大規模修繕は膨大な費用がかかるため、管理組合は長期的に修繕積立金を積み立てて資金を確保しています。しかし想定外の修繕が必要になったり資材が高騰していたりすることで、修繕積立金が足りなくなるケースも少なくありません。
そこで活用したいのが、補助金です。大規模修繕のなかには、補助金の対象となる工事も多々あります。少しでも補助制度を受けられると金銭的な負担を軽減できるため、チェックしておきましょう。
本記事では大規模修繕で利用できる補助金について紹介します。大規模修繕の費用を削減する方法も解説しているため、まさに今大規模修繕を控えている方は、ぜひ参考にしてください。
目次
大規模修繕に使えるおもな補助金・助成金一覧
ここではおもに地方自治体が管轄している、大規模修繕で使える補助金・助成金を紹介します。
事業 | 対象 |
劣化診断補助事業 | マンションの劣化診断にかかる費用 |
分譲マンション共用部分改修費用補助 | 共用部に特化した改修費用 |
アスベスト除去等事業補助金 | アスベストの調査や除去費用 |
バリアフリー整備助成制度 | バリアフリー化するための費用 |
マンション耐震診断・耐震改修補助制度 | 耐震強化を目的とした費用 |
分譲マンション計画修繕調査支援制度 | 長期修繕計画の見直し費用 |
防災対策整備費補助金 | 災害対策にかかる費用 |
屋上・壁面緑化助成 | 緑化するために費用 |
ちなみに、補助金と助成金はどちらも金銭的に支援してもらえる制度ですが、少し意味が異なります。一般的に助成金は条件を満たせば必ず支援を受けられる制度です。一方、補助金は採択件数などに上限があり、申請したからといって、必ず受給できるわけではないことを覚えておきましょう。
ここで紹介する補助金や助成金は、それぞれ自治体によって内容や名称に若干の違いがあります。下記では、それぞれ大まかな内容を紹介しますが、詳細については各自治体に確認してください。
(1)劣化診断補助事業
劣化診断補助事業は、大規模修繕を実施する前や長期修繕計画を見直す際に実施する、マンションの劣化診断にかかる費用を補助する事業です。劣化診断では、マンションを現地調査し現状の劣化状況を診断します。劣化診断は、大規模修繕に直接関係するものではありませんが、マンションの修繕内容を検討したり修繕計画を立てたりするうえで不可欠です。
東京都千代田区の場合
東京都千代田区は、マンション関連の支援制度が充実しており、そのなかの1つに「マンション劣化診断調査費助成制度」があります。対象は、現に住宅として使用されている、築8年以上経過したマンションです。
助成額は、調査に要する費用の3分の2で50万円の上限が設けられています。
調査対象の項目は以下のとおりです。
・防水
・壁面
・鉄部
・電気設備
・給排水設備など
上記のほかに、長期修繕計画作成費(上限80万円※翌年度は30万円)や簡易耐震診断に係る費用(上限20万円)も助成の対象です。
参照:公益財団法人まちみらい千代田「千代田区で活用できるマンション関連支援制度」
(2)分譲マンション共用部分改修費用補助
マンションの共用部の修繕工事に特化した補助制度です。壁面改修・防水工事・防災対策・バリアフリー化などの設計・工事費用が対象です。
壁面改修や防水工事は、大半のマンションで大規模修繕に含まれます。補助制度を活用できる可能性が高いため、マンションのある自治体に確認しておきましょう。
東京都中央区の場合
東京都中央区では修繕と防災対策にかかる設計・工事費用が助成されます。対象のマンションは区内にある築20年以上のマンションで、具体的な工事内容は以下のとおりです。
・壁面改修
・鉄部の塗装、取替え
・屋上、バルコニー、外部共用廊下の防水
・給排水管の更生、取替え
・受水槽の耐震型への取替え
・エレベーターへの耐震改修工事
・防災備蓄倉庫の設置
・防火水槽の設置
・電気設備への浸水対策工事など
設計費用の助成額は、対象部分の設計費の3分の2(上限100万円)、工事費用は対象工事費に10%を乗じた額の3分の2(上限1,000万円)です。
(3)アスベスト除去等事業補助金
