【成功事例あり】大規模修繕の施工会社選定の方法は?メリットデメリットも

  • Update: 2024-10-03
【成功事例あり】大規模修繕の施工会社選定の方法は?メリットデメリットも

この記事はマンション管理士/一級建築士などの専門家が監修しています

マンションの大規模修繕工事を行うにあたり、工事を依頼する施工会社を決めなければなりません。

大規模修繕工事の施工会社選定方法はいくつかの手法がありますが、それぞれのメリットとデメリット、そして注意点を理解し、自分たちのマンション管理組合にあった手法を採用しましょう。

ここでは、マンション大規模修繕工事の主な施工会社選定方法について、さくら事務所で活躍するマンション管理コンサルタントが事例を交えながら解説します。

ぜひ参考にしてください。

大規模修繕工事の施工会社選定の方法は3つ

大規模修繕工事の施工会社選定方法は、主に下3つとなります。

(1)特定の業者を指定する「特命随意契約」

(2)相見積もりして総合的に比較検討する「見積合わせ」

(3)公募や指名で選んだ会社で「競争入札」

(1)特定の業者を指定しする「特命随意契約」

特命随意契約とはもともと、競争入札を行わずに特定の業者を指定し契約を締結する手法です。マンションの大規模修繕工事においては管理会社や前回の大規模修繕を実施した施工会社など、信頼関係にある1社を指名して見積もりを取り、その内容を検討して選定します。
特命随意契約

特命随意契約のメリット

管理会社に依頼する場合、長年に渡り信頼関係が醸成されていれば、お任せするのにも安心感があるでしょう。また、日ごろの管理によりマンションのウィークポイントを理解していたり、工事完了後もマンション管理業務と一体でフォローしてもらえたりするる点も安心につながります。

前回の大規模修繕を実施した施工会社に依頼するした場合は、前回の工事における反省点や改善点をフィードバックして、より満足度の高い工事を行なうことができる可能性があります。

他の選定方法と比較して、組合の負担が少なく契約までスピーディーに進めることができるのも特命随意契約のメリットの1つです。

特命随意契約のデメリット

特命随意契約にすると「相見積もりをとるべきではないのか?」という組合員からの声が上がることがあります。不当に高い値段で工事を発注してしまうことを防ぐために提案するのでしょうが、実際には、相見積もりをとっても業者間で打ち合わせをした上で提出されていることもあるため、本来の目的である価格比較をしたつもりでできていない状況に陥る可能性があります。特定の業者でないとできない特殊な要素がある場合を除いてはあまりおすすめできません。

しかし、最初から1社に絞って指名すると、競争原理が働かずに工事価格が割高になる傾向はあります。管理会社に依頼する場合、管理組合のお財布の中身も把握しているため「支払えるぎりぎり額」の見積もりが提示されることもあります。また管理会社からなれ合いの関係にある下請け会社に丸投げされ、結果として施工のチェックが甘くなることも。

特命随意契約の場合は、管理組合主導で見積価格の妥当性や施工状況について、様々な大規模修繕の知見がある第三者のチェックを入れることをおすすめします。

 

