排水管高圧洗浄の必要性とは?料金相場と安くする方法、当日の流れを解説

  • Update: 2023-08-17
排水管高圧洗浄の必要性とは?料金相場と安くする方法、当日の流れを解説

この記事はマンション管理士/一級建築士などの専門家が監修しています

居住者の立会いが必要な排水管高圧洗浄は、日程調整や協力要請など少なからず負担がかかります。当然費用も発生するため、排水管高圧洗浄を定期的に実施することに、疑問をもつ方もいるのではないでしょうか。

排水管高圧洗浄の費用は、基本的に管理費からまかないます。大切な管理費予算を使うため、排水管高圧洗浄の必要性をしっかり理解しておきたいところです。

そこで本記事では、排水管高圧洗浄の必要性や料金相場について解説します。料金を安くおさえる方法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

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排水管高圧洗浄とは?

排水管高圧洗浄は、各部屋のキッチン・お風呂・洗面台などの排水口から、高圧洗浄ノズルを挿入し、高圧の水を流す洗浄方法です。水圧で排水管内にこびりついた汚れを、一気に流し出します。

洗浄範囲は、専有部の床下を通る専有部枝管、各住戸の排水が合流する共用たて管、たて管が合流する横引き管、マンションからマンホールまで繋がる横主管などです。共用の横引き管やたて管は専有部に入室することなく洗浄できます。

排水管高圧洗浄は、築年数が新しいマンションは2~3年に一度、10年以上経過していれば1年に1度の頻度でおこなうことが推奨されていますが、実施していないマンションもあるのが現状です。

排水管高圧洗浄の必要性

排水管は気を付けて使っていても、食べ残し・油・皮脂・髪の毛などの汚れが少しずつ蓄積していくものです。

これらの汚れを放っておくと、排水管が詰まって、排水の逆流や排水管自体の劣化、劣化による漏水の危険性があります。汚れが腐敗し雑菌が繁殖すると、悪臭や害虫の原因になるため、衛生的にもよくありません。

排水管はマンション内で繋がっているため、場所によっては一箇所の詰まりが、複数の住戸に悪影響を与えます。居住者全員が気持ちよく暮らし、排水管の劣化を早めないためにも、定期的な排水管高圧洗浄が必要です。

排水管高圧洗浄は自分でやらないほうがよい

 

市販されている高圧洗浄機もあるため「自分でできるのでは?」と考える方もいるかもしれません。しかし、排水管高圧洗浄はプロの業者に依頼することをおすすめします。

理由は以下3つです。

・重度の詰まりがあれば逆流する
・排水管が劣化していたら破損する
・きれいに掃除できない可能性がある

万が一、排水管に重度の詰まりがあった場合、高圧で噴射した水が逆流する可能性があります。排水管が劣化していれば水圧により破損することもあるでしょう。不衛生な生活排水による漏水にもなりかねません。

さらに、自分で排水管高圧洗浄した場合、きれいに掃除できていないことがあります。複数個所の排水管を自分で高圧洗浄するとなると、相当な手間と時間がかかるでしょう。安全かつ確実に排水管の蓄積汚れを落とすためには、プロの力が必要です。

マンションの排水管高圧洗浄の料金相場

マンションの排水管高圧洗浄は、管理組合が主体となり前住戸まとめて実施します。タワマンや、大規模マンション、小規模マンションなど、マンションの規模に応じて戸当たりの費用は変わりますが、1戸当たりの料金相場は約3,000~4,000円です。

排水管高圧洗浄は戸数が増えたとしても作業工程や手間に大きな差があるわけではないため、世帯数が多いほど料金は割安になります。

ただし、排水管が特殊な形状だったり通常よりも長かったりすると、相場より高額になることも。また、夜間や休日の作業も追加料金がかかり高額になります。

排水管高圧洗浄の料金を安くする方法

排水管高圧洗浄は、前述した通り、土日・祝日および夜間に作業する場合は追加料金がかかります。平日働いている居住者が多い場合は、休日や夜間だと実施率が上がる可能性もありますが、料金を安くするには平日の日中に設定しましょう。

清掃業者を見直して料金を安くできることもあります。管理会社が選定した清掃業者に依頼しているケースも多いですが、相場よりも高額な場合は、見直しを検討しましょう。少しの差でも、長期的に見れば大きな節約になります。

清掃業者を見直す際は、複数の業者に見積もりを依頼するのがおすすめです。やり取りのスムーズさや作業終了後のアフターサービスまで比較して、決定しましょう。

排水管高圧洗浄の当日の流れ

マンションで実施する排水管高圧洗浄の当日の流れは以下のとおりです。

1.建物外のマンホールに繋がる横引き管と縦管を洗浄する
2.専有部の排水管を洗浄する
3.各排水口で排水テストする
4.作業後居住者に排水状況を確認してもらう

排水管高圧洗浄は下階から上階へ順におこないます。下方の汚れや詰まりを解消する前に上から汚れを流してしまうと、漏水や逆流の危険性が高まるためです。

まず建物の外にある横引き管と縦管を洗浄したあと、下階から順に専有部の排水管を洗浄します。洗浄後、各排水口に一気に水を流し、排水状況や漏水の有無をテスト。居住者にも確認してもらい作業完了です。