アスベスト除去等事業補助金は、アスベストの使用有無の調査や除去工事などに要する費用の補助制度です。
アスベストは健康被害のリスクがあることから、平成18年に使用が禁止されています。しかし、平成18年以前に建設されたマンションはアスベストが残存している可能性があるのです。該当するマンションはアスベスト除去などに関する費用が補助されるため、ぜひ活用しましょう。
大阪府堺市の場合
大阪府堺市には「堺市住宅・建築物吹付けアスベスト対策事業補助金」があります。吹付けアスベストの使用有無の調査委託費と除去工事費が補助の対象です。
調査委託費は、一棟につき25万円を限度とし、分析調査にかかった費用が補助されます。工事費は対象経費の3分の2以内で、一棟につき100万円が上限です。
参照:堺市「堺市住宅・建築物吹付けアスベスト対策事業補助金」
(4)バリアフリー整備助成制度
バリアフリー整備助成制度は、マンションの敷地など共用部をバリアフリー化するための工事にかかる費用が助成されます。
エントランスの段差解消・階段の手すり取り付け・スロープの設置など、高齢者が安全で快適に過ごすための対策が対象です。高齢化が課題となっている現在、バリアフリー化工事は、居住者だけでなく購入検討者へのアピールにもなります。大規模修繕のタイミングでバリアフリー化工事も検討しましょう。
神奈川県横浜市の場合
神奈川県横浜市では「マンションの共用部等のバリアフリー化補助」の制度があります。
横浜市マンション登録制度に登録することが、補助要件です。おもに以下のバリアフリー化が対象になります。
・敷地内の通路
・駐車場
・廊下
・階段
・エレベーターなど
補助金額はバリアフリー化等の工事費の3分の1で30万円が上限です。手すり設置工事は、30万円または1戸当たり8,000円のうち、低額なほうが上限になります。
(5)マンション耐震診断・耐震改修補助制度
マンション耐震診断・耐震改修補助制度は、旧耐震基準で建設されたマンションの耐震診断や耐震改修工事にかかる費用を補助します。
旧耐震基準に該当するのは、1981年5月31日以前に確認申請を受けたマンションです。旧耐震基準では「震度5強程度で倒壊しない」ように設計されていますが、近年は震度6を超える地震もめずらしくありません。
旧耐震基準のマンションは、補助金を活用して地震に備えましょう。
千葉県千葉市の場合
千葉県千葉市には「令和6年度分譲マンション耐震診断補助制度」があります。あくまでも耐震診断費用を助成する制度のため、耐震工事は対象になりません。
補助額は、耐震診断費用の3分の2ですが、年度予算の範囲内で以下のように上限があります。
・予備診断~1棟あたり34,000円または1管理組合あたり17万円のいずれか低い額
・本診断~1管理組合あたり400万円または補助対象面積に応じた上限額
本制度は令和6年度の受付は終了しておりますが、来年度も同様の補助制度が設けられる可能性があるため、チェックしておきましょう。
参照:千葉市「令和6年度分譲マンション耐震診断補助制度のご案内」
(6)分譲マンション計画修繕調査支援制度
分譲マンション計画修繕調査支援制度は、マンションを計画的に修繕することを目的として、長期修繕計画の見直しや劣化診断などにかかる費用を補助する制度です。
専門業者に計画の見直しや劣化診断を依頼した場合に、費用の一部が助成されます。長期修繕計画は、よりマンションの実態に合ったものにするために、5年に1度の頻度で見直すのが理想です。
長期修繕計画を見直し、大規模修繕の実施時期や内容を適正にすることで、修繕積立金の無駄遣いも防げます。
東京都江東区の場合
東京都江東区では「マンション計画修繕調査支援事業」で計画的な修繕に向けて、修繕箇所・時期・内容・金額などの調査にかかる費用を助成しています。
対象は江東区内にある築7年以上経過した、耐火建築物の民間マンションです。
調査項目は以下のとおりです。
・屋上または屋根、バルコニー、外部廊下などの防水に関する調査
・外壁、内壁、天井、床などの壁面に関する調査
・手すり、扉、階段、配管などの鉄製品に関する調査
・給水管及び排水管に関する調査
