、想定よりも劣化していた

特に、タイルの枚数は、想定よりも多くなる場合があります。通常、外壁タイルの補修・交換費用は、実数精算方式で計算されることが多いです。実数精算方式とは、足場をかけないと正確な費用が見積もれない外壁タイルなどの補修・交換費用を算出する場合に、想定金額で契約しておき、足場をかけた工事完了後に実際に補修・交換したタイルの枚数を基に清算する方法です。

追加費用への対策としては、予備費を用意しておくことが挙げられます。予備費用の目安は、見積もりの5%から10%です。大規模修繕工事の際は、見積額だけではなく、予備費も用意しておくことが望ましいでしょう。

オンラインで見積書から単価のチェックも

また、「大規模修繕工事 オンライン予算書・見積書チェック」では、マンション大規模修繕工事における予算書、もしくは見積書からその工事項目ごとの単価の妥当性をチェックを行います。

「管理会社から提出された予算書が妥当とは思えない」
「修繕工事に詳しくないので、判断できない。見積書を見てほしい」

さくら事務所には、本日もこのようなお悩みの声が寄せられています。

さくら事務所では、マンション大規模修繕工事のベテランたちが、豊富な実績データもふまえ、マンションの予算書・見積書チェックを行い、アドバイスをしています。

大規模修繕工事の予算書、見積書に不安がある方は、是非一度、さくら事務所にお問合せください。

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株式会社さくら事務所

ホームインスペクション(住宅診断)をはじめとする個人向け不動産コンサルティングや管理組合向けコンサルティングを行っている。400を超えるマンション管理組合のコンサルティング実績をもち、大規模修繕工事や長期修繕計画の見直し、瑕疵トラブルなどの管理組合サポートサービスを提供している。

【監修】さくら事務所マンション管理コンサルタント(マンション管理士)

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