外壁タイルの補修方法と相場を解説!ひび割れ・浮き・剥がれは要注意

  • Update: 2024-03-07
外壁タイルの補修方法と相場を解説!ひび割れ・浮き・剥がれは要注意

この記事はマンション管理士/一級建築士などの専門家が監修しています

外壁タイルのひび割れや浮きを発見したときは、補修を検討しなければいけません。外壁タイルのひび割れや浮きを放置していると、外壁タイルが落下して通行人に怪我をさせるおそれがあり、安全性が危ぶまれるマンションとして、資産価値が下がる可能性があります。

タイルは耐久性が高い素材です。しかし、気温や湿度の変化により躯体コンクリートが膨張と収縮を繰り返したり施工不良があったりすることで、多くのマンションで、ひび割れや欠けなどが生じています。また、問題ないように見えていても、大規模修繕工事のタイミングで想定外にタイルが浮いていると判明することも少なくありません。

そこで本記事では外壁タイルの補修方法や工事の流れ、費用相場を解説します。工事を発注する前に知っておきたい注意点も紹介するので、外壁タイルの補修工事が必要なマンションにお住まいの方はぜひ参考にしてください。

大規模修繕で失敗しないための3ステップ

外壁タイル補修が重要な理由

ひび割れや浮きが生じている外壁タイルの補修が重要な理由は3つあります。

・外壁タイル剥落を未然に防ぐ

・マンションの耐久性を維持する

・美観低下による資産価値の低下を防止する

どれもマンションにとって重要事項です。それぞれ詳しくみていきましょう。

外壁タイル剥落を未然に防ぐ

外壁タイルが剥落して通行人にあたった場合、管理組合が賠償責任を負うことになります。

外壁タイルは、気象条件によっては敷地外にも飛んで落下する可能性があります。

マンションの所有者は、外壁タイルが所有者や地域住民の安全性にも影響があることを十分に承知し、補修を行わなければなりません。

外壁タイルの剥落のリスクについては、下記の記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。

マンションの外壁タイル剥離・落下のリスクと管理組合でとるべき対策は?

マンションの耐久性を維持する

外壁タイル補修せず、劣化を放置していると、ひび割れや欠損箇所から躯体部分に雨水が浸入します。コンクリートの中性化を促したり内部の鉄筋を錆びさせたりとマンション自体の耐久性を低下させることに。

美観低下による資産価値の下落を防止する

タイルが劣化した外壁は、美観を損ない資産価値が下がります。「管理が行き届いていないマンション」と見られることもあるでしょう。

永住するつもりであっても、人生いつ何が起こるかわかりません。今お住まいのマンションをいつでも売却できる状況に維持しておくことは、先が見えない状況下における適切なリスクヘッジといえるでしょう。

外壁タイルの補修方法は「接着剤での固定」か「張り替え」

補修すべき外壁タイルの劣化基準は、おもに以下4つです。

・タイルの浮き

・タイルのひび割れ

・タイルの剥がれ

・タイルの欠損

基本的に、外壁タイルの浮きは接着剤での固定、外壁タイルの欠け・剥がれ・ひび割れは新しいタイルへの張り替えが必要です。

タイルの浮きは目視してもわからないため、打診棒を使ってチェックします。打診棒を外壁に沿って滑らせたときに、ほかよりも高い音がなると、浮きが生じている証です。

タイルの浮き以外は目視で点検できますが、視線が届かない場所もあるでしょう。1箇所でも問題が見つかれば、見えない部分でも同じような症状があると考えたほうが良いでしょう。

ちなみに、大規模修繕1回目(竣工後12~15年)のタイル補修範囲の目安は、全体の2~3%です。

外壁タイル補修の流れ

外壁タイル補修がどのようにおこなわれるのか、以下の流れに沿って解説します。

(1)打診調査

(2)タイル補修「接着剤での固定」「張り替え」

(3)タイルの目地補修

(4)塗装

順にみていきましょう。

(1)打診調査

足場を利用して、全面の打診調査および目視で、浮きなどの劣化状況を点検します。普段目視できない部分もしっかり調査してもらいましょう。劣化の種類や程度によって、補修範囲や補修方法が決定します。

(2)タイル補修

接着剤での固定と張り替え、それぞれの手順は以下のとおりです。

接着剤での固定

タイルが浮いている場合は「アンカーピンニング工法」で浮きを改善します。アンカーピンニング工法とは、浮いているタイルの目地に穴をあけ、エポキシ樹脂などの接着剤を注入後、アンカーピンで固定する方法です。固定したあとは、余分な接着剤を取り除き、パテで穴埋めします。

張り替え

タイルのひび割れ・欠損・剥落が生じている場合は、新しいタイルへ張替

えます。タイルの浮きも状況によっては張替えが推奨されることも。

ひび割れと欠損の場合は、まず既存のタイルを撤去しなければいけません。撤去が終わったら、タイルが設置していた面のコンクリートやモルタルを除去して、下地を整えます。その後接着剤で新しいタイルを張り付ければ、張替え作業は完了です。

(3)タイルの目地補修

タイルの補修のあとは、タイル間にモルタルを充填し目地を補修します。目地は防水や緩衝材としての役割がありますが、劣化するとひび割れや収縮によるすき間が生じ、本来の役目を果たせません。