助成額は調査費用の3分の1です。戸数規模に応じて21万9千円~79万3千円までの上限額が設定されています。
(7)防災対策整備費補助金
防災対策整備費補助金は、地震などの災害に備えた共用部の修繕や整備にかかる費用に対する補助制度です。補助の対象となる項目は、防災マニュアル作成やエレベーターの防災対策、共用部の防災工事など多岐にわたります。
防災対策は、マンションの災害リスクにより重要度が変わってくるため、ハザードマップなどでどのようなリスクがあるのか確認し、補助金を活用し対策しましょう。
千葉県浦安区の場合</h4>
千葉県浦安区では「分譲集合住宅のエレベーター防災対策整備費補助金」があります。エレベーターの防災対策装置を設置する、以下の工事が対象です。
・P波感知型地震時管制運転装置
・停電時自動着床装置
・非常用電源装置
補助金の額は、かかった経費の3分の1以内で、工事内容によって50~100万円の限度額が設定されています。
参照:浦安市「分譲集合住宅のエレベーター防災対策整備費補助金」
(8)屋上・壁面緑化助成
屋上・壁面緑化助成は、名称のとおり屋上や壁面に植物を植えて緑化する際にかかる費用を助成する制度です。とくに都心など緑が少ない場所は、気温が上昇するヒートアイランド現象が生じます。都心にあるマンションなどでは屋上や壁面の緑化が推進されており、助成制度を設けている自治体が多いです。
東京都杉並区の場合
東京都杉並区でも屋上・壁面緑化工事費の助成制度があります。
対象緑化面積が3㎡以上あること、屋上や壁面が緑化できる構造であり、建築物の安全強度が確認できることなどが条件です。
以下の経費が助成の対象になります。
・防水や土壌など植栽基盤の造成に要する費用
・植物などの植栽に要する費用
・プランター代
・植物の枝葉やつるを誘引するためのワイヤー等を設置する経費など
助成金額は、屋上緑化が1㎡あたり25,000円(法人の場合20,000円)、壁面緑化が1㎡あたり12,500円(法人の場合8,000円)です。
令和6年度の全国対象の大規模修繕に使える補助金・支援事業
自治体ごとに設けられている制度以外にも、全国を対象とした大規模修繕に使える補助金や支援事業もあります。ここでは以下5つの事業について詳しくみていきましょう。
・長期優良住宅化リフォーム推進事業
・既存住宅の断熱リフォーム支援事業
・次世代省エネ建材の実証支援事業
・子育てエコホーム支援事業
・先進的窓リノベ2024
順に解説します。
(1)長期優良住宅化リフォーム推進事業
長期優良住宅化リフォーム推進事業は、既存住宅の質や防災性などを向上させることを目的としたリフォームに要する費用を支援する事業です。
そのため、工事前にインスペクションを実施し、工事後には一定の性能基準に適合していることが求められます。さらにリフォーム履歴と維持保全計画を作成することも条件です。
補助額は、対象リフォーム工事費の3分の1です。工事後の性能基準により「評価基準型」と「認定長期優良住宅型」の2つのタイプがあります。
評価基準型の補助限度額は戸あたり80万円、より高性能な認定長期優良住宅型は、戸あたり160万円と高額なのが特徴です。さらに加算要件を満たすと、戸あたり50万円まで限度額が増額されます。
対象工事は以下のとおりです。
・省エネルギー対策(開口部の断熱改修など)
・維持管理・更新の容易性(給水管の更新など)
・耐震性(はりや壁の補強など)
・高齢者対策(エントランスにスロープ設置など)
・そのほかインスペクションで指摘を受けた工事など(屋上防水の改修など)
(2)既存住宅の断熱リフォーム支援事業
既存住宅の断熱リフォーム支援事業は、既存住宅の高性能建材を用いた断熱改修を支援する事業です。断熱材・窓・ガラスを組み合わせて、広範囲において断熱改修する「トータル断熱」と窓を用いて居間をメインに改修する「居間だけ断熱」の2種類あります。
大規模修繕などマンション全体で申請する場合の補助対象は、窓・玄関ドア・断熱材(トータル断熱のみ)の高性能建材および共用部のLED照明で、補助額は対象経費の3分の1以内です。