(2)相見積もりして総合的に比較検討する「見積合わせ」

見積合わせは、設計図書や現地説明会をもとに複数の施工会社に見積もりを依頼し、その内容を比較検討して選定する方法です。

相見積もりを複数の施工会社から取り、価格だけでなくその提案内容を比較して選定します。

見積合わせのメリット

複数の会社で競うことになるため、ある程度の競争原理は働きます。

同じ内容、同じ基準で見積を提出してもらえば、公正な内容での比較・検討ができるようになります。

施工会社を決定する際の根拠を分かりやすく提示できるため、総会において合意形成を取りやすいのもメリットといえるでしょう。

見積合わせのデメリット

見積もり条件が各社バラバラだと、比較が難しくなるため、事前に見積もり条件(工事範囲、工事内容、その他要望)を整理した上で相見積もりを実施する必要があります。

また、上述した通りいかに業者間の談合を防ぎ公正な競争にするかも重要なポイントになります。

実際問題、この手法で談合を防ぐのは難しいのが現状です。そのためさくら事務所ではプロポーザル方式という手法を採用しています。

詳しくは下記記事で紹介しているので参考にしてください。

大規模修繕工事の施工会社選定、さくら事務所が設計監理方式をやらない理由

また、どこに見積もりを依頼するのかを決定する時点で、結果的に特定の理事などの個人の思惑を反映した出来レースになってしまうことも少なくありません。

(3)公募や指名で選んだ会社で「競争入札」

競争入札は、公募または指名により入札希望会社を選んだ上で、競争入札を行なう方法です。

競争入札

競争入札のメリット

あらかじめ作成された工事仕様書に基づいた価格競争になるため、比較検討がスムーズにできます。

談合がされないという前提条件ですが、価格競争によりコストダウンが可能になるケースもあります。

競争入札のデメリット

設計監理方式もこの手法の1つですが、前提条件をそろえ金額だけの勝負になるることから談合しやすい仕組みが整うことになります。

設計監理方式の談合については、2017年に国交省が異例の通達を出し、注意喚起する事態となりました。

一定の設計仕様書に基づいて金額だけ入力させ比較するという設計監理方式の仕組みそのものが、容易に談合できる状況を生んでしまっているのです。

関連情報・・・設計監理方式ではマンションの大規模修繕工事の談合は防げない

また、価格の競争になるため、性能(機能、耐久性、美観等)向上の提案はほとんどないと考えていいでしょう。

工事仕様書の作成には専門知識が必要になるため、ほとんどのケースで設計事務所・管理会社に作成を委託することになり、工事費用とは別に費用が発生します。

大規模修繕の施工会社選定するときの注意点

大規模修繕での施工会社選定では、特に下3つのポイントに注意してください。

・大規模修繕の発注方式を理解しておく

・管理会社に頼りすぎない

・特定の区分所有者と親しい業者は避ける

大規模修繕の発注方式を理解しておく

大規模修繕工事にあたって、管理組合は事前に責任施工や設計監理などの発注方式の違いを理解した上で、施工会社とどのように関わって進めていくかを決めておかなければいけません。

設計監理であれば、施工会社選定をサポートしてもらえる設計事務所やコンサルティング会社選びも重要になります。

大規模修繕の発注方式から施工会社選定方法までを知りたい場合には、ぜひ下記記事を参考にしてください!

マンション大規模修繕工事の施工会社の選び方と注意点

管理会社に頼りすぎない

マンションに合った施工会社を選ぶには、管理会社に頼りすぎないことも大切です。

管理会社に任せっきりにすると、工事費用の妥当性がわからない、工事の内容や質を吟味できないといった状態で推薦されるままに施工会社が決まってしまい、将来的に不具合やトラブルを誘発する恐れがあります。

とはいえ、専門知識がある管理会社に意見したり管理組合だけで施工会社を決定したりするハードルは高いです。そこで、見積もりや工事内容に不安がある場合は、第三者の専門家によるセカンドオピニオンをおすすめします。

特定の区分所有者と親しい業者は避ける

特定の区分所有者と親しい施工会社も要注意です。

工事の見積りや提案が優れていることを、しっかり説明できればよいのですが、親しいからという理由だけで安易に依頼すると他の区分所有者への説得力に欠ける業者選定となります。

特に理事長と親しい業者の場合は、「裏で個人的に金銭を受け取っているのでは?」などとあらぬ噂が立ち、住民間での不仲やトラブルに発展するケースもあるのです。

大規模修繕の施工会社選定時のチェックポイント

大規模修繕で施工会社を選定する際の大事なポイントは、下3つとなります。

・同規模マンションの大規模修繕の実績が多いか

・保証やアフターサービスが充実しているか

・現場監督の人柄や修繕委員との相性に問題が無いか

同規模マンションの大規模修繕の実績が多いか

見積り額や提案内容だけで施工会社を過信するのではなく、施工実績にも目を向けましょう。実際にこれまで同規模マンションの大規模修繕の実績が多い会社をおすすめします。

実績が多い会社なら、段取りよくスムーズな工事をしてもらえて居住者とのやり取りにも慣れていると判断できます。これまでの経験からトラブル時の対応もスムーズです。そのような会社は、ホームページ上で自信を持って実績紹介をしているケースが多いので調べてみてください。