専有部での作業時間は、1部屋10~15分程度で予定されています。玄関・廊下・排水口周りを整理整頓してスムーズに作業できるようにしておきましょう。

排水管詰まり5つの予防策

排水管高圧洗浄も大事ですが、日頃の使い方次第で予防できる排水管詰まりもあります。おもな予防策は以下の5つです。

・油を流さない
・一度に大量のトイレットペーパーを流さない
・ヘアキャッチャーをつける
・洗濯洗剤や柔軟剤は使いすぎない
・定期的に掃除する

順に解説します。

(1)油を流さない

排水口に油を流してはいけません。油は冷えると固まります。粘り気もあるため、排水管内に冷えて固まった油がへばりつき、あとから流れてくる食べ残しや石鹸などのカスが付着しやすくなるのです。

その結果、汚れが徐々に蓄積し排水詰まりや悪臭問題に発展します。大量の油は凝固剤で処理し、フライパンや食器についたわずかな油は、キッチンペーパーなどで拭いてから洗いましょう。

(2)一度に大量のトイレットペーパーを流さない

排泄物と一緒に大量のトイレットペーパーを流すと、汚水管が詰まることがあります。とくに節水型のトイレの場合は注意が必要です。トイレットペーパーをたくさん使うときは、一度に流すのではなく、こまめに流すことを心掛けてください。

(3)ヘアキャッチャーをつける

洗面所やお風呂の排水管は、石鹸や髪の毛がヘドロ状になって詰まるケースが多く見受けられます。ヘアキャッチャーをつけて、髪の毛が排水管に流れるのを最小限におさえましょう。ヘアキャッチャーは、使い捨てのシール状のものや洗いやすい形状のものなど、さまざまな商品が市販されています。排水口のサイズに合う使いやすいものを選びましょう。

(4)洗濯洗剤や柔軟剤は使いすぎない

排水しきれない量の洗剤や柔軟剤は、排水管詰まりの原因になります。洗濯洗剤や柔軟剤は、水の量に応じた適量が決まっており、多く使ったからといってより綺麗に洗濯できる訳ではありません。毎回多めに使っているという方は、意識して規定量を守りましょう。

(5)定期的に掃除する

排水口から手の届く範囲は、中性洗剤や歯ブラシを使って掃除しましょう。キッチンシンクの排水口に、お椀を逆さにしたような形状の排水トラップがあれば、左右どちらかに回すと、容易に取り外して洗えます。ヌメリがつきやすく異臭を発しやすいため、こまめに掃除するとよいでしょう。

快適な暮らしを守るには計画的な排水管高圧洗浄が必要!

排水管高圧洗浄を実施しないと、排水管の詰まりや劣化による漏水、異臭・虫などが発生します。手間と費用はかかりますが、快適な暮らしを守るためにも、専門業者による定期的な排水管清掃が不可欠です。

昨今の電気代や人件費の高騰などの影響で、マンション管理にかかる費用が増大し、管理費や修繕積立金の値上げを余儀なくされるマンションも少なくありません。

健全に管理していくうえで必要な値上げもありますが、マンションによっては無駄なコストがかかっているケースもあります。「長期修繕計画が建設当初から見直されておらず不要な修繕を実施している」などもその一例です。

さくら事務所では、マンションの建築・設備に精通している専門家による長期修繕計画の見直しや作成のサービスをおこなっています。

これまで650組合の多種多様なマンションをみてきた経験から、現状だけでなく将来像を的確に予見し、マンションの実情にあった修繕計画を提案可能です。状態がよければ工事時期を2~3年遅らせることで、コストカットに繋げられるかもしれません。

さくら事務所は工事や修繕のコンサルティングなど、マンションの専門家として幅広いサービスを実施中です。直接現地に出向き調査するだけでなく、住民への説明会や総会に同席するなど、管理組合の皆さまをトータルサポートいたします。

施工会社や管理会社とは利害関係のない第三者として、客観的にアドバイスできますので、どのようなことでもお気軽にご相談ください。

また、以下の動画では気になる修繕費不足に対する計画の見直し方について、解説しています。気になる方はぜひご覧ください。

【修繕費不足】もう修繕積立金を値上げするしかない?マンション修繕計画の見直し方法!
https://youtu.be/cDtGrmqlyxY

鬼塚 竜司
監修者

鬼塚 竜司

新築工事にてマンションや複合施設の給排水および空調設備の工事管理を経験後、マンション管理会社の修繕工事部門にて、工事企画及び工事管理を14年間経験(管理職含む)。大規模修繕80棟以上、給排水管更生更新30棟以上、窓サッシ改修工事等補助金対応工事10棟以上、機械式駐車場入替、インターホン改修工事など、マンション全般の工事を経験。長期修繕計画の作成500回以上。2021年6月株式会社さくら事務所へ参画。

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ホームインスペクション(住宅診断)をはじめとする個人向け不動産コンサルティングや管理組合向けコンサルティングを行っている。400を超えるマンション管理組合のコンサルティング実績をもち、大規模修繕工事や長期修繕計画の見直し、瑕疵トラブルなどの管理組合サポートサービスを提供している。

【監修】さくら事務所マンション管理コンサルタント(マンション管理士)

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