高性能建材は、戸あたり15万円(玄関ドアを含む場合は20万円)、LED照明は1カ所あたり8,000円が上限になります。
マンション全体で改修する場合の申請要件は以下のとおりです。
・総会等決議がない限りすべての住戸を改修する
・総会等で承認決議を得ること、および、議事録で確認できること
・区分所有法で共用部と区分されている窓などを改修する際は、管理規約等で共用部であると確認できる
参照:公益財団法人北海道環境財団【全国対象】既存住宅の断熱リフォーム支援事業
(3)次世代省エネ建材の実証支援事業
次世代省エネ建材の実証支援事業は、高性能断熱材や蓄熱・調湿材による効果の実証を支援する事業です。マンションの場合は内張り断熱と窓断熱が対象になります。
内張り断熱は、断熱パネルまたは潜熱蓄熱建材を用いた改修が必須です。補助額は対象経費の2分の1以内、戸あたり125万円が上限になっています。
窓断熱は、本事業の登録商品であるグレードの窓、および玄関ドアを用いた改修が必須です。補助額は、対象経費の2分の1以内で戸あたり150万円が上限です。
令和6年度は、予算額が上限に達したため受付を終了していますが、平成30年からは毎年公募しているようなので、来年度の申込みを検討しましょう。
参照:一般社団法人環境共創イニシアチブ「令和6年度次世代省エネ建材の実証支援事業」
(4)子育てエコホーム支援事業
子育てエコホーム支援事業は、住宅取得や省エネ改修を支援する制度です。子育て世帯でなくても条件を満たせば支援を受けられます。対象工事は以下のとおりです。
・開口部の断熱改修
・外壁、屋根、天井または床の断熱改修
・エコ住宅設備設置
そのほか子育て対応改修やバリアフリー改修、防災性向上改修なども、上記の工事と同時におこなうことで補助の対象となります。
原則最大20万円が補助されますが、2005年4月2日以降に出生した子がいる「子育て世帯」、夫婦いずれかが1983年4月2日以降に生まれた「若者夫婦世帯」、長期優良住宅認定を受ける場合などは、最大60万円まで補助を受けられます。
(5)先進的窓リノベ2024
先進的窓リノベ2024は、断熱窓への改修により省エネ化を促進するための事業です。以下の工事が対象になります。
・ガラス交換
・内窓設置
・外窓交換(カバー工法・はつり工法)
上記3つと同一の契約で同時申請する場合に限り、ドア交換も対象です。
戸建て・低層集合住宅・中高層集合住宅など住宅の建て方や窓の性能、大きさ、設置方法によって、戸あたり5~200万円までが補助されます。
補助金や支援事業を活用するときの注意点
大規模修繕で補助金や支援制度を活用するときは以下4つの注意点があります。
・制度によって条件・定員・期日がある
・工事業者が指定されていることがある
・補助金は工事完了後の受け取りになる
・過去に利用した補助金は使えない可能性がある
順に解説します。
制度によって条件・定員・期日がある
補助金や支援制度を受けるには、条件を満たす必要があります。しかし条件を満たしていても、予算が上限に達していたり申請期日に間に合わなかったりすると、支援を受けられません。
毎年募集している制度もありますが、内容が若干変わっているケースもあるため、希望する補助金や支援制度があれば、早めに準備しておきましょう。
工事業者が指定されていることがある
補助金の対象工事であっても、指定されている工事業者でなければ、支援を受けられないケースもあります。
とくに自治体でおこなっている補助金や支援制度は、申請する自治体にある業者などに限定していることが多いです。
過去に補助金を活用した工事を経験している業者であれば、申請手続きなどもスムーズに進められるため、補助金の活用実績を確認してみましょう。
補助金は工事完了後の受け取りになる
補助金を受け取れるタイミングは、基本的に工事完了後です。申請して支援を受けられることが決定したとしても、工事前に入金するわけではないため、工事費用は全額用意しておきましょう。
補助金の受け取りまでにかかる期間は、制度や自治体により異なります。余裕をもった資金計画および修繕計画が大切です。
一般的な補助金を受け取るまでの流れや必要書類は、下記記事でまとめていますので参考にしてください。
