地震によるマンションの建物被害、最小限に抑えるために

  • Update: 2019-09-01
地震によるマンションの建物被害、最小限に抑えるために

「分譲マンションに地震保険は本当に必要なのか?」

これについては、考え方やそのマンションの構造にもよりますし、意見が分かれるところです。

そもそもマンションの地震保険とは、地震により破損した主要構造部を対象としたもので、柱・梁・基礎・屋根・躯体壁などに大きな破損が発生した場合にのみ、保険金が支払われます。
(外壁タイルの剥落などは保険の対象にはなりません)

主要構造部分の被害についても、被害がよほど甚大でない限りは補修費用の数パーセントしか保険金が支払われない場合もありますので、やはり多額の補修費用が管理組合の自己負担として発生します。

また、高額な保険料を費やして加入したにもかかわらず、地震により主要構造部に被害が発生しても損害額が保険金支払いの基準に達せず、補償の対象にならないというこ可能性もあります。

したがって、入っておけば安心と言ってしまえるものではもちろんありませんし、被災時に金銭的な多少の助けになるかもしれませんが、根本的な防災対策でもないということです。

いろいろな考え方に基づいて、皆さん保険の加入するかしないかを検討されるかと思いますが、マンションの建物の被害を防ぐ防災対策として重要なのは、まず自分のマンションの構造を知っておく、想定される被害についても知っておくことです。

ここでは、マンションの建物被害を最低限に抑えるために、備えておくべきポイントをさくら事務所のマンション管理士が解説します。

被害の可能性がある場所を知っておく

自分の住むマンションで、地震の際にどんな状況・被害が想定されるのか?を知っておきましょう。

エレベーターが使えない、断水したらすぐに水は使えなくなってしまうのか・・、停電時はどうなるのか?といったこともそうですが、建物で被害が発生する可能性が高い場所はどこか?も知っておくといいでしょう。

また、建物被害の一例として挙げられるのが、タワーマンションの戸境壁。

これは、簡単に言えば、石膏ボードの間に吸音性・耐火性のあるグラスウールを挟みこんだもので、軽量化のために超高層マンションなどで採用されることが多くなっています。

耐火性や遮音性は問題ないのですが、鉄筋コンクリートと異なり、地震の揺れで建物にねじれが生じ、この乾式耐火パネルが損傷してしまう、というケースがあります。

このとき、追い打ちをかけるようにマンション管理組合の頭を悩ませるのが、戸境壁の扱いです。

管理規約の中でも、この乾式耐火パネルの扱いが明確にされていなかったり、中には、管理規約で「コンクリートの壁のみを共用部」と明記されているものもあります。

専有部扱いなのか?共用部扱いなのか?これによって、どちらの費用負担で補修するか?が変わってきます。

乾式耐火パネルのボードが管理規約の中でどういった扱いになっているのか?管理規約で明確にされているのか?万が一のことを考えて、確認しておくといいでしょう。

マンションの住民間で意見が割れたり、揉め事になっているトラブルの多くは、管理規約に明確にされていない、解釈がひとそれぞれ可能なものである、という事態が原因になっています。

過去にさくら事務所でコンサルティングをした事例では、管理規約でも乾式耐火パネルに関する扱いが明確にされておらず、地震発生後に管理規約を変更して、戸境壁の補修は管理組合の負担で、クロスなどの仕上げはもちろん専有部での負担、となりました。

地震の被害、本当に地震が原因だったのか?の確認も大事

本サイトでも度々触れていますが、地震の際に多いのマンションの被害が、「外壁タイルの落下」です。

地震後のタイミングに限らず、「突然、外壁タイルが落下した」というお問合せは日ごろから数多く多々いただきますが、首都圏の場合「実は、311の時も落下していた」というマンション管理組合が多いのです。

「311の際、地震の揺れが影響して剥離・落下したものと思い、取り急ぎ補修工事をおこなったが、また落ちてしまった」というケースが実に多いのです。

マンションで外壁タイルの剥離や落下について、施工会社や売主に原因を調べてもらっても「地震の影響」「経年劣化」と言われることがほとんどでしょう。

ですが、地上から何十メートルという高さに張られ、落下すれば重大な人身事故の凶器にもなりうるような外壁タイルが、本当に経年劣化や地震の揺れなどで落ちてしまうものなのでしょうか?

