プロポーザル方式による大規模修繕工事の進め方。施工会社選定の流れとメリット・デメリットを解説

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プロポーザル方式による大規模修繕工事の進め方。施工会社選定の流れとメリット・デメリットを解説

大規模修繕工事の成功を左右するのが、施工会社の選び方です。どのような修繕を望むのか、何を重視するのかも大切ですが、選び方そのものを誤ると工事の品質や費用にも影響が及ぶおそれがあります。

透明性の高い方式として「設計監理方式」が広く知られていますが、さくら事務所では「プロポーザル方式(提案力比較型)」による施工会社選定をおすすめしています。この記事では、プロポーザル方式の仕組みと施工会社選定の具体的な流れ、そしてメリットとデメリットを解説します。

「プロポーザル方式」とは

プロポーザル方式

プロポーザル方式は、施工会社各社から修繕計画や仕様の提案を受け、その提案力と金額を総合的に比較して施工会社を選ぶ方式です。設計監理方式との最も大きな違いは、工事仕様書を統一しない点にあります。

設計監理方式

設計監理方式では、設計事務所が作成した統一仕様書をもとに各社が見積もりを出すため、比較の中心はどうしても金額になります。これに対してプロポーザル方式では、さくら事務所が見積条件の大枠を「公募要領」として定めたうえで、仮設計画や工法、使用する材料などを各施工会社が自社の知見で提案します。そのため施工会社の提案は一様ではなく、「このマンションにはこの仕様が合うのではないか」「このメーカーのこの材料を使うべきではないか」といった提案が各社の経験に基づく見解や得意分野に応じて出てくることになります。

提案の中身が各社で異なる以上、金額だけを並べて比較することはできません。そこでさくら事務所が、数多くのマンションを見てきた経験をもとに各社の提案を比較分析表にまとめ、どこにどのような違いがあるのかを管理組合の皆さまにご説明します。管理組合はその比較をもとに、自分たちの建物に最も合った提案を選んでいきます。

工事が始まったあとの関わり方も、設計監理方式とは異なります。さくら事務所は「工事監理」ではなく「施工チェック」と呼び、本来は管理組合が担うべき工事の確認を代理で行い、進捗状況や必要な情報を管理組合に報告します。第三者の目が入ることで、施工会社に対する一定の抑止力が働き、適切な工事が進みやすくなります。

▶大規模修繕工事の発注方式を比較。設計監理方式・責任施工方式・プロポーザル方式の違いとは

プロポーザル方式における施工会社選定の流れ

プロポーザル方式 施工会社 選定フロープロポーザル方式による施工会社の選定には、標準的に6ヶ月から12ヶ月程度を要します。ここからは、モデルケースとしての業務フローを順に見ていきます。

1.キックオフミーティング

最初に、理事会や修繕委員会とさくら事務所とでキックオフミーティングを行います。ここで全体のスケジュールを確認し、公募の内容や居住者アンケートの項目を決めていきます。

さくら事務所は、工事着工から完了までの計画工程表を作成します。「定期総会で審議するのか臨時総会を設けるのか」「理事の輪番はどうなっているのか」「建物の劣化状況はどうか」といった管理組合ごとの事情を踏まえ、目標とする期間を定めます。全体像を先に共有しておくことで、その後の各ステップが滞りなく進みます。

2.専門紙での公募

施工会社は、マンション管理業界の専門紙に公募記事を掲載して募ります。さくら事務所が記事の原案を作成し、管理組合の意見を反映したうえで掲載します。規模の大きいマンションでは、10社から15社程度の応募が集まることもあります。

3.1次審査(書類選考)で5社程度に絞る

応募のあった会社すべてに見積もりを依頼するのは、施工会社にとっても管理組合にとっても非効率です。そこで、まず公募書類による1次審査を行います。

さくら事務所は応募各社の一覧表を作成し、どのような観点で書類選考を進めるかを理事会と協議したうえで、5社程度に絞り込みます。

4.2次審査(面談)で3社程度に絞る

1次審査を通過した会社とは、営業担当者を呼んで面談を行います。この2次審査で、見積提案を依頼する3社程度を選びます。

面談の日程調整や会場の手配、理事会との進め方の調整はさくら事務所が行います。施工会社は管理組合にとってなじみが薄いことが多く、面談は各社の人となりを知るうえでも重要なステップになります。

見積もりを依頼する前に、居住者アンケートや建物の状況などを踏まえ、理事会や修繕委員会とともに工事の要望と見積条件をまとめた見積要項書を作成します。どのような条件で、どのような内容を見積もるのかの大枠をここで定めます。

