マンションの耐用年数は何年?寿命との違いや年数を過ぎたらどうなるか徹底解説

  • Update: 2023-01-26
マンションの耐用年数は何年?寿命との違いや年数を過ぎたらどうなるか徹底解説

この記事はプロのホームインスペクターが監修しています

マンションの耐用年数と寿命。マンション購入者であればどちらも理解しておきたいところです。「耐用年数が経過したら住めない?」「寿命がきたらどうなるの?」と気になる疑問も多いでしょう。

この記事では、マンションの「耐用年数」と「寿命」の違いやそれぞれの詳細、耐用年数が過ぎたらどうなるのかを解説します。寿命を延ばす方法にも触れているので、ぜひ参考にしてください。

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マンションの耐用年数は何年?

耐用年数とは、税務上資産価値がある期間のことで、減価償却費を計算する際に用いられます。ここでは、マンションの法定耐用年数と減価償却費の計算方法についてみていきましょう。

法定耐用年数は47年

マンションの法定耐用年数は47年です。法定耐用年数は、国税庁が税金を計算するために設定しており、住宅用建物の場合は構造によって以下の表のとおり定められています。

構造 法定耐用年数
木造・合成樹脂造 22年
木造モルタル造 20年
鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造 47年
れんが造・石造・ブロック造 38年

一般的にマンションとは「鉄骨鉄筋コンクリート造」または「鉄筋コンクリート造」を指すため、耐用年数は47年になります。なお、給排水・衛生設備、ガス設備、電気設備など設備部分の耐用年数は47年ではなく、15年です。マンション本体と設備部分は、耐用年数に差があるため注意しましょう。

参照:国税庁「耐用年数(建物/建物附属設備)」

 

減価償却の計算方法

減価償却の計算方法は「購入費用×償却率」です。耐用年数の異なるマンション本体と設備部分は費用を分けて計算します。また、土地代は減価償却できないため「購入費用」に含めません。

「償却率」は耐用年数に応じて設定されています。耐用年数47年(マンション本体)だと償却率は0.022、15年(設備部分)だと0.067です。したがって、新築マンションの減価償却費は「(建物本体の購入費用×0.022)+(設備部分の購入費用×0.067)」で計算できます。

中古マンションの場合は、残耐用年数の償却率が必要です。残耐用年数の計算式は「耐用年数-(築年数×0.8)」。残耐用年数の償却率から、新築マンションと同様に減価償却費を計算しましょう。

参照:国税庁「減価償却資産の償却率表」

マンションの寿命は?耐用年数との違い

耐用年数と寿命は別物です。耐用年数が過ぎたからといって、マンションに住めなくなるわけはないのです。

一方、寿命はマンションの存続に直結します。寿命がくるとマンションとして十分な機能を果たせず、安全な暮らしができません。ここではマンションの寿命について詳細を解説します。

平均寿命は約70年

マンションの耐用年数は47年ですが、国土交通省が発表した資料によると、2011年に実施された固定資産台帳の滅失データをもとにした調査では、マンションの平均寿命は68年と推測した研究結果もあります。

1981年に耐震基準が見直され、震度6~7程度の大規模地震でも倒壊しない「新耐震基準」が設けられました。しかし、それ以前は震度6以上についての規定がなかったため、寿命でなくても新耐震基準に適合させる建て替え目的で、取り壊されたマンションもあるでしょう。

現在は新耐震基準により倒壊の可能性が低くなっていることもあり、今後は平均寿命の長期化が予想されます。

参照:国土交通省「期待耐用年数の導出及び内外装・設備の更新による価値向上について」

最長で100年以上年持つ可能性もある

新耐震基準以外の面でもマンションの性能は日々向上しています。定期的なメンテナンスを怠らず適切な補修をおこなっていれば、マンションの寿命は100年以上持つ可能性も十分あるでしょう。

とくに、内外装のリフォームや設備の交換は、新築時同等の回復を見込めます。さらに、躯体や基礎も部分的に補修していれば、大幅に平均寿命を超えられるでしょう。

国土交通省の資料によると、既往の研究例では、鉄骨鉄筋コンクリート造及び鉄筋コンクリート造の構造体の耐用年数をコンクリートの中性化が終わった時を持って効用持続年数が尽きるものと考え、マンションの構造部分における耐用年数は120年、外装仕上げ次第で150年程寿命を延ばせるといった知見もあると報告されています。

参照:国土交通省「期待耐用年数の導出及び内外装・設備の更新による価値向上について」

マンションの耐用年数が過ぎたらどうなる?

