大規模修繕工事の施工会社選定、さくら事務所が設計監理方式をやらない理由

  • Update: 2020-04-15
大規模修繕工事の施工会社選定、さくら事務所が設計監理方式をやらない理由
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株式会社さくら事務所

この記事はマンション管理士/一級建築士などの専門家が監修しています

大規模修繕工事のコンサルティング業務においてマンション管理組合の方から「設計監理方式でお願いできますか?」というお問合せをしばしばいただきますが、さくら事務所では新築・中古、戸建て・マンション問わず、設計監理業務は請け負っていません。

(上記のようなご依頼の際には、後述のさくら事務所のスタンスをお伝えした上で、さくら事務所ならではの大規模修繕工事のお手伝いをご提案させていただいています)

「さくら事務所ではなぜ設計監理業務をしないのか?」これまで多く疑問を寄せられてきたこの理由について、さくら事務所で大規模修繕工事のコンストラクション・マネージャーを務める一級建築士が解説します。

大規模修繕で失敗しないための3ステップ

設計監理では施工会社などとの利害関係が発生しやすい

利害関係を絶つさくら事務所は一級建築士事務所登録していますが、基本的に新築・中古を問わず住宅(戸建て・マンション)の設計・監理業務は請負っていません。

マンション大規模修繕工事の世界では、デベロッパーをはじめとする企業の利害関係が多数発生してしまいます。

設計・監理は、戸建て・マンション等住宅の企画・販売を行う企業、いわゆる住宅デベロッパーからの業務になりますが、さくら事務所では、デベロッパーや施工会社との利害関係から断ち切り、第三者性・中立的な立場を固持することで、管理組合にとってベストな道を模索することができると考えています。

(これは、ホームインスペクションでも同様です。仲介会社やハウスメーカーとの利害関係を断ち切ることで、ご依頼いただいた方に正しく建物の状態をお伝えすることができると考えます)

管理組合から受託する、管理組合が計画・実施する大規模修繕工事のコンサルティング業務についても、一般的な設計・監理方式では行いません。

購入される個人の方、また購入された個人の方々で組織される管理組合に対して、癒着などの疑念・不安を持たれず安心してご利用いただけるサービスを提供したいと考えています。

また、設計者は注文者の代理としてさまざまな決定権・裁量をもちます。

大規模修繕工事において設計者・監理者のポジションを得て、管理組合がすべてお任せしてしまうことで、施工会社選定時にもその裁量が発揮され、昨今言われている出来レースやバックマージンなどを発生させている可能性も否定できません。

関連情報・・・さくら事務所の施工会社選定方式「プロポーザル方式」

大規模修繕工事に「設計」は不要だと考えている

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マンションの大規模修繕工事は、新たに1から建物をつくるものではありません。

既に存在する建物の機能面・美観面の劣化を新築時の状態に戻すことが主な目的とされています。

マンションの大規模修繕工事で実際に行われるのは、設備関係を除けば、「防水(屋上、バルコニー、廊下、階段)と外装(タイル、塗装)が主です。

そのために必要な劣化修繕は ①既存を撤去してやり替える ②上から塗り重ねる ③汚れを洗浄する などです。

では新築工事でもなく、劣化を修繕させる工事においてこれらの設計・監理業務がどこまで必要なのでしょうか?