外壁工事の助成金(補助金)はいくら?適用条件や受け取る方法・注意点を解説
過去に利用した補助金は使えない可能性がある
過去に利用したことがある補助金は再度使えない可能性があります。繰り返し使える場合でも、回数が制限されていたり、〇年間は使えないなど期間が設けられていたりするケースも少なくありません。
過去に補助金や支援制度を使って大規模修繕した経緯がないか、修繕履歴で確かめておきましょう。
【事例紹介】大規模修繕は補助金を使えなくてもコスト削減できる
大規模修繕の資金が足りないときは、補助金の活用だけでなく、コスト削減も視野に入れましょう。ここでは大規模修繕のコスト削減に成功した方法と事例を3つ紹介します。
・大規模修繕工事の発注方法を変えて3億円削減
・工事の範囲・仕様を見直して1億円削減
・大規模修繕の時期を遅らせて計画上で2億円削減
順にみていきましょう。
事例1:大規模修繕工事の発注方法を変えて3億円削減
大規模修繕の発注方法を変えると、施工会社の規模や工事内容を変更しなくても修繕コストを削減できる可能性があります。
ある全700戸規模のマンションでは、管理会社による責任施工方式で大規模修繕の見積もりをとったところ、10億円と提示されました。
そこでさくら事務所にご相談いただき、プロポーザル方式にて、公募で集まった複数の施工会社に見積もり依頼したところ、施工会社規模や工事内容を変えることなく、当初の10億円から3億円のコスト削減に成功したのです。
責任施工方式では1社のみに見積もりを依頼するため、競争原理が働きにくく高額になりやすいデメリットがあります。
プロポーザル方式は、競争相手がいるだけでなく、工事仕様から各社に提案してもらうため、内容や金額で付加価値の高い見積もり内容になるのがメリットです。その分比較検討が難しいですが、さくら事務所が提案内容を精査することで、マンションにとってベストな施工会社選定が可能になります。
プロポーザル方式を含めた各発注方法については下記記事を参考にしてください。
【図解付】責任施工方式や設計監理方式など大規模修繕の発注方式の違い
事例2:工事の範囲・仕様を見直して1億円削減
施工会社を変更しない場合は、工事の範囲と仕様を見直すことで工事費の削減が可能です。
3回目の大規模修繕でもともと6億円かかるはずのマンションで、実際に1億円削減した事例があります。
設計監理方式で決められた仕様に基づき、見積もられた金額は6億円でしたが、屋上防水工事の方法を変更することで5億円に削減できました。
当初の見積もりでは、屋上防水層を剥がしてやり直す見積もりになっていました。しかし、当該マンションは2回目の大規模修繕で既存の防水層を剥がして新しい防水処理をおこなっていたため、3回目の大規模修繕では剥がさず上から被せる方法に変更できたのです。
事例3:大規模修繕の時期を遅らせて計画上で2億円削減
大規模修繕の時期を遅らせると、長期修繕計画上で大幅なコスト削減が見込めます。
あるマンションでは築11年目におこなった劣化診断によって、翌年に大規模修繕することが決まり、施工会社を決定するタイミングでした。
ところが、住民の一人がはなった「大規模修繕が必要なほど劣化が進んでいるとは思えない」の一言でさくら事務所へご相談いただきました。
住民のみなさまと実際にマンションを見てまわった結果「今工事する必要はない」と判断され、築15年を超えた現在でも大規模修繕をおこなっていません。
築18年まで工事を延期できれば、築36年目までに2回の大規模修繕ですみますが、築12年で工事していたら大規模修繕は3回必要になります。
大規模修繕1回分の費用を2億円と想定すると、将来的に2億円削減できることになるのです。
ここまで、費用削減についてお話ししましたが、さくら事務所では、費用の削減を目的としているのではなく、「適切な費用で適切な工事を行うこと」を目的としています。費用の削減ばかりにフォーカスしたコンサルティング会社もありますが、かけるべきところにはしっかり費用をかけて、適切な大規模修繕工事をするのが本来、マンションが追求すべき大規模修繕工事の在り方ではないでしょうか?