マンションの耐用年数が過ぎたら、寿命をむかえる前に今後の方針について考えておきましょう。おもに次の3つのケースが考えられます。

  • 建て替える
  • そのまま住み続ける
  • ディベロッパーへ売却

以下で順に解説します。

ケース①建て替える

マンションの建て替えには「全額区分所有者(居住者)負担」と「一部区分所有者(居住者)負担または居住者負担なし」2つのケースがあります。

基本的に、建て替えにかかる工事費用や工事中の仮住まい費用は、区分所有者(居住者)の負担です。建て替えるには、区分所有者および議決権の5分の4以上の賛成が必要ですが、費用負担が大きいため賛成を得るのは難しいでしょう。

そこで、所有者負担を抑え建て替えができるケースもあります。多くの場合はディベロッパーが事業協力者としてコンサルティングに入り、建て替え事業をサポートしており、容積率や高さ制限等をクリアしたうえで戸数を増やし、その販売費用を建て替え資金にあてることで負担を軽減しています。

戸数を増やせるだけの土地の広さや集客できる立地の良さなど、クリアすべき条件は多くありますが、検討する価値はあるでしょう。

ケース②そのまま住み続ける

適切に補修をし、居住に不便を感じていなければ、そのまま住み続けてもよいでしょう。とくに住民の高齢化が進むマンションの場合、建て替え費用の負担や新居探しはそう簡単ではありません。

マンションの建て替えは、経済的にも、日常生活を送る上でも、準備や時間がかかるなど、所有者にとって負担が大きいものです。しかし、マンションの老朽化が進むとあちこちから漏水したり、コンクリートが爆裂するなど、さまざまな不具合が生じるのも事実です。

マンションの老朽化は区分所有者だけでなく、地域の住環境にも悪影響を及ぼし、さらなるトラブルの可能性も否定できません。寿命がくる前に対策を急ぎましょう。

ケース③ディベロッパーへ売却

マンション1棟をディベロッパーに売却して得た利益を区分所有者に分配し、引越し費用に充てるケースもあります。

ディベロッパーの目的は、不動産を介して都市開発を進めること。マンションを取り壊したあとその土地に新たな建物を建設します。ディベロッパーへ売却する際は、売却利益からマンション解体費用が差し引かれるため、そこまで利益は多くなりません。

新居を探し引越しするための費用が不十分なケースもあり、区分所有者の賛成を得るのが困難です。

マンションの耐用年数は47年で平均寿命は約70年

耐用年数は国税庁が定めた資産価値のある期間のことで、寿命を表しているわけではありません。耐用年数である47年が経過しても問題なくマンションに住み続けられます。

マンションが寿命をむかえたとき考えられるのは、建て替えや売却。しかし、入居者負担が大きくなるケースが多いため、可能な限りマンションの寿命を延ばすことが重要です。マンションは、日々のメンテナンス次第で寿命を100年以上に延ばせます。

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土屋 輝之
監修者

土屋 輝之

2003年さくら事務所に参画、不動産仲介から新築マンション販売センター長を経る間に、不動産売買及び 運用コンサルティング、マンション管理組合の運営コンサルティングなどを幅広く長年にわたって経験。不動産、建築関連資格も数多く保持し、深い知識と経験を織り込んだコンサルティングで支持される不動産売買とマンション管理のスペシャリスト

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ホームインスペクション(住宅診断)をはじめとする個人向け不動産コンサルティングや管理組合向けコンサルティングを行っている。400を超えるマンション管理組合のコンサルティング実績をもち、大規模修繕工事や長期修繕計画の見直し、瑕疵トラブルなどの管理組合サポートサービスを提供している。

【監修】さくら事務所マンション管理コンサルタント(マンション管理士)

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