大規模修繕工事って何するの?大まかな流れから工事内容まで解説!

  • Update: 2022-02-14
大規模修繕工事って何するの?大まかな流れから工事内容まで解説!
住んでいるマンションの大規模修繕工事についてのアンケートが回ってきた…。ただ、大規模修繕工事って具体的に何をするのか、かかる期間や費用など、分からない方は多いと思います。そこで、本記事では大規模修繕工事について解説します。工事の大まかな流れやビフォーアフター事例、よくあるトラブルについても分かるので、ぜひ参考にしてください。

大規模修繕工事とは?

大規模修繕工事は、マンションやビルなどの経年劣化を防ぐために行う大きな工事です。足場を組む必要がある外壁塗装や一部屋ごとに交換メンテナンスを行う配管工事、防水工事などが当てはまります。

大規模修繕工事は応急処置ではなく、建設当初の水準に戻すことが目的です。国土交通省のガイドラインでは、「マンションの快適な居住環境の確保」と「資産価値を維持」するための、高額で長期的な工事と定義されています。

大規模修繕工事が必要な理由

大規模修繕工事が必要な理由は、マンションの居住者の安全のほか美観や価値を守るためです。マンションは、コンクリートやタイル、鉄などさまざまな素材でできています。素材にはそれぞれ耐用年数があり、それに合わせてメンテナンスが必要です。

例えば、コンクリートの外壁なら塗装の劣化、ひび割れによって雨水が浸入すると内部の腐食が進み、コンクリート躯体の内部にダメージが広がり、強度が下がることにもなりかねません。大きな台風や地震の多い日本ではとくに、点検や修繕工事で建物本来の強度を保ち安全を確保することが大切です。

大規模修繕工事の内容

大規模修繕工事の大まかな流れから工事の内容について解説します。

工事の大まかな流れ

まずはじめに、多くの場合ではコンサルタントに依頼し、建物の調査や診断を行います。コンサルタントに修繕の仕様を作成してもらい、概ねの費用を見積ります。その後施工会社を選出し、コンサルタントのサポートを受けながら施工会社と請負契約を締結して、いよいよ工事開始です。工事が終わったら完了検査を経た後に工事完了引渡書が交付されます。その後のアフターサービス点検の実施時期などについて忘れずに確認しましょう。

仮設工事

仮設工事は、大規模修繕工事を行うための準備です。足場を組んだり施工業者の事務所やトイレの設置などを行います。また、足場には飛散防止シートを張り、作業中の落下物や塗料の飛散を防止します。仮設工事は施工者だけでなく居住者の安全はもちろん、工事の品質を確保するための大切な準備です。

下地・タイル補修

下地・タイル補修では壁や屋上などのひび割れなどを直します。下地は丁寧に補修しないと後々の塗装作業の仕上がりに影響するほか、雨水が侵入する原因となるため短期間で補修が必要になることも。タイル補修はおもに落下防止が目的となりますが建物の耐久性の向上にも効果があります。また、下地・タイル補修工事の費用は工事前の劣化診断により手の届く範囲の調査結果を参考に算出した想定数量による見積額となっているため、仮説足場を設置してから行う調査結果によって、実施数量を確定させ見積額との差額について清算する「実数清算」という条件で契約されているのが一般的です。

シーリング工事

シーリング工事とは、おもに外壁やサッシ周りなどの防水工事を指します。シーリングは気温の変化などによる建物の微細な動きに合わせて伸縮し、防水性を保持する役割があります。地震による建物の挙動や紫外線の影響で、5~7年ほどでひび割れや収縮が起きます。建物の劣化が起きるのはシーリング部分からというケースが多いので、こまめな点検がとても大切です。

近年、耐久性の高いシーリング材の開発が進み普及し始めていますので、材料の選定には一考の余地があります。

塗装工事(外壁・鉄部)

塗装工事は、マンションの美観保持のほか、建物を汚れや水から守ります。外壁は下地との相性が大切で、相性が良ければ既存の塗装の上から塗り重ねが可能です。相性が悪い場合は既存の塗料の除去が必要で、工期が長く費用も高くなることがあります。

鉄部は外階段や手すりなどの、サビや汚れを落として塗料でコーティングし、耐久性を高めます。塗料には、安価なアクリルやシリコンのほか耐候に優れたフッ素や光触媒などさまざまな種類があるので、耐侯年数や予算に合わせてじっくり検討しましょう。

外壁や鉄部の塗装に使用する塗料も、耐久性の高い材料の普及が進み従来品との価格差も
少なくなってきていますので、材料の選定には一考の余地があります。

防水工事

マンションの外壁や廊下、屋上やベランダ部分は耐侯性に特化した素材が使われていますが、防水の劣化によって浸水すると建物の内部にダメージを与えます。コンクリートにアスファルトや樹脂のシートなどを張る工法や、ウレタンなどの塗膜で保護する工法があります。

屋上から浸水した水は、直下の専有部分内に漏れるだけでなく広範囲に影響を及ぼすケースの少なくありません。専有部分内への漏水は日常生活に深刻な被害をもたらすので、早急に補修することが必要になります。

