「マンションで水が出ない」というのは、実はめずらしいことではありません。しかし、予告なく長時間水が出ないようであれば、普段の暮らしに影響がでてくるため、早く何とかしたいところです。
深夜や早朝の場合はどこに連絡すればよいかわからず、より不安に感じることも。焦る気持ちはわかりますが、自分ひとりで解決できるケースもあるため、まずは落ち着いて水が出ない原因を確認しましょう。
本記事では、自分の部屋だけ水が出ないときとマンション全体で水が出ないときの2パターンに分けて、その原因と対処法を解説します。深夜・早朝に水が出ないときの連絡先や注意点も紹介しますので、参考にしてください。
目次
マンションで自分の部屋だけ水が出ない原因
マンションで自分の部屋だけ水が出ないとき、以下4つの原因が考えられます。これらの原因で水が出ないときは、自分で対処または修理依頼することになるでしょう。
・止水栓が閉じている
・混合栓の故障
・専有部配管の劣化・凍結
・水道料金の滞納
順に詳しく解説します。
(1)止水栓が閉じている
止水栓が閉じていると、給水されないため、水道の蛇口を開けても水は出ません。通常、止水栓は開いたままになっていますが、引っ越してきたばかりやマンション工事があったときなど、止水栓が閉じられるケースもあります。
すべての蛇口から水が出ないときは、パイプシャフト内にある自室の給水の元栓となる止水栓、1か所の蛇口のみ水が出ないときは該当する水栓の下にある止水栓が閉まっている可能性が高いです。
止水栓のバルブがそれ以上時計回りに回らない場合は、止水栓が閉じていると判断できるため、バルブを反時計回りに回して、止水栓を開けましょう。
(2)混合栓の故障
止水栓は開いているのに、水が出ない蛇口があるときは、混合栓が壊れているのかもしれません。混合栓は、お湯と水、止水と給水を切り替える役割があります。混合栓までは水がきていても、混合栓が故障していると、水やお湯が出てきません。
混合栓は、ホームセンターなどで購入でき素人でも交換できるタイプもあります。しかし、手間と時間がかかるうえ水が漏れてしまうこともあるため、専門業者に修理や交換を依頼するのがおすすめです。
(3)専有部配管の劣化・凍結
専有部の配管の劣化や凍結により、水が出なくなることもあります。配管付近で水漏れが生じているときは、配管が劣化し破損しているかもしれません。配管付近に異常がないか確認してみましょう。
冬季に数日間家を空けたときや、寒い時期の夜間や早朝に水が出ないときは、凍結が疑われます。熱湯などで解凍するとかえって配管を傷めるため、気温があがって解凍されるまで待ちましょう。
ただし、凍結すると配管内の水の体積が膨張することから、配管が破損し漏水事故に発展することも。凍結の可能性が高いときも、パイプシャフト内や配管周りを注意してみておきましょう。
(4)水道料金の滞納
水道料金を滞納すると、水道が止められます。水道料金の督促なしに突然水道を止められることは考えにくいですが、督促状が届いているのに支払いを怠っている場合は、水道料金の滞納が原因かもしれません。
口座振替で支払っている場合は、ほかの引落しで口座残高が足りなくなり、水道料金が引き落とせない状態になっているケースもあります。気づかぬうちに滞納しているケースもあるため、心当たりがある場合は、各自治体の水道局に確認し、未払いがあればすぐに支払いましょう。
マンション全体で水が出ない原因
水が出ない原因が、専有部の設備関連や水道料の滞納でなさそうなときは、マンション全体で水が出ていない可能性があります。管理会社に状況を報告し、自分の部屋だけ水が出ていないのか、マンション全体なのか確認しましょう。
マンション全体で水が出ない原因は「断水」または「受水槽や給水ポンプのトラブル」の2つが考えられます。この場合は、自己判断で対処せずに管理会社の指示を仰ぎましょう。以下で詳しく解説します。
(1)断水
マンション全体で水が出ないときは、まず断水を疑いましょう。
マンション設備のメンテナンスやマンション近郊の工事など、計画的な断水の場合は、必ず事前に掲示やポスティングなどで、告知されているはずです。計画断水の予定は、マンション内の掲示板や自治体のホームページなどで確認できます。
地震などの災害で予期せぬ断水が生じることも。災害による断水の状況は、厚生労働省のホームページで確認しましょう。断水の場合は、水が出るようになるまで待つしかありません。
(2)受水槽や給水ポンプのトラブル
マンション全体へ水を供給する受水槽や給水ポンプなど、共用部分の給水設備にトラブルが起きていて水が出ないこともあります。計画断水や地震などの災害がなく、マンション全体で水が出ないときの原因は、共用部の設備トラブルが濃厚です。
居住者が個人では対応できませんので、管理会社や管理人へ水が出ないことを報告し、指示に従ってください。
深夜や早朝は?水が出ないときの連絡先
マンションで水が出ないときの連絡先は以下の表のとおりです。
水が出ない原因 | 連絡先 |
滞納している | 水道局 |