さくら事務所では多くの外壁タイルについての相談を受けますが、ほとんどのケースで、施工時の不良(瑕疵)や、施工時にすべき配慮を怠ったことが原因です。

ですが、こういった、「なぜ自分のマンションのタイルだけが落ちたのか?」の原因を追及しないまま、急ぎ補修をしてその場をしのいでしまうと、その後タイルの剥落を繰り返すことになりかねません。

こうしたマンションは、対症療法を繰り返し、外壁タイルのために補修費用を費やしてしまいます。

国交省も実態調査に乗り出した構造スリット

阪神淡路大震災(1995年)以降、主に鉄筋コンクリート造のマンションでスタンダードな手法とされてきた構造スリット。

構造スリットとは構造計算をする上で、柱、梁、床を重視して構造上重要でない壁には意図的にスリット(すき間)を設けることで地震の揺れに伴う柱や梁に対する影響をなくすという考え方に基づいたものです。

地震発生時の水平方向の揺れに対し、構造上重要な梁や柱に対する損傷を防ぐ役割がありますが、建物の倒壊により人命を奪われることがないようにするために欠かすことができない大切なものです。

ですが、311以降、この未設置や設置不良が相次いで報告され、遂に今年6月には、国土交通省が実態調査に乗り出すことが宣言されました。

さくら事務所でも多くのお問合せをいただいていますが、構造スリットのやっかいなところは、不具合が発覚するタイミング。

自主的に共用部分に関するアフターサービスの点検などを積極的に行わないマンションであれば、建物の調査を行うのは、大規模修繕工事前の劣化診断くらいしかタイミングはありません。

ですが、構造スリットは(外壁タイルの浮きもそうですが)、劣化診断ではわからずに、大規模修繕工事の着工後、足場を掛けた時に発覚するケースが多いのです。

これにより、補修費用は膨れ上がり、売主との交渉のために工事もどんどん長引き・・といった具合に、住民に大きなストレスを与えます。工事用の足場が長期間外せない、というのも毎日の生活には大きな負担です。

更にひどいケースでは、不具合の発生による工事の中断や工期が延長されることを嫌い、このような不具合が発覚しても管理組合に正確に報告されなかった、という例もありました。

本来、人命を守るために設計されたものですから、地震発生時にきちんと機能するよう、適切に施工されなければなりませんので、未設置や設置不良が発覚した場合にはしっかり補修されるべきものです。

建物の健全性を確かめておく、という防災

自然災害による建物の被害は防ぎようがない部分がありますが、施工不良や瑕疵、部分的な著しい劣化などがあれば話は別です。

災害時、その被害を大きくならないよう、建物の健全性は早い機会に確かめておくことをおすすめします。

特に、活用すべきは、お引き渡しから2年目のアフターサービスです。

アフターサービスの期限は2年目、5年目、10年目など複数回の節目がありますが、2年目に期限を迎える事項が数多くあります。

先に挙げた、外壁タイルについても、アフターサービスの範囲で無償で補修してくれるのは多くのマンションで2年目までです。

早期に、マンションの不具合や施工不良を洗い出し、建物の状態をリセットしておくことで、本来起こらないはずの第2の被害を避けることにもつながります。

また、2年目、5年目などに調査会社によるアフターサービス活用のための建物点検を行っていないマンションは、10年目の期限が切れるその前に必ず、調査しておきましょう。

大規模修繕工事の劣化診断を前倒しして、その両方を兼ねる調査とする方法もおすすめです。

くわしくは、お気軽にお問合せください。

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