大規模修繕工事における3つのポイント

大規模修繕工事を行うなら、以下の3つのポイントを踏まえて計画しましょう。

①大規模修繕工事にかかる費用

大規模修繕工事にかかる費用は、建物の形状や仕上げ材のグレードなどによって異なりますが、1住戸あたりの負担額が75万円~25万円程度は必要といわれていますが、小規模なマンションでは割高になる傾向があります。

総戸数100戸で1億円程度の費用がかかる場合には、1住戸あたり100万円ということになります。

②大規模修繕工事の工事期間

大規模修繕工事は、マンションの形状や規模によってさまざまですが、一般的には6カ月から10カ月程度というケースが多いようです。工事の前の調査や見積もり作成の期間を含めると1年~2年ほどかかるため、スケジュールは余裕を持たせて計画することが大切です。

③大規模修繕工事の周期(タイミング)と回数

大規模修繕工事の周期は立地などによる環境の違いや建物の形状や仕上げなどにより、一概に決めることは難しいものですが、一般的には12~14年程度の周期で繰り返し行われるという計画になっています。しかし、近年では大手管理会社による16~18年周期による計画を可能とする大規模修繕工事の仕様が提案され、修繕周期を長期化することにより竣工後60年間に必要となる大規模修繕工事の回数を減らすことで、建物の修繕コストのを削減するという考え方が注目されています。

よくあるトラブル – 事前にできる対策とポイント

なぜ、大規模修繕は12年周期が一般的なのか?

大規模修繕工事では、以下のようなトラブルが多く見られます。事前にできる対策とポイントについてもいくつかみていきましょう。

管理組合内の意見がまとまらない…

大規模修繕工事では、実施時期や予算などで区分所有者間の意見がまとまらないことがあります。大規模修繕工事の計画には、長期的な計画・実施に対応するための体制づくりも必要です。

理事会とは別に、大規模修繕工事委員会を立ち上げる管理組合も少なくありません。

委員会を設置すると工事をお願いする施工会社との打ち合わせや住民への配慮などに対応しやすくなります。大切なことは住民の声を公平に聞き入れ、透明性を保つことを常に意識することです。

工事開始後に施工範囲が増え、予算を大幅に超えそう…

事前の点検から工事開始まで月日が経過した場合や、工事施工後に外壁タイルなどに大きな不具合が発見された場合などに起きやすい事例です。とくに外壁タイルなどの異状は外観を目視するだけでは判断できないことがあるので注意が必要です。

近年ではドローンを使った調査を取扱う調査会社も増え、足場を設置することなく赤外線による外壁調査が普及しています。ドローンによる調査では足場代が不要になるので、従来よりも安価に外壁の状態を事前にチェックすることが可能です。

仕上がりが思っていたのと違う…

サンプルを見ながら決めても、実物の印象が違うことは多いです。仕上がりを重視するなら、実際のマンションの外壁などにタイルや塗装のサンプルを当ててみましょう。サンプルが小さい場合は大きいサンプルを作ってもらうと分かりやすいです。小さい規模と広範囲では印象が変わりやすいので、質感や柄があるものは特に、広く見ることが大切です。

工事完了後にトラブル発生、どうしよう…

無事に工事が終わっても、管理組合の中に詳しい人がおらず、工事中、完成検査において、手抜き工事になっていないか確認できない場合が多く、数年も経たないうちに漏水などのトラブルが発生することがあります。

予算を抑えるために他の施工会社に比べ明らかに安価に工事を引き受ける施工会社を選んだ場合などでは、工事費用を圧縮するために未熟な施工者や品質が不十分な材料が使用されることも原因です。見積もりや打ち合わせでの際には工事価格だけでなく、工事履歴や現場代理人の経験値なども踏まえた上で安心して任せられられる施工会社を選ぶことがポイントです。竣工時には問題ない施工に見えたのに、一年もしないうちに雨漏り、外壁タイルの剥落が発生するトラブルケースもありますので、工事完成後の保証についても施工会社選定時に確認しておくことが必要です。

施工会社選定から、請負契約までのトラブルについて

  • 工事価格が不透明、割高な気がする
    管理組合の中に詳しい人がおらず、見積もりの内容を確認しても妥当な工事か理解できない。工事費が割高な気がするが、先送りした場合のリスクがわからない。
  • 設計・監理者が、工事会社の選定などに際し談合を主導
    公正中立な立場のはずの設計監理者が、特定の業者に便宜を図り、バックマージンを受け取るなど、工事費用は安くないのに、工事品質には反映されない
  • 不利な契約内容になっていないか不安
    管理組合の中に修繕工事や建築工事請負契約に詳しい人がおらず不利な請負契約になっていないかチェックできない

あわせて読みたいコラム

まずは無料相談から

050-1745-3309

受付時間 10:00~18:00(土日祝も営業)

writer01

株式会社さくら事務所

ホームインスペクション(住宅診断)をはじめとする個人向け不動産コンサルティングや管理組合向けコンサルティングを行っている。400を超えるマンション管理組合のコンサルティング実績をもち、大規模修繕工事や長期修繕計画の見直し、瑕疵トラブルなどの管理組合サポートサービスを提供している。

【監修】さくら事務所マンション管理コンサルタント(マンション管理士)

メールマガジン登録

マンションの住み心地&資産価値アップのためのお役立ち情報をお届けします。

メールアドレス
close