混合栓が故障している | 蛇口メーカー・水道修理業者 |
原因がわからない | 管理組合・管理人・管理会社 |
自分で対処しても水が出ないときは、管理会社に連絡しましょう。計画断水やトラブルが起きているのか、自分の部屋だけなのか確認しましょう。マンション全体または複数戸で水が出ていない場合は、管理会社や管理組合側で、修理や点検を手配します。
水が出ないのが自分の部屋だけだったとしても、配管の劣化や故障が疑われる場合は、必ず管理会社または管理組合の指示を仰ぎましょう。各住戸の配管はマンション内で繋がっているため、自己判断で業者に修理を依頼しないように注意してください。
深夜や早朝の連絡先は、マンションに掲示されている夜間緊急連絡先です。夜間緊急連絡先が不明な場合は、24時間稼働している水道修理業者に連絡しましょう。
水が出ないときの注意点
水が出ないとわかったときは、以下の3点に注意しましょう。
・蛇口を開けっ放しにしない
・トイレの使用を確認する
・水が出てもすぐに使用しない
順に解説します。
蛇口を開けっ放しにしない
水が出ないとわかったら、すべての蛇口を閉じておきましょう。蛇口を開けっ放しにしていると、水が出るようになったときに、水が流れ続けます。すぐに気づけばよいですが、就寝中や外出中に水が流れ続けると、シンクなどから水が溢れて水浸しに。階下の部屋まで水が漏れてしまうと賠償責任が発生します。
トイレの使用を確認する
単にトイレの水が出ないだけであれば、ほかからもってきた水を排泄後に便器に流せば、トイレは使えます。ただし、方法を間違えると詰まりの原因になることも。断水時の正しい使用方法は、各メーカーのホームページや取扱説明書に記載しているため、確認しながら注意して使いましょう。
災害などで断水だけでなく、排水管や下水道も正常に機能していない場合は、汚水が逆流する可能性があることから、トイレの使用が禁止されるケースもあります。管理会社や管理組合に、トイレの使用可否についても予め聞いておきましょう。
水が出てもすぐに使用しない
断水解消の直後はすぐに水を使ってはいけません。断水解消後は、水が濁っていたりサビなどの異物が混ざっていたりすることもあります。しばらく水を流して、濁りがなく透明な水になってから使用しましょう。
また、断水が終わってすぐあとは管内に空気が含まれています。蛇口を全開にして勢いよく水を出すと、空気圧により、水が飛び散ったり配管や混合栓を破損してしまったりするため、少しずつ蛇口を開いてください。
マンションで水が出ないときの過ごし方
マンションで水が出ないときは、以下の工夫をして、最低限生活できる環境を整えましょう。ただし、災害時は下記の方法が難しくなるケースもあります。災害に備え、日頃から水や食料、防災グッズを備蓄しておくことが大切です。
・水の確保
・トイレ
・食事
・お風呂
ひとつずつみていきましょう。
水の確保
水が出ないとわかったら、まず水の確保を考えましょう。一人当たりに必要な水は、飲料・調理用だけで1日3リットルといわれています。手洗いなどで使うことを考えるとより多くの水が必要です。
水は、スーパーやコンビニで購入したり、親族や友人から分けてもらったりしましょう。災害時は、自治体のホームページや防災マップで給水拠点を調べて、水を確保してください。
リュックやキャリーケースにゴミ袋を2重にすると給水タンクの代わりになります。ペットボトルで購入するときもリュックやキャリーケースを利用すると容易に持ち運び可能です。
トイレ
トイレを使えるときは確保した水で流します。トイレを使えないときは、市販の非常用トイレや携帯トイレを使いましょう。災害時には、簡易トイレが設置されることもあります。
食事
食事は、水を使わず食べられるものを購入してきたり、外食や出前したりと工夫しましょう。湯煎で食べられるものなら、水を使いまわせます。食器を使うときは、サランラップを巻いてから使うと汚れないため、食後に水洗いが不要です。
お風呂
お風呂は、銭湯や漫画喫茶、スパなど、外部の施設を使うことになるでしょう。短期間であれば、濡れタオルで身体を拭いたり、桶やバケツにお湯をためて身体を温めたりすると、少量の水でも清潔感やリラックス効果を得られます。汗拭きシートや水が不要のシャンプーを使うのもよいでしょう。
定期的な建物調査で「水が出ない」を防ごう!
マンションで水が出ないときは、まず、どこの水が出ないのか、止水栓は開いているのか、水漏れなどの異常がないか、確認しましょう。自室を確認しても原因が分からず、計画断水の予定や地震などの災害も無ければ、共用設備のトラブルが原因の可能性が高いといえます。管理組合や管理会社の指示に従ってください。
地震などの災害は、防ぎようがありませんが、配管や受水槽など共用設備は、定期的にメンテナンスしていれば、防げるトラブルもあります。ライフラインに大きな影響を与えるマンション設備だからこそ、定期的に点検して、トラブル防止に努めていきましょう。
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