その後、依頼先の3社をマンション現地に呼び、見積要項書の内容を詳しく説明します。現地で各社が顔を合わせるとどの会社が依頼を受けているのかが分かってしまうため、日程や時間をずらして個別に説明の場を設けます。ここで、プロポーザル方式への理解度も確認します。

各社が見積もりを作成する過程で疑問点が出てきた場合は、さくら事務所が質問を受け付け、その回答を3社すべてに共通で伝えます。これは特定の会社にだけ回答すると不公平になるためで、情報の対等性を保つことは公正な比較の前提となります。

5.提案書の審査・内定

各社から提出された提案書一式は、さくら事務所が精査したうえで比較分析表にまとめます。仕様や使用する材料、仮設計画、金額など、提案の違いが一目で分かる形に整理し、理事会や修繕委員会に解説します。比較表をもとに各社の特徴を把握したうえで、各社への質問事項についても理事会と一緒に準備しておきます。

続いて各社にプレゼンテーションを行ってもらい、最終的に1社を内定します。プレゼンテーションでは、工事を実際に担当する現場代理人の予定者にも同席を求め、実績や人柄も評価の対象に加えます。金額、マンションの状況に合った修繕方法、工事を円滑に進めるための計画、現場代理人予定者の実績など、総合的な判断で内定先を決定します。

6.決議

1社に内定後、総会議案書を準備し、臨時総会または定期総会で決議を得ます。さくら事務所は総会で内容の説明を行い、工事請負契約書のチェックも担います。

契約が成立したあとは、着工前の工事説明会に進みます。説明会の資料もさくら事務所が確認し、当日は同席して居住者の不安点を解消しながら工事に入っていきます。施工会社選定サポート2

プロポーザル方式のメリット

プロポーザル方式には一定の手間がかかりますが、他の方式では得られないメリットがあります。

建物に合った仕様を施工会社から引き出せる

設計監理方式では、設計事務所が調査診断をもとに統一仕様書を作成し、各施工会社はその仕様書どおりの工事に対して金額を提示します。比較できるのは設計事務所が想定した工法や材料の範囲に限られ、どうしても金額での比較になりがちです。

一方、プロポーザル方式では、施工会社がそれぞれの経験や得意分野を活かした仕様や工法を提案します。同じ建物でも、劣化の捉え方や補修の考え方は会社ごとに異なるため、複数の提案を並べることで、その建物に本当に合った仕様に出会える可能性が広がります。

施工会社にとっても、提案力や強みを管理組合に直接訴える機会になります。設計事務所やコンサルタントを通した工事では、施工会社は下請け的な立場になりやすく、利益にも限界があります。管理組合から直接選ばれるコンペであれば、各社の「本気」を引き出しやすくなります。

談合や不正が成立しにくい構造になっている

2026年6月、公正取引委員会は、関東地方のマンション大規模修繕工事をめぐる談合で、施工会社36社と設計コンサルタント2社の計38社に排除措置命令を出す方針を固めたと報じられました。

談合があったのは、設計コンサルタントが仕様書を作成し、施工会社の選定まで取り仕切る設計監理方式による大規模修繕工事だったものと見られます。統一仕様書のもとで金額だけを比べる同方式の仕組みでは、各社が申し合わせた金額を書くだけで談合が成立し、管理組合の目には正当な競争の結果に映ってしまいます。

また、今回の処分方針で見過ごせないのは、施工会社だけでなく、本来は管理組合の側に立って助言する立場であるはずの設計コンサルタント2社も対象に含まれている点です。報道によれば、このコンサル2社は工事を受注した業者から受注額の5%前後をバックマージンとして得ていたとされています。

入札を取り仕切る立場のコンサルタントが談合に加われば、参加会社の顔ぶれから落札者まで裏で決めることができてしまいます。こうした不正は以前から指摘されており、国土交通省が2017年に注意喚起の通知を出したこともありましたが、構造そのものは変わらないまま今回の一件に至りました。

プロポーザル方式では、各社の提案内容そのものが異なり、比較の軸も金額だけではありません。仕様や工法が違えば、見積もりの項目も数量も異なるため、金額を事前に申し合わせること自体が難しくなります。

▶マンション大規模修繕の談合、約40社に排除措置命令へ。管理組合が今すべきこととは

管理組合の納得度と知識が高まる

国土交通省の「令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査」では、施工業者を決定した際の評価事項として「工事金額」を挙げた管理組合が63.1%と最も多く、選定方法を採用した理由も「工事金額を重視したかったため」が44.3%で最多でした。実際には、多くの管理組合が金額を主な基準に施工会社を選んでいることになります。

