マンション長期修繕計画見直しの疑問、管理会社は敵なのか?

  • Update: 2018-10-08
マンション長期修繕計画見直しの疑問、管理会社は敵なのか?
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株式会社さくら事務所

この記事はプロのホームインスペクターが監修しています

長期修繕計画は、マンションがその建物を維持し、住民が安心して住まうため、将来的に修繕積立金をどの時点でいくら貯めればいいのか?を知るための根拠になる、いわばマンションのライフプランです。

一般的に長期修繕計画は5年に一度は見直すことが望ましい、と国交省のガイドラインにも明記されています。実際、国土交通省が平成25年に実施したマンション総合調査の結果でも、調査対象となったマンションの89%が「長期修繕計画がある」と回答しており、その重要性はよく知られているところです。

では、どのようにすれば効果的な長期修繕計画の見直しはできるのでしょうか?

ここでは、「長期修繕計画見直しのやり方4パターンとその注意点」についてご紹介いたします。

ポイントになるのは、管理会社とのかかわり方。

長期修繕計画の見直しというと、管理会社を疑うような、敵に回すようなイメージをお持ちの方もいるかもしれません。

ですが、管理会社は本来一番マンションを知っている管理組合のパートナーでもあります。

その力を上手に借り、現実的でなおかつ費用を抑え、効果の高い長期修繕計画の見直し方法がおすすめです。

長期修繕計画を見直すための3つのポイント

長期修繕計画見直しの4つのパターン

実際に長期修繕計画を見直す場合、主に以下のパターンが考えられます。

①今の長期修繕計画をもとに、管理会社に見直してもらう

②(今の計画を基に管理会社に見直ししてもらい)外部専門家にそれをレビューしてもらう

③外部専門家に新規に作成してもらう

④管理会社と外部専門家が協同して、管理組合を交えてと見直し・作成

それぞれ注意点やメリット、デメリットをご紹介します。

長期修繕計画見直し、それぞれの注意点

今の長期修繕計画をもとに、管理会社に見直してもらう

この場合、修繕の周期だけ見直して、修繕費用そのものを見直していないというケースがままあります。

よっぽど大きく変わったこと以外は、見直しがされないのです。

見直しても、修繕費用の相場が変わっていれば意味がないということになってしまいます。

(今の計画を基に管理会社に見直ししてもらい)外部専門家にそれをレビューしてもらう

ここで注意すべきは、その依頼先です。必ず、多くの長期修繕計画の見直しの実績がある専門家に依頼しましょう。

外部専門家に新規で作成してもらう

ここでネックになるのは費用面です。

外部の建築家・設計事務所に500戸くらいのタワーマンションなんか依頼すると軽く300万、500万、またはそれ以上の費用がかかると思います。

外壁や防水の面積をはじめとしてすべてチェックしなければいけないため、おのずと時間ももかかるためそれに伴い人件費が膨大になってしまうのです。

また、数百万かけて、外部の設計事務所に作成してもらっても、管理会社に渡したら、認めてもらえなかった、というケースも。

管理会社さんが認めてくれないような独自性の高いものをつくってしまうと、管理会社からはこの計画にそった提案が受けられず、管理会社案と管理組合案が混在するという結果になってしまいます。

管理会社と外部専門家が協同して、管理組合を交えて長期修繕計画全体を見直し・新たな計画を作成する

これが一番、費用が抑えられ、効果が高い方法だと思われます。

外部の専門家が新たに計画を作成する3分の1から4分の1くらいの費用ですみ、なおかつ、より効果的で実態に即した見直しが可能になります。

これなら管理会社さんが認めてくれないという事態も避けられます。

長期修繕計画はあくまでシミュレーション

長期修繕計画を見直す際、緻密なものを希望される方もいらっしゃいます。

とはいえ、長期修繕計画は積立金の必要額を計るためのあくまで「シミュレーション」

工事計画そのものではないので、シミュレーションの段階でそこまで精緻なものにこだわる必要はありません。

大規模修繕工事の計画進み、施工会社からの見積もりが提示され、修繕工事が実施されることによって、仮想の予算が実行予算に置き換わります。

ですから、タイミングによっては、実際の大規模修繕工事の見積もりをとって見直しをしたほうがいいケースもあります。

大規模修繕工事を直前に控えた場合、間もなくリアルな金額が提示されますので、高額の費用を負担して見直しをする必要はないのです。

「なるべく安く工事費を設定しよう」はダメ

理事会、委員が積立金増額負担増を避けるために、なるべく安く金額を設定しようとしてしまうケースがあります。

中には、長期修繕計画の見直しの際、「増額しないための操作をして欲しい」と要望するひともいます。

資金計画ですので、積立金が上振れしていれば不足は防げますが、少なく設定して実際の工事の際に足りなくなてしまっては意味がありません。

管理会社に依頼した内容に不安がある場合は、外部専門家による「長期修繕計画のレビュー」を検討してみてはいかがでしょうか?

長期修繕計画の内容について管理会社への疑問点をまとめてもらうだけでも、第三者の視点が入ることでより実態にそったものになるかもしれません。


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鬼塚 竜司
監修者

鬼塚 竜司

新築工事にてマンションや複合施設の給排水および空調設備の工事管理を経験後、マンション管理会社の修繕工事部門にて、工事企画及び工事管理を14年間経験(管理職含む)。大規模修繕80棟以上、給排水管更生更新30棟以上、窓サッシ改修工事等補助金対応工事10棟以上、機械式駐車場入替、インターホン改修工事など、マンション全般の工事を経験。長期修繕計画の作成500回以上。2021年6月株式会社さくら事務所へ参画。

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株式会社さくら事務所

ホームインスペクション(住宅診断)をはじめとする個人向け不動産コンサルティングや管理組合向けコンサルティングを行っている。400を超えるマンション管理組合のコンサルティング実績をもち、大規模修繕工事や長期修繕計画の見直し、瑕疵トラブルなどの管理組合サポートサービスを提供している。

【監修】さくら事務所マンション管理コンサルタント(マンション管理士)

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