1回目の大規模修繕工事で解消しておきたい新築時の施工不良

  • Update: 2018-07-13
1回目の大規模修繕工事で解消しておきたい新築時の施工不良

今後の修繕積立金の不足の懸念もあり、大規模修繕工事の周期延長を考え始めるマンションが増えているようです。

当初の12~15年の計画から18年に周期を伸ばすことで、長期的にみて修繕費用の大幅削減が見込める可能性があります。

耐久性の高い工法、材料を使うということはもちろんのこと、実はそれだけではうまく行かないのです。

先日、こちらで大規模修繕工事の周期延長を可能にするための条件をご紹介しましたが、

大規模修繕工事の周期延長、可能にするための4つの条件

今回はその中から、「新築時の施工不良の解消」について、事例を交えて詳しく解説します。

コンクリートの打設不良(じゃんか、異物混入)

じゃんか(豆板)ジャンカ(豆板)とは、コンクリートが密実に充填されておらず、巣のようになっている状態で、空洞ができてしまい、コンクリートの強度が確保できない恐れや、水が侵入し、コンクリート中の鉄筋を腐食させる恐れがあります。

コンクリートの打設不良ですので、建物の耐力、耐久性に影響を及ぼします。

タイルや塗装などの仕上げ部分を剥がさなければ確認できませんが、見つかったら必ず補修しておいてほしいところです。

鉄筋のかぶり厚さ不足(鉄筋露出)

建築基準法で鉄筋はコンクリート躯体表面から3cm以上の深さに入れることになっていますが、このコンクリートの厚さが不足していたり、中の鉄筋が露出してしまっているものをかぶり厚不足、といいます。

これは実際にマンションでしばしば見つかるケースですが、早く補修をしないとそこだけ劣化が進んでしまいます。

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こちらは地下ピットで中の鉄筋が露出してしまっている状態。一部、表面のコンクリートが割れ、錆び汁が出てきてしまっています。

外壁タイルの不具合(広範な浮き、剝離)

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タワーマンション等は、現場でタイルを貼るのではなく、作業環境の良い工場でタイルが貼られ、かつ、タイルの浮き・剥離が起こりにくい工法で貼られる為、この心配はあまりないのですが15階建くらいまでのマンションでは、職人さんが現場で貼っていますので、貼り方の善し悪しによる新築時の施工不良が見つかります。

大規模修繕工事のタイル補修費用は、経年劣化を見込んで外壁タイル全体の3~5%程度の補修費用が計上されていることが多いのですが、新築時の施工不良によって、広範囲にタイル浮きが発生していれば、超過分を管理組合負担で補修しているケースも少なくありません。しかし、築10年程度で外壁タイルの浮き率が5%をはるかに超える数値が出ているのであれば、その原因を調べる必要があります。原因の検証もしないままに補修してしまうと次の大規模修繕工事においてもタイル浮きが再発してしまう恐れがあるからです。

伸縮調整目地等の施工不良(形状不良)

外壁タイルに不具合があるマンションでは、伸縮目地等に問題があるケースが多いです。

本来あるべき場所に設置されていない、伸縮調整目地の役割を果たしていない等のケースがあります。

伸縮調整目地は、タイルが施工不良を起こさないための配慮としての目地なので、ここに不具合があると、タイルの浮きや剝離に繋がります。

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実際に多くみられるのは、目地の幅も奥行も足りないケースです。

竣工図書では最低10㎜などと記載されているのに、実際は3~5㎜の奥行とかで施工されていることがあります。

修繕の際、以前のシーリングそのままのに打ち替えてしまいますが、奥行、体積、幅が少ないと、またあっという間に劣化してしまいます。

シーリングの奥行、幅を広げて打ち替える必要がありますので、注意が必要です。

構造スリットの設置不良(不設置)

現在の多くの建物には構造スリットが設置されています。

これは壁と柱の間に計画的にすき間を設けることにより、地震の揺れにより壁が柱を折ってしまうことを防ぐためのもので、建物構造上重要な役割を担っています。

しかし、大規模修繕工事でタイルを剥がしたら、構造スリットが曲がっていたり、設置されていないといったケースが散見されます。

本来あるべきものとして、構造計算されているので、あるべき構造スリットがないと計算通りに壊れてくれません。

ただ、後から入れることは可能ですし、住みながらできる工事で対応する方法もあります。

不具合が見つかったら、必ず原因究明を!

大規模修繕工事の時に、これらの不具合が見つかり、分譲時の売主、施工会社に問い合わせると「経年劣化です」「近年の地震による影響です」「構造上直ちに問題があるわけでありません」「図面通りに施工されています」等というような曖昧な回答が返ってくることが少なくありません。

建物の通常使用に大きな影響を与える可能性(タイルの剥落、構造耐力上の影響が懸念される事等)がある場合、瑕疵担保責任期間の10年を過ぎていても、新築時の施工が約束通り果たされていないことが証明できれば、分譲会社や施工会社との折衝で、修繕費用の全部又は一部を負担してもらえるケースもあります。

第1回の大規模修繕工事で、これらの不具合が確認されたら、必ず報告してもらい、確実に解消しておきましょう。