大規模修繕工事前の劣化診断(建物診断)、ポイントは「いつ」「誰が」「何のために」

  • Update: 2019-05-18
大規模修繕工事前の劣化診断(建物診断)、ポイントは「いつ」「誰が」「何のために」

一般的に12年おきに行われることの多いマンションの大規模修繕工事。

マンション管理組合としては、大事な修繕積立金を投資し、将来に向けて建物の状態を維持するための一大事ですが、多くの方にとっては初めてのことでしょう。

結果、日ごろからお世話になっている管理会社からの提案・主導で(ちょっと割高でも・・)すべてを進めるという管理組合もまだまだ多いようです。

また、大規模修繕工事の施工会社選定で、悪質コンサルや施工会社の談合・バックマージンの被害にあい、知らない間に大事な修繕積立金を失ってしまっているマンション管理組合もあります。

長年かけて集めてきた大事な修繕積立金ですから、無駄にすることなく建物の実態に沿った適切な修繕工事を行いたいものです。

ここでは、大規模修繕工事前に行う「劣化診断」の注意点についてさくら事務所のマンション管理士が解説します。

大規模修繕工事前の劣化診断、そもそも何のために?

大規模修繕工事の前に行われるマンション共用部の調査を「劣化診断」と言います。

大規模修繕工事を計画するにあたって、「どこをいつ修繕すればいいのか?どこが劣化しているのか?」を把握するために行われるもので、この調査で調べた内容をもとに、大規模修繕工事の計画をたて、施工会社から見積もりをとり、大規模修繕工事をお願いする施工会社を選定する、という流れになります。

劣化診断は管理会社に提案されてからではもう遅い?

冒頭にも書きましたが、まだまだ「大規模修繕工事は管理会社にお任せ」というマンション管理組合も多いようです。

劣化診断についても管理会社にお願いして、そのあとに工事の提案をもらって・・という流れを待っている方もいるでしょう。

ですが、管理会社からの提案を待っていては、もう手遅れ、つまりその時点で他の選択肢を失っているかもしれません。

例えば、管理会社の出してきた大規模修繕工事の工事費が割高だったり、不要不急な工事が含まれていたりと納得できないものだったとします。

ですが、高額な費用まで掛けて調査を行ったのですから、改めて他社に建物の調査をしてもらうと調査コストが二重に掛かってしまいます。

結局、その内容に納得できなくても、その管理会社が元請となるかたちでの選択肢で大規模修繕工事を行わざるを得なくなることがあるのです。

大手のマンション程、「系列の管理会社にお任せすれば大丈夫。多少高くても、安心できればそれでいい」と思われる方もいるようですが、工事費が高くとも実際に工事を行うのは下請け会社。価格が高いからその工事品質が約束されているわけではありません。

最初の大規模修繕工事ならなおさら!できれば劣化診断は9年目に

また、最初の大規模修繕工事に関して言えば、10年のアフターサービスの期限切れ前の総点検と兼ねて9年目に劣化診断を行うことをおすすめしています。

新築分譲マンションは、品質確保の促進等に関する法律(品確法)によって、引き渡しから10年間は「構造耐力上主要な部分の不具合」「雨漏り」の2つの建物の不具合が売主により保証されるからです。

ポイントは、保証されるのが【10年以内に売主に通知した不具合】ということ。

管理会社からの提案は大規模修繕工事を前に、10年目11年目にされるでしょう。

仮にこのタイミングで大規模修繕工事前の劣化診断として共用部の点検を行い、ここで、品確法の対象となるような大きな不具合が発覚しても、期限の10年を過ぎていることから売主の保証は受けられないのです。

結果、管理組合の修繕積立金からその補修費用を負担することになります。

目前に迫った大規模修繕工事を前に、大幅な工事費の増額が必要になるかもしれません。

せっかく共用部の総点検を行うのであれば、一度の調査でその効果を何倍にもできるよう、1年か2年前倒しして、期限切れ前のチェックを兼ねてしまいましょう。

くわしくはこちら・・・お役立ちコラム「9年目にマンション共用部診断をすべき3つの理由」

大規模修繕工事の内容に活かされてる?カタチだけの劣化診断

先ほども上げましたが、劣化診断の目的は「大規模修繕工事の計画を立てること」ですが、残念ながら中には、すでに工事仕様は決まっており、形だけでの調査になっているケースも。

管理会社から提案される大規模修繕工事は、建物の立地や、調査でわかった建物の状態を考慮することなく、一定の周期で建物全体におよぶ大規模修繕工事を実施するのが当たり前になっているケースがほとんどです。

大規模修繕工事の計画を立てるための、どこを修繕すればいいのか?を決める調査でありながら、実際には、予定通りに全項目の工事を一斉に行うことが前提となった調査になってしまっているのです。

また、コンクリートの中性化試験など、築年数を考えると必要ないと思われる高額な調査が含まれていることがあります。

とはいえ、マンション管理組合の皆様の多くが、建築の知識を持たない、一般の方です。この要不要の判断は難しいかもしれません。

建物はその立地環境や、新築時の施工状況によって劣化の進み方はさまざまです。

本当に「大規模修繕工事の計画を立てるため、劣化状況や修繕の優先順位を確認する」ことを目的とした調査であれば、その調査内容をもって劣化の進行具合から部分的に工事を先延ばしする、急を要する部分だけまずは修繕する、などの選択肢も検討することができるのです。

利害関係者による調査結果を信じられるかどうか

自身で劣化診断を管理会社以外にお願いしようという際にちょっと気を付けてほしいのが、工事会社による無料の劣化診断です。

本来、高額な費用が掛かる劣化診断が無料でやってもらえるなら、こんな得なことはないようにも思えますが、本当にそうでしょうか?

工事会社にしてみれば、マンションの劣化診断はある意味、大規模修繕工事の受注ができるかもしれない営業の機会でもあるのです。

中には「調査結果を悪く言えば、ここも工事してくれるかもしれない・・・。工事したほうがいい状態って報告してしまおう」なんて、工事の受注目当てに客観的な調査を行ってくれない会社もあるかもしれません。

一部の悪徳リフォーム業者が、無料調査といって押しかけてきて、修繕の必要のない箇所まで修理をすすめる、リフォーム詐欺と同じ手口かもしれません。

全ての無料の劣化診断でこのようなことが行われているとは言えませんが、やはり工事を受注するかもしれないという、利害関係のある立場で行われる調査ですので、その内容が第三者として客観的に中立な立場で行なわれたのかどうか?という懸念を感じる方もいるでしょう。

施工会社が無料や極端に低額で行うものについては、施工会社の都合に偏った結果を報告される可能性があるということは知っておいたほうがいいでしょう。

いかがでしたでしょうか?

修繕積立金は限りあるもの、有効に建物のために使うためにはどうしたらいいかをじっくり検討して進めましょう。

さくら事務所の建物劣化診断(大規模修繕前)では、第三者の立場から管理組合の修繕積立金の積み立て状況や建物の劣化状況なども考慮して、工事の内容や実施時期について検討、ご報告、アドバイスを行ないます。

さくら事務所のコンサルタントにお気軽にご相談ください。

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ホームインスペクション(住宅診断)をはじめとする個人向け不動産コンサルティングや管理組合向けコンサルティングを行っている。400を超えるマンション管理組合のコンサルティング実績をもち、大規模修繕工事や長期修繕計画の見直し、瑕疵トラブルなどの管理組合サポートサービスを提供している。

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