度重なる自然災害に、マンションでも防災の備えへの意識が高まっています。
ですが、その備えで本当に大丈夫でしょうか?災害時に本当に活かせるような、実態に即したものでしょうか?
今回は、よりマンション防災の質を高めるため、確認しておきたい防災対策ポイントをご紹介します。
防災備蓄品の管理・保管状況
防災対策としてまず一番に思いつくのが「防災備蓄品」ではないでしょうか。
食料や水、簡易トイレなどを備えているマンションは多いでしょう。
問題は保管方法です。
あるマンションでは、複数年度に渡って予算を計上、防災備蓄品の購入を計画するマンションもあるでしょう。
その場合、当然年度毎に購入した非常食料品や飲料水の消費期限が異なります。同じ場所に保管されている防災備蓄品の食料や飲料水の消費期限が混在していると入れ替え(更新)などの管理が煩雑となり、消費期限切れのものが備蓄されているというような事態を招きやすくなってしまいますので注意が必要です。
また、購入したらそれで満足してしまい、開封もせず買った状態のまま倉庫に入れて終わり・・・なんてケースも。
いつまでの消費期限のどんなものがいくつ入っているのか?いちいち開封しないとわからない、というような保管状態では災害時にスムーズに使えないでしょう。
段ボールに、「何かいくつ入っているか?賞味期限はいつまでなのか?併せて、一住戸当たりの配布数」をラベルに書いて貼っておくだけで、いざというときスムーズに使うことができます。
東日本大震災以降に広まったポータブル発電機
東日本大震災以降はマンション管理組合の防災対策として、ポータブル発電機を備えるケースが多くなっています。
停電してもポータブル発電機があれば、夜間の照明やテレビなどでの情報収集、携帯電話その他への充電などに使用できます。
しかし、災害対策の備品として購入されたものの日常的に使用するものではないため、点検作業が全く行われていないというケースもよく聞きます。
燃料はガソリンやカセットガスのものが主流ですが、エンジンにより発電させる仕組みですので長期間使用しない時はエンジンオイルの漏れや劣化による故障をまねきます。
メーカーでは月に1度程度の試運転を推奨していますが、なかなか実施できていないのではないでしょうか。使わないまま放っておくと、エンジンオイルが固まってしまって、いざというときに動かない、とうこともあります。
また、試運転は必ず屋外で風通しの良い場所で行う必要があります。排気ガスによる中毒事故を防止するため、屋内で行うことは厳禁です。
取り扱い説明書をよく読み点検や試運転を実施することが大切です。
また、階段用ストレッチャー(エレベーターが停まった際などに、非常用階段で人を運ぶため担架)などの救護器具も同様です。
用意したことで満足してしまい、使い方の確認をしていないと、いざというとき使い方がわからなかったり、使ってみて事故になったり、というリスクがあります。
緊急時、大規模マンション内の連絡手段にも
タワーマンションや大規模マンションなどではマンション管理組合の防災対策として、トランシーバーを導入しているところも多いでしょう。
トランシーバーは中継局を介する携帯電話などとは異なり、機器同士で直接通話ができるため、回線混雑などの電波障害の影響を受けません。災害時でも繋がりにくくなるということがないのです。
また、タワーマンションや大規模マンションでは敷地も広く建物の規模も大きいため、被害状況や安否確認、現場での指示などを防災センターなどにリアルタイムで報告するためにとても便利です。
トランシーバーには送信出力や使用する周波数帯により、取り扱うための免許や無線局の登録が必要なものから、免許も登録も不要な簡易なものまでさまざまなものがあります。
一般的に市販されているトランシーバーは超短波と呼ばれる周波数帯を使用するものがほとんどです。
超短波帯の電波は直進性が良く見通しの良い所での使用に向いているという特徴がありますが、出力の弱い簡易的なトランシーバーでは超高層タワーマンションの屋上や高層階に電波が到達しないケースがあります。導入の際には専門店で相談することをおすすめします。
また、災害時、近隣で行われている他のやりとりと混信してしまうこともあります。あらかじめ「もし混信してしまったらこのチャンネルにしましょう」等と決めておいてもいいでしょう。
トランシーバーの使い方はさほど難しいものではありませんが、普段の携帯電話の感覚で使ってみるとやはり使い勝手が異なります。操作方法も確認しておきましょう。
まとめ
災害時マニュアルを備えるマンションは数多くありますが、防災備蓄品のチェックや発電機やトランシーバーなどのメンテナンスに関するルールを徹底しているところは少ないようです。
また、数十ページにも及ぶ立派な防災マニュアルも、あまりにも細かすぎて一読しただけでは、把握しきれないようだと困ります。重要な部分のみまとめた簡易版を追加作成してもいいでしょう。
折角購入した備蓄品が災害時に役に立たない、『宝の持ち腐れ』にならないような工夫が必要です。
より防災の質を高めたい、とお思いのマンション管理組合の方はお気軽にご相談ください。
さくら事務所の専門家チームが、水害・地震被害の調査や今後の対策から、建物の施工不良や不具合の検証、分譲・施工会社との交渉サポート、管理会社との付き合い方までマンションのトラブル解決に向けてサポートしす!