保証やアフターサービスが充実しているか

大規模修繕後の保証やアフターサービスは、メンテナンス費用に大きく影響します。一般的には保証やアフターサービスの内容に各社大きな差はありませんが、稀に保証がない、期間が短いなど要注意なケースもあるため必ず事前に確認しましょう。

とくに相見積もりをとった際に、ほかの会社と比べて極端に金額が低い場合は注意してください。

現場監督の人柄や修繕委員との相性に問題が無いか

現場担当となる監督の人柄も、施工会社選定には重要です。プレゼンが得意な営業担当と比べて話が上手でなくても、管理組合の話をよく聞いてくれて、適切に回答してくれる方なら期待し出来るでしょう。

修繕委員との相性も大切です。選考時や見積り依頼時に、その方ののコミュニケーションに違和感を感じないか、チェックしてみましょう。

【事例紹介】大規模修繕の施工会社選定や発注方式を見直して資金不足を回避

過去にさくら事務所が関わった成功事例をご紹介します。

神奈川県にある総戸数約50戸のとあるマンションで、管理会社が約8500万円の「大規模修繕工事設計予算書」を持参。しかし、積立金は約7000万円しかありません。

そこで管理組合はさくら事務所と共に、プロポーザル方式により公募に応じた20社から2回の審査を経て4社を選定。現地調査後、見積書と工事提案書の提出を求め、さくら事務所のコンサルタントがまとめ、比較表を作成しました。

「第三者的存在のプロ」を活用することで技術的な不安に陥ることなく施工会社とのやり取りも円滑に進み、コスト・提案力・現場監督の人柄などが決め手で一社の施工会社を選定。最終的な支払総額は4800万円となり、手持ちの修繕積立金でまかなえた上に2000万円も残すことに成功しました!

大規模修繕の施工会社選定は外部専門家に相談しよう

上の成功事例からも分かる通り、適正価格で質の高い工事を行うためには、施工会社が公正に競争できる環境を用意し、中立的な立場からアドバイスをくれる外部専門家を起用することが必要です。

さくら事務所では、公募により集まった複数の施工会社を提案力や企画力で比較し選考する「プロポーザル方式」によって、健全な競争のもと、適切なコストダウンを目指す管理組合のサポートをいたします。

絶対に失敗が許されない管理組合の一大プロジェクト・大規模修繕工事で、適切な施工会社を選ぶなら、選定さくら事務所のコンサルタントに是非お任せください!

専門家がサポートする大規模修繕工事の施工会社選び「修繕★参謀」

大規模修繕工事品質チェック

また以下の動画では、マンション大規模修繕工事で「談合」を誘導する悪質コンサルタントの実態と、失敗しない施工会社の選び方についてを詳しく解説しています。

鬼塚 竜司
監修者

鬼塚 竜司

新築工事にてマンションや複合施設の給排水および空調設備の工事管理を経験後、マンション管理会社の修繕工事部門にて、工事企画及び工事管理を14年間経験(管理職含む)。大規模修繕80棟以上、給排水管更生更新30棟以上、窓サッシ改修工事等補助金対応工事10棟以上、機械式駐車場入替、インターホン改修工事など、マンション全般の工事を経験。長期修繕計画の作成500回以上。2021年6月株式会社さくら事務所へ参画。

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株式会社さくら事務所

ホームインスペクション(住宅診断)をはじめとする個人向け不動産コンサルティングや管理組合向けコンサルティングを行っている。400を超えるマンション管理組合のコンサルティング実績をもち、大規模修繕工事や長期修繕計画の見直し、瑕疵トラブルなどの管理組合サポートサービスを提供している。

【監修】さくら事務所マンション管理コンサルタント(マンション管理士)

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