マンションを屋上はなぜ平らなの?

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マンションを屋上はなぜ平らなの?
監修者:藤ノ木 健二
監修者:藤ノ木 健二

この記事はマンション管理士/一級建築士などの専門家が監修しています

マンションの屋根が平らな理由

一戸建てと比べて、マンションの屋根は平らな形状が一般的。

理由は、大きく分けて2つ。
一つ目は、少しでも多くの専有面積をとるため。建物を建てるには様々な規制があって、高さ制限とともに容積率(敷地面積に対する延床面積の割合)の制限もあります。決められた制限の中で少しでも多くの床面積を取るために屋根はフラットにした方が効率が良いのです。

二つ目は、メンテナンス上の理由から。数十メートルの高さにもなるマンションの屋上に上るには、勾配屋根だと危険を伴います。屋上の点検・メンテナンスのためだけに足場をかけるのも大変な作業ですし、なによりコストがかさみます。

屋上には、雨漏りを防ぐための大事な防水が施されているのはもちろん、アンテナや受水槽、避雷針などなど、さまざまな設備機器が据え付けられていることもあり、管理・点検などのため頻繁に管理上立ち入る必要があるのです。無論、一般居住者が自由に出入りできないよう普段は施錠されています。

屋上防水は建物の寿命を左右する

建物を雨漏りから守ってくれる屋上(屋根)は防水の状態が建物の寿命を左右するといってもいいくらいメンテナンス上最も重要な部位の一つ。

平らな陸屋根の防水は、材質で大別すると三種類あります。

耐用年数の長い順に上げると、①アスファルト防水、②塗膜防水、③シート防水

もちろん価格もそれに伴って上昇し、一般的に防水層の上にはトップコート(保護塗装)をかけるので、その厚みによっても耐用年数は変わります。

1回ごとの更新のしやすさでいえば、塗膜とアスファルトに比べ、シート防水に軍配が上がります。

比較的短期間で工事が完了するのが利点ですが、一般的に行われるカバー工法は繰り返し行うことができないため、防水層を全部撤去して初めからやることになるので、修繕計画からトータルコストを考える必要があるでしょう。

塗膜やアスファルトは繰り返し改修が可能。

複雑な形状でもぴったり施工できるというメリットがありますが、工期はやや長めです。

また、耐用年数は一番耐用性に優れたアスファルト防水で20年程度と言われます。

しかし、大体12~13年ごとに行う大規模修繕工事で防水工事を行うケースが多く、防水に関しては法的な保証期間は10年とされているため、保証期間が切れる前に一度点検をするとよいでしょう。

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    朝日新聞

    2025年5月15日

    朝日新聞(5/15発行)にて、さくら事務所・マンション管理コンサルタントの土屋輝之が取材協力した記事が掲載されています。 ●(けいざい+)増える「高齢」マンション:下 行政が認定制度、二極化する管理意識 ※会員限定記事

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    ダイヤモンドオンライン

    2025年5月14日

    ダイヤモンドオンライン(5/14公開)にて、さくら事務所・会長 不動産コンサルタントの長嶋修が寄稿した記事が掲載されています。 ●「え、これって八百長?」マンション修繕費をコンサルに食い物にされない「4つの対策」とは

  • 三菱地所のレジデンスクラブ

    2025年5月8日

    三菱地所のレジデンスクラブ(5/8公開)にて、さくら事務所・マンション管理コンサルタントの土屋輝之が取材協力した記事が掲載されています。 ●2回目の大規模修繕工事の見逃しポイントと対策

藤ノ木 健二
監修者

藤ノ木 健二

大学卒業後、ゼネコンに勤務し、マンション新築工事、マンション大規模修繕工事、学校、病院などの耐震補強工事の現場管理業務に従事。

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