統一仕様書のもとで金額だけを並べて選ぶ場合、管理組合は「一番安かった会社」を選んだという以上の実感を持ちにくいものです。これに対して、各社の提案内容を吟味して自分たちで選ぶプロポーザル方式では「納得して選んだ」という実感が強まり、大規模修繕工事そのものへの満足度の高さにつながりやすくなります。

各社の提案を受けて比較する過程で、理事や修繕委員はマンション修繕に関する知識を短期間で身につけることができます。工法や材料の違い、仮設計画の考え方、費用の内訳といった知識が備われば、今回の大規模修繕にとどまらず、その後のマンション管理にも主体的に取り組んでいけるようになります。

プロポーザル方式のデメリットと注意点

一方で、プロポーザル方式には向き不向きがあります。施工会社の選定方式を検討する際には、次の点を理解しておく必要があります。

選定に時間と労力がかかる

設計監理方式では、設計コンサルタンとが調査診断から仕様書の作成、見積合わせまでを進め、管理組合は各社の金額を比較して決めるという流れになります。管理組合が関わる場面は限られ、理事会の負担も比較的小さく済みます。

一方、プロポーザル方式では、書類選考や面談、提案書の比較、プレゼンテーション、現場代理人との面談など、理事会や修繕委員会が主体となって進める場面が格段に増えます。もちろん、募集要項の作成や比較分析、各社とのやり取りはさくら事務所がサポートいたしますが、設計監理方式と比べるとどうしても管理組合の負担が大きくなります。

施工会社の募集から内定までに6ヶ月から12ヶ月程度を要するため、その期間を通して動き、判断していける体制があるかどうかが問われます。

専門知識がなければ提案を比較できない

プロポーザル方式における各社の提案は、仕様も材料も仮設計画も異なります。たとえば同じ外壁の補修でも、ある会社は全面的な塗り替えを提案し、別の会社は部分補修で十分と判断するといった違いが出る可能性があるため、建築の専門知識がなければどちらが妥当かを判断することは容易ではない場面も想定されます。

統一仕様書のもとでの金額比較であれば数字の大小で判断できますが、プロポーザル方式ではそうはいきません。そのためプロポーザル方式は、さくら事務所のような中立・公正な立場の専門家による各社の提案の比較分析や選定のポイントの解説、施工会社とのやり取りといった実務面の支援があってはじめて機能します。管理組合だけで進めるのは現実的ではない点は、あらかじめ理解しておくべきでしょう。

単純な最安値比較はできない

提案内容が異なる以上、「一番安い会社」を機械的に選ぶことはできません。仕様を厚くして金額が高くなった会社と必要最小限に絞って金額を抑えた会社を、同じ土俵で比べることはできないためです。金額と提案の質のバランスをどう評価するかは、専門家の助言を受けながらも、最終的には管理組合自身が判断することになります。

この判断を負担と感じるのか、自分たちで決められる利点と捉えるのかによって、プロポーザル方式との相性は変わってきます。金額だけでなく、工事の中身まで見たうえで自分たちの建物に合う会社を選びたいと考える管理組合であれば、プロポーザル方式は有力な選択肢になります。

不正を防ぎ、納得できる大規模修繕工事を

プロポーザル方式は、統一仕様書のもとで金額を比べるのではなく、施工会社それぞれの提案を見比べて選ぶ方式です。選定に時間と労力がかかり、専門家の支援も必要になりますが、建物に合った仕様を引き出せることに加え、談合や不正の入り込む余地を小さくするという代えがたいメリットがあります。

プロポーザル方式について詳しく知りになりたい方は、お気軽にさくら事務所にお問い合わせください。

施工会社選定サポート

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    2026.10.8 日経電子版

    2026年10月8日

    日経電子版にて、さくら事務所・マンション管理コンサルタントの土屋輝之が取材協力した記事が掲載されています。

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    2026.10.5 関西テレビ「newsランナー」

    2026年10月5日

    本日16:45~放送の関西テレビ「newsランナー」にて、さくら事務所・マンション管理コンサルタントの土屋輝之がコメント提供しています。 ※放送内容は直前に変更になる可能性がございます。

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    2026.10.2 テレビ朝日「羽鳥慎一モーニングショー」

    2026年10月1日

    あさ8:00~放送のテレビ朝日「羽鳥慎一モーニングショー」にて、さくら事務所・マンション管理コンサルタントの土屋輝之がスタジオ生出演いたします。 ※放送内容は直前に変更になる可能性がございます。

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