タイルに問題がなくても目地自体が劣化しているケースもあるため、タイル補修に付随する工事としてだけでなく、目地自体の劣化を修復するためにも補修が必要です。

(4)塗装

外壁タイルは基本的に塗装が不要ですが、クリア塗装するケースもあります。塗装は、タイルにツヤをだし高級感を演出したり、目地の防水性を高めたりするのに効果的です。

外壁タイル補修の費用相場

タイル補修の費用相場は、補修内容によって異なります。内容ごとの相場は以下の表を参考にしてください。

タイルの補修内容 費用相場
浮き補修 約500~900円(1か所当たり)
張替え 約500円(1枚当たり)
クリア塗装 約3,000円(1㎡当たり)

個人で補修範囲や補修方法を判断するのは困難です。おおよその費用を知りたいときは、専門業者にしっかり調査してもらい見積もりを依頼しましょう。

外壁タイル補修の注意点

外壁タイル補修の注意点を3つ紹介します。

・浮きや剥がれの原因が施工不良の可能性もある

・見積額は正確ではない

・新しいタイルを用意するのに時間がかかる

詳しく解説します。

(1)きや剥がれの原因が施工不良の可能性もある

外壁タイルの浮きや剥がれは、気温の変化により接着面の下地コンクリートやモルタルが膨張と収縮を繰り返し、接着力が弱まることが主な原因です。

しかし、1回目の大規模修繕で、全体の2〜3%をはるかに超える補修が必要なときは、施工不良が原因の可能性もあります。とはいえ、施工不良を立証するのは難しく、施工会社に非を認めてもらうのは、そう簡単ではありません。

少しでも納得できないことがあれば、泣き寝入りするようなことがないように、第三者の専門機関へ相談することをおすすめします。

外壁タイルの不具合の原因や対処法については下記記事でまとめていますので、参考にしてください。

多発する外壁タイル不具合の原因と分譲会社・施工会社の傾向

(2)見積額は正確ではない

大規模修繕工事の請負契約前に提出される外壁タイル補修の見積もりは、確定したものではありません。これは、見積もり段階ではマンション外壁のすべてのタイルをチェックできないためです。

外壁タイル補修の見積もり額は実数精算方式で計算されます。おおよその金額で見積っておいて、工事後に実際に補修した内容で金額が確定し請求されるしくみです。

工事を進めていくと、予想よりも劣化が進んでいるケースもあるため、見積金額よりも補修費用が膨らむことがあります。補修費用は多めに用意しておきましょう。

(3)新しいタイルを用意するのに時間がかかる

新しいタイルに張り替えるときに問題なのが、タイルの色と形状を合わせることです。タイルを張り替えようとしても、現状採用されているタイルが廃盤になっているケースも少なくありません。

部分的な張替えの場合、色や形を揃えないと不恰好です。特注すれば、類似するタイルが手に入りますが、完成まで4カ月程度の時間がかかってしまいます。

既製品の似たタイルをつかうのか、特注するのか早めに判断し、特注する場合は、工事のタイミングに間に合うように準備しましょう。

外壁タイル補修の前に第三者の専門家に調査依頼しよう

外壁タイルに浮き・ひび割れ・欠損・剥落が生じているときはタイル補修が必要です。不具合の状況によって、浮き補修で済むのか張替えが必要なのか判断されます。外壁タイル補修の費用は、実数精算方式のため見積もりよりも高額になる可能性があることを視野に入れておきましょう。

外壁タイルの不具合は、施工不良が原因のケースもあります。竣工後12~15年ほどで2~3%をはるかに超える補修が必要な場合は、第三者の専門家に調査してもらうのがおすすめです。

さくら事務所では、外壁タイルの瑕疵調査・補修コンサルティングをおこなっています。施工不良を実証するには、確固たる証拠が必要です。さくら事務所は、マンション外壁タイルにおける不具合の診断に長けた専門家が、あなたのマンションを第三者の立場で調査し、不具合の原因を追求します。

管理組合の皆さまが、分譲会社や施工会社と対等に話合いを進め問題を解決することをサポートし、サービス終了後のアフターフォローまで行います。場合によっては弁護士と連携をとりながら解決にあたります。

分譲会社と折衝したり、住民の皆さまへの説明を代行したりと、専属チームがトータルサポートいたしますので、安心してお任せください。

外壁タイル以外にも、マンションのアフターサービスを最大限に活用するための共用部全般のチェックもおこなっています。アフターサービスの対象となる不具合が見つかれば、管理組合の費用負担なしで修繕できるため、大幅にコストの削減が可能です。

さくら事務所では管理組合の皆さまのためになるサービスを幅広く展開しています。マンション管理に関して不安がある方は些細なことでけっこうですので、お気軽にご相談ください。

大規模修繕工事品質チェック

https://www.s-mankan.com/service/shuzenkouji_check.html

 

藤ノ木 健二
監修者

藤ノ木 健二

大学卒業後、ゼネコンに勤務し、マンション新築工事、マンション大規模修繕工事、学校、病院などの耐震補強工事の現場管理業務に従事。

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