第3話 海外との違い

  • Update: 2022-08-23
第3話 海外との違い

この記事はプロのホームインスペクターが監修しています

今回の第3話では、海外と日本の住宅事情の違いについてもみていきます。欧米では50~100年を越えるヴィンテージマンションがあります。しかも日本とは違ってそれらヴィンテージマンションはなかなか資産価値が落ちません。この事情について考えます。

長期修繕計画を見直すための3つのポイント

住宅投資額と資産額の日米比較

日米の住宅投資額と資産額を比較すると、日本の資産額がいかに低いかが分かってきます。この日本の資産額が低い原因は、日米での評価制度の違いや情報量の違いからくるものです。

アメリカの場合

アメリカでは築20年の物件をリフォームなど改修をすると、その状況を加味し、建物自体の実質経過年数を15年や10年として価格を同視することができます。

この状況であるということは、しっかり建物のメンテナンスさえすれば、マンションなど建物自体の価値が落ちることがないシステムが出来上がっています。さらに市場での中古住宅の取引における情報や、それに関連する制度も日本に比べて整っているといえます。

日本の投資家がアメリカなど海外に投資する事情は、こういった制度の違いが大きく貢献しているといえます。

日本の場合

日本の場合、建物の税法上の償却期間と実際の耐用年数が誤解されていて、建物の築年数が20年を越える場合は、ほとんど価値がなくなると査定されます。

しかし、本来はそうではありません。現在は過去に比べると著しく建物自体の性能が上がっているはずなのに、実際に建物を評価する評価方法だけが旧態依然のままで、今なお建物は無価値になる意識がどこかにあり、価値を保全するためのメンテナンスから遠ざけている雰囲気があります。

また建物に関する情報量が少なすぎて、買い手としては粗悪品を取得するリスクを嫌うため、結局価値が低い状態で安くしか売れないから、「売らない」という悪循環に陥ってしまっています。

海外のアパートの需要について

パリ・ロンドン・ローマ・ニューヨークなど、街自体に価値があり、歴史的にも重要な位置を占める場所にはひとが集まってきやすいと言えます。

またマンションを資産と考えたときに、ずっと住むという選択肢だけではなく、購入する住居を投資という観点でも見た場合、すぐに高く売れるような判断も考えておくべきです。

日本と海外のマンション管理の違いについて

日本の場合

日本におけるマンション管理組合は、区分所有者全員が活動の義務を負う必要があります。また管理組合がマンションの管理業務を担っており、実質的な業務については管理会社に委託して行っています。

ヨーロッパの場合

ヨーロッパでは日本の場合とは違い、管理組合 = 総会です。またマンションの管理業務を行うのは、まったくの第三者であることが求められる場合もあります。

欧米では管理者が実質的な業務を行うため、マンションの清掃・補修業務を委託する業者の選定も行います。業者の選定をする際は、誰かの口利きでもない業者を必ず1社いれなければいけない規定を設けているようなマンション管理組合も存在しています。どこまでも中立性が守られるような法整備がされているケースがほとんどです。

欧米でのマンション管理組合の理事会の役割は、管理者の管理と監督をすることです。そのために外部の専門家を活用し、健全な管理が保たれるような仕組みが整っています。

一方でもちろん管理不全のマンションは欧米でも存在します。たとえばイタリアでは男