目次
マンションで外壁タイルの不具合が発見されるタイミング
マンションで起こる外壁タイルの不具合は以下のようなものがあります。
剥落:大雨・台風など(異常気象の際に見つかる)
変形:管理人さんなどの日常点検
居住者からの通報
浮き:定期点検(1/2/5/10年)
大規模修繕工事前劣化診断
大規模修繕工事着工後
マンションの年代別外壁タイル不具合の傾向
さくら事務所が調査した事例のなかで2004年~2019年の間の調査件数:60件(理由:外壁タイルの不具合)における傾向となります。
※外壁タイルの不具合で調査をおこないました。ちなみに対象となる建物の竣工年は1998年~2012年竣工のマンションです。
外壁タイル不具合発生竣工年のランキング
1位:2016年 16件/60件
2位:2005年 9件/60件
3位:2003年 8件/60件
さくら事務所が調査した事例のなかで、この3年で発生している外壁タイルの不具合が50%以上を占めています。
外壁タイル不具合の原因
マンションの外壁タイル不具合の原因は、次の3つの要因が考えられます。
外壁タイルの下地処理
- 目荒し(表面をざらざらにする処理)不足/清掃不足もよく見受けられる
- 薄塗りな下地モルタルの硬化不良(圧倒的に多い事例)
- 吸水調整剤の誤使用(希釈濃度を間違えると起こりうる)
タイル張り施工
- 張り付けモルタルのこて圧不足
- 張り付けモルタル塗り厚さ不足
- タイル叩き込み不足
施工に使用する道具
- 張り付けモルタルのくし目こてによる施工
分譲会社・施工会社の傾向
マンションの外壁タイル不具合は、特定の分譲会社・施工会社が実施したものが多くあることが分かっています。よくマンション管理組合には特定の会社で不具合が多いのかと質問をいただくことがあります。やはり特定の会社が携わっているもので外壁タイルの不具合の傾向があります。
◯特定の分譲会社・施工会社が実施した建物は不具合を繰り返す傾向があります。
取り扱い60案件のうち
- 4案件:同じ分譲・施工会社
- 3案件:同じ施工会社
- 3案件:同じ分譲会社
- 2案件:同じ施工会社×3社
上記件数は実際にさくら事務所が調査した案件のみを記載しているため、相談を受けた案件を含めると、件数はもっと顕著になります。ただし不具合を繰り返す原因は不明です。
有機系接着剤による施工
近年、有機系接着剤張り工法の普及により、外壁タイルの安全性が飛躍的に向上したと言われていますが、新築工事でも改修工事でも、ともに外壁タイルは不具合の事例が報告されています。
たとえば新築工事の際、有機系接着剤張りが行われたことが分かっている場合、その部分については、特定建築物調査の際は、調査の方法が非常に簡略化出来るってことにはなっています。
しかしながらコンクリートの躯体にモルタル下地を作り、その上に外壁タイルを有機系接着剤張りをした場合は、特定建築物調査のときの調査を簡略化することはできませんので注意が必要です。
マンションで外壁タイルの不具合に遭遇した場合
竣工引き渡し後2年目もしくは5年目のケース
アフターサービスの期間に外壁タイルの不具合が確認された場合は、アフターサービスを使って分譲会社に対応を依頼することで、一定程度対応が期待出来るケースが多くなっています。
※部分的な不具合が確認された場合は、該当部分だけではなく必ず全体も確認することが必要です
竣工引き渡し後~10年目のケース
弁護士などに相談をすると瑕疵担保責任で分譲会社に相談することになります。
→比較的十分な対応が期待できます。(10年を過ぎると対応しない分譲会社が増えます)
竣工引き渡し後~10年目以降(20年未満)のケース
不法行為責任で異議申し立てをして施工会社に対応依頼をおこないます。
→十分な施工不良の証拠を提示できない場合、対応が厳しいケースも多く裁判になる場合も
竣工引き渡し後~20年以降のケース
権利を行使しなかった20年を過ぎた場合は、施工会社の善意に頼るしかなくなります。
※除斥期間を理由に対応しない場合が増えます。
マンションの外壁タイルの不具合は原因調査が必須
- 原因が不明では適切な補修計画が立案出来ないこともあります。
- 調査は打診調査だけでは証拠にはなりません。
→タイルの浮き枚数だけでは十分な証拠になり得ないので注意が必要 - 将来的なリスクを知って補修後の保証を検討する必要があります。