大規模修繕工事のアフターサービス活用法!保証期間と対象工事は?

  • Update: 2025-01-16
大規模修繕工事のアフターサービス活用法!保証期間と対象工事は?

この記事はマンション管理士/一級建築士などの専門家が監修しています

大規模修繕はマンションの機能や性能を維持していくうえで不可欠です。多額な費用と時間を要することから、質の高い施工が求められます。

しかし大規模な工事であるがゆえに、完璧な施工が難しく、数か月後または数年後に何らかの不具合が生じることも少なくありません。

そこでアフターサービスを活用して、不具合箇所を改善していくことで、マンションをベストな状態に近付けていくことが大切です。

本記事では大規模修繕工事のアフターサービスについて、対象工事や保証期間、活用法を紹介します。アフターサービスを活用できれば修繕積立金を節約できるため、ぜひ参考にしてください。

大規模修繕のアフターサービスとは

大規模修繕のアフターサービスとは、工事完了後に発見された不具合を、施工会社の責任で補修・修繕してくれることを保証するものです。管理組合は補修や修繕にかかる費用を負担する必要がありません。

決められた時期がくると、施工会社がマンションのアフターサービス点検をおこない、不具合が生じていないかチェックします。アフターサービスの内容は、施工会社により異なるため、事前に保証期間と対象工事について確認しておきましょう。

大規模修繕のアフターサービスの対象工事と保証期間

大規模修繕のアフターサービスの保証期間と対象工事は、業者により違いがありますが、目安として以下の表を参考にしてください。

対象工事 保証期間の目安
躯体補修工事 5年
下地補修工事 3~5年
シーリング工事 3~5年
塗装工事 外壁:5~7年
天井:2~3年
鉄部:1~3年
防水工事 バルコニー:3~5年
屋上:7~10年

長寿命化工法が採用されている場合の保証期間は、天井および鉄部塗装工事を除き、15年前後と長くなります。

大規模修繕のアフターサービスを最大限に活用する方法

アフターサービスによる補修・修繕は施工会社の負担となるため、修繕積立金を使いません。現状わずかな不具合だったとしてもアフターサービスで対処しておくと、次回の大規模修繕で軽微な補修ですませる選択ができるなど、大幅なコストカットに繋げられるケースもあります。

大規模修繕のアフターサービスを最大限に活用するために、以下3つのポイントをおさえておきましょう。

(1)保証期間・内容を事前に把握しておく

(2)瑕疵保険に加入している業者に発注する

(3)第三者の調査会社に点検の立会いを依頼する

順に解説します。

(1)保証期間・内容を事前に把握しておく

事前に保証期間や内容を把握しておきましょう。アフターサービスの期間や内容は施工会社によって違います。工事を発注する前にアフターサービスの内容が不十分でないか確認してください。

大規模修繕工事後に不具合を発見しても、保証期間を過ぎていたらアフターサービスは受けられません。施工会社任せにするのではなく、管理組合側もしっかり保証期間を認識し、不具合がないかマンションの状態に意識を向けておきましょう。

(2)瑕疵保険に加入している業者に発注する

大規模修繕工事は、瑕疵保険に加入している業者に発注しましょう。大規模修繕工事瑕疵保険に加入していれば、施工会社の倒産などにより、アフターサービスを受けられない状況になっても、保険で対応できます。

対象部分は保険商品によって異なりますが、保険期間は1~10年が一般的です。大規模修繕瑕疵保険への加入は施工会社の義務ではありません。施工会社選定時に、加入状況や保険内容について確認しておきましょう。

参照:国土交通省「大規模修繕工事瑕疵保険」

(3)第三者の調査会社に点検の立会いを依頼する

アフターサービス点検の際に、第三者の調査会社に立会いを依頼するのも効果的です。

施工会社は、自分たちの施工に対して不具合を指摘しにくい立場にあります。工事に関して利害関係のない第三者なら、中立の立場で不具合を見つけやすいです。

また、単純に点検者が増えることで不具合を見逃しにくくなったり、第三者の専門家がいることで点検に手を抜けない心理が働いたりもします。

第三者の調査機関に依頼するには当然費用が発生するため、総会で決議が必要です。とはいえ、費用対効果が高いケースが多いため、早めに準備して第三者に立会いを依頼することをおすすめします。

築10年まではマンションのアフターサービスを受けられる

大規模修繕のアフターサービスとは別に、築10年までは分譲会社が任意で設けているマンションのアフターサービスもあります。

アフターサービスの期間は、引き渡しから3(6)ヵ月後・1年後・2年後・5年後・10年後が一般的です。アフターサービスのタイミングで点検し、規定されている箇所について所定の不具合があった際に無償で補修してもらえます。

10年まで期限あるのは、基礎・屋根・屋上・柱・梁・耐力壁といった構造耐力上主要な部分および、屋上・屋根・ルーフバルコニー・外壁・開口部・雨水排水管といった雨水の浸入を防止する部分です。

分譲時のアフターサービスで修繕できる項目があれば、直してもらいましょう。無償で直してもらえば、大規模修繕の費用負担も抑えられるでしょう。まだ間に合うマンションは10年のアフターサービスを活用できないか検討しましょう。

10年目のアフターサービスについては下記記事でまとめていますので、参考にしてください。

マンション築9年目までに必ずチェックすべきアフターサービスとは?

大規模修繕が終わったら長期修繕計画および修繕積立金の見直しを

大規模修繕後はアフターサービス点検のほか、長期修繕計画および修繕積立金の見直しも重要です。

長期修繕計画は、修繕項目の費用の概算にすぎないため、大規模修繕で実際にかかった費用と大きく乖離していることが多々あります。

実際に1回目の大規模修繕の内容が長期修繕計画に反映されておらず、適切でない修繕積立金が設定されているケースも少なくありません。

大規模修繕で明確になった数量や費用を長期修繕計画に落としこみ、計画に対して修繕積立金か適正なのか見直し、マンションの実態に合った修繕計画・資金計画を立てましょう。

大規模修繕のアフターサービスを活用して維持管理コストの節約に繋げよう

大規模修繕およびマンションのアフターサービスを活用すると、コストを削減でき修繕積立金の節約に繋げられます。大規模修繕のアフターサービスの期間はおおよそ1~10年です。施工会社にアフターサービスの内容や瑕疵保険への加入状況を確認しておきましょう。

アフターサービス点検の際は、不具合箇所を見落とさないように、第三者の調査会社に点検の立会いをしてもらうのがおすすめです。

また、さくら事務所では、大規模修繕工事のタイミングにおいても品質チェックを実施しています。

さくら事務所は、施工会社や管理会社ではありませんので、工事の受注や斡旋を一切おこないません。公正な第三者として、工事現場の巡回や竣工検査をおこなうため、わかりにくい施工の不備や不完全な状態での竣工を防止するのに効果的です。

また、10年目のアフターサービスを活用するための9年目チェックもおこなっています。9年目チェックでは、アフターサービス対象の箇所をみながら大規模修繕に向けた劣化診断もできるため、建物の調査費用を削減可能です。

・施工の品質を判断できなくて不安

・修繕積立金が不足していてコストを削減したい

・アフターサービスを最大限活用したい

上記のような大規模修繕に関するお悩みがある方は、ぜひさくら事務所までご相談ください。

大規模修繕工事品質チェック

マンション共用部9年目チェック

三木 幸一郎
監修者

三木 幸一郎

明治大学政治経済学部卒業後、ゼネコン→不動産仲介業・建築業経営を経て→鉄鋼系エンジニアリング会社→マンション管理会社フロント(管理部次長)→さくら事務所