法規制や予算などの諸条件から最適な機能を持った建物の建築を可能にさせるための「設計」、設計者が設計図では表せない細かい部分や施工上の調整を施工者と行う「監理」。

大規模修繕工事において、このような設計・監理業務が必要とされるのは、「老朽化が進み、もともとの設計仕様を変更する必要がある」ような建物に限定されます。

修繕を目的とした計画であれば、修繕工事を専門とする施工会社や材料メーカーで十二分に対応でき、適切な提案もダイレクトに聞くことができると考えています。

施工会社の専門領域の技術・知見をもっと有効活用すべき

大規模修繕工事で重要な足場大規模修繕工事において、重要なポイントとなるのが足場などの仮設工事。

完了後になにも残らないものにも関わらず、工事費の中で大きな割合を占め、更に大規模修繕工事中の居住者の快適性にも関わります。

安全対策などの仮設工事計画は施工会社の専門分野です。

工事の当事者であり、経験や専門領域の知見を持つ施工会社に自由に提案してもらう方がより効率的な仮説工事が実現できます。

ですが、設計監理方式ではあらかじめ設計者が工事の枠組みを作成し、施工会社は単価のみブランクの設計数量表に金額を入れるだけです。

さくら事務所では、設計監理方式であらかじめ決められた工事仕様書はなく、現場での経験や専門領域の知見のある施工会社から自由な提案をダイレクトに聞くため、「プロポーザル方式」という施工会社選定方式をとっています。

特に、先に挙げた仮設工事の提案は、プロポーザル方式で自由に提案してもらう中でも施工会社の能力を比較する上で重要なポイントにもなり得ます。

金額だけで比較される設計・監理方式では、このような提案を受けることはできません。

実際に工事を行う施工会社だからこそ出せる提案を適切に活かすことで、より効率的な大規模修繕工事が可能になると考えています。

熱意・提案力のある施工会社は設計監理方式にジレンマも

工事会社の抱えるジレンマ多くの業界が大きく変遷を遂げようとしている中、旧態然とした大規模修繕工事業界の在り方に一番ジレンマを抱えているのは施工会社かもしれません。

プロポーザル方式のコンペに参加された施工会社さんからのメッセージの一部をそのままご紹介します。

日本の時代がこの10年間で大きく変わり、また今後も5GやIOTにて大きく変遷を遂げようとしている昨今、大規模修繕工事の業界自体は旧態依然で、大きな変化が無いように感じております。

それは業者選定業務も同じで、設計監理方式で言えば、ありふれた設計事務所の通り一辺倒の業者選定が世にあふれていると思います。

そんな中で御社のプロポーザル方式は、とても新鮮に感じております。

効率で言えば、とても時間のかかる選定方法ですが、ともすれば一般的な設計入札では、思い描いた工事や工法を自由に提案できないジレンマを抱えることもあるため、このような方式は、提案力や企画力を試される、とてもやりがいを感じれる方法した。

管理組合様からご内定頂いた際の喜びはとても大きく私も、少し自信を持つことが出来ました。

提案力や企画力、自由なアイデアを積極的に適切なかたちで取り入れるための「プロポーザル方式」ですが、同時にこの手法は、自分たちの経験や知見から自由にアイデアを提案できる、と熱意ある施工会社からも好評をいただいています。

また、施工会社からすればプロポーザル方式は見積をとるための手間が大きく、その分、談合される可能性も低くなります。

さくら事務所がお勧めするのは「プロポーザル」方式

さくら事務所では以上のような理由で設計・監理方式でのコンサルティング業務を行っていません。

ですが、方法によらず大規模修繕工事では必要な修繕箇所を適切な方法で修繕し、その進め方について多くの管理組合員の皆さんに納得してもらいつつ進めていただくことが重要です。

さくら事務所では、大規模修繕工事実施の判断材料とするため、建物の劣化状況を確認する「マンション劣化診断ツアー」(15万~+税)も行っています。

大規模修繕工事のそもそもの実施時期についてお悩みの方もぜひお気軽にご相談ください。

 

藤ノ木 健二
監修者

藤ノ木 健二

大学卒業後、ゼネコンに勤務し、マンション新築工事、マンション大規模修繕工事、学校、病院などの耐震補強工事の現場管理業務に従事。

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株式会社さくら事務所

ホームインスペクション(住宅診断)をはじめとする個人向け不動産コンサルティングや管理組合向けコンサルティングを行っている。400を超えるマンション管理組合のコンサルティング実績をもち、大規模修繕工事や長期修繕計画の見直し、瑕疵トラブルなどの管理組合サポートサービスを提供している。

【監修】さくら事務所マンション管理コンサルタント(マンション管理士)

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