費用をかけてまで第三者にセカンドオピニオンを依頼するメリット
大規模修繕工事の費用削減は、管理組合だけで実現するのは難しく、第三者の専門家にアドバイスもらうのが得策です。
当然、第三者のセカンドオピニオンを利用するには、費用がかかります。「コストを削減したいのに支出が増えるのは避けたい」と考える方も多いでしょう。しかし、費用をかけてでも依頼するメリットがあります。
・費用対効果が高い
・工事の方針にお墨付きをもらえる
費用対効果が高い
第三者に依頼するときにまず気になるのが、費用ではないでしょうか。コンサルティング費用単体で考えると高額に感じるかもしれませんが、利用した結果、億単位で工事費を削減しながら、適切な工事だけ行うことができるるケースも少なくありません。コンサルティング費用も含めたトータルの工事費用でみると、非常に費用対効果が高いのです。
ちなみに、さくら事務所では、大規模修繕セカンドオピニオンサービスを1時間まで無償で行っています。お気軽にお問い合わせください。
工事の方針にお墨付きをもらえる
セカンドオピニオンの結果、予定していたとおりの工事になったとしても、第三者の専門家にアドバイスをもらったことで、総会で説明するときに後ろ盾となり、説得力が高まります。
自分たちの大規模修繕の方針に間違いがないとお墨付きをもらえるため、自信をもって工事を進められるでしょう。
大規模修繕では、相場以上の費用を請求されたり、時期尚早な修繕で積立金をむだに使ってしまったりするケースも多々あります。そうした問題を心配することなく、大規模修繕を進められる安心感は大きいでしょう。
大規模修繕は補助金の活用と修繕費削減で資金不足に備えよう
大規模修繕で使える補助金は意外に多くあります。うまく活用できれば、大幅に修繕積立金を節約できるため、募集要項や対象工事などをしっかり確認し、早めに補助金の申請に向けて準備しておきましょう。
資金不足にお悩みの方は、修繕費を削減することも検討してください。大規模修繕の発注方式や工事内容、実施時期などを見直すことで、億単位の修繕費削減に繋がる可能性があります。
さくら事務所では大規模修繕の施工会社選びをサポートするサービスや、大規模修繕のセカンドオピニオンサービスを実施しています。
業務経験平均20年以上のベテランコンサルタントが、利害関係のない第三者として、アドバイス可能です。850件を超える対応実績があるため、これまで積み重ねた経験から、マンションにとってベストな方向性や解決策を提示できます。
・工事の進め方から検討しなおしたい
・見積もりはとったけれど修繕費用の妥当性がわからない
・修繕積立金が足りずに借り入れや一時金の徴収を提案されている
・現状の施工会社やコンサルティング会社に不信感がある
上記のようなお悩みがある方は、ぜひさくら事務所までご相談ください。
専門家がサポートする大規模修繕工事の施工会社選び「修繕★参謀」
また以下の動画では、高経年マンションの窓サッシ問題について詳しく解説しています。是非ご覧ください