9年目にマンション共用部診断をすべき3つの理由

  • Update: 2018-08-03
9年目にマンション共用部診断をすべき3つの理由

分譲マンションは築9年目(遅くとも10年目)までに共用部分の建物調査・診断を受けることを強くお勧めしています。

その理由は3つの無駄な支出を減らせる可能性があるからです。

削減できる無駄な支出① 建設時の施工不良を直す費用

新築分譲マンションは、品質確保の促進等に関する法律(品確法)によって、引き渡しから10年間は「構造耐力上主要な部分の不具合」「雨漏り」の2つの建物の不具合が売主により保証されます。

2つとも、耐震性や耐久性に大きく影響する不具合で、修理に多額の費用(数百万円~数億円単位になることも珍しくない)が必要になりやすいことから、法律により、他の項目よりも長い保証が売主に義務付けられています。

注目すべきは【10年以内に売主に通知した不具合】だけが保証されること。築11年目の共用部分建物調査で建設時の施工方法が原因と思われる保証対象の不具合を発見しても、全て管理組合が自己負担で直すことになり、数百万円~数億円の補修費用が大規模修繕工事の費用に加算されます。

実際、さくら事務所が調査に入ったマンションで、下記のような不具合が発見されたマンションは多数あります。

【発見されることが多い建設時の施工不良】

・外壁タイルの広範な浮き(タイル仕上げ面のシーリング目地の設置不良)
・構造スリットの不設置または設置不良
・鉄筋の切断を伴うコンクリート躯体への不正なコア抜き(穴あけ)
・鉄筋に対するコンクリートの被り厚さ不足

どれも、本来は管理組合が自分のお金で直す必要がないものばかりですが、発見・通知の時期が保証期限を超えれば自己負担です。9年目に点検することの重要さを管理組合内でしっかり共有しておきましょう。

削減できる無駄な支出② やる必要がない劣化調査の費用

多くのマンションは12年目くらいに大規模修繕工事を行うことを予定し、管理会社からは築10年目・11年目あたりに建物調査(劣化診断・予備調査)を実施することが提案されます。

その調査では、引き渡し後十数年程度では全く不要な【コンクリートの中性化】などの調査も、当たり前のように行なわれています。

これは例えると、小学生の子供に「骨粗鬆症」の検査を行なっているようなもの。
調査にもお金がかかるわけですから、建物の経年に応じた調査項目にするのが合理的。しかし、管理組合が専門知識を持ってその要不要を判定することは極めて難しく、当たり前のように新しい建物もかなり経年した建物も、同じフルスペックの劣化調査が行われています。

築9・10年目のマンションで行う建物調査・診断では、大規模修繕工事の準備に向け、そのマンションの傷み度合いを客観的に把握し、どういった修繕を行うのか仕様づくりに生かせる結果が必要です。

管理会社が提案する大規模修繕前の建物調査の結果が、本当に大規模修繕工事の準備に必要なものになっているのか管理組合がしっかりチェックしないと、無駄な調査にお金を支払ってしまうのです。

削減できる無駄な支出③ 大規模修繕工事1・2回分の工事費

一般的なマンションでは、12年ごとに大規模修繕工事を行う提案を受けており、1回目は12年目、2回目は24年目前後、3年目は36年後に行うものとされています。

なんでも予防的に早く修繕を行う分には傷みが進みにくいかもしれませんが、1回の大規模修繕工事では一住戸あたり100万円~120万円かかることから、建物の傷みにあった修繕を適切に行い、できるだけ実施回数を少なく出来るに越したことはありません。

そこで、最近多くのマンションで取り組みされてきているのが耐久性が高い材料、施工方法を1回目の大規模修繕工事で使用し、長期修繕計画のサイクルを12年ではなく16年~18年にするという方法です。

高耐久の材料・工法を使うことで大規模修繕工事の費用は若干多くなりますが、修繕周期が12年から18年に伸長されれば、40年間では1回、60年では2回の大規模修繕工事が行わずに済むこととなり、長期的に修繕に必要な支出を減らすことができます。

この方法は管理組合が自ら選んで取り入れているケースもあれば、一部の大手管理会社が積極的に提案しているケースもあり、今後ますます広がることが予想されます。

まとめ

「長期修繕計画」は分譲マンションを新築で契約したときに全購入者がを渡されており、自分たちで変える権利を持っています。ですが、専門知識を持ち合わせた購入者ばかりではないことから、管理会社に勧められるまま10年目を超えての劣化診断や12年周期の大規模修繕工事を行い、2回目の大規模修繕工事のときには赤字に陥る管理組合が後を絶ちません。

管理組合が主体となり、専門家の力を借りながら合理的な点検や修繕を行っていくことで、長期で多額の修繕費用に差が出る可能性があります。

まずは現状の長期修繕計画を確認し、自分たちのマンションに合った点検・調査のタイミングを早めに理事会・管理組合で話し合いましょう。


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【監修】さくら事務所マンション管理コンサルタント(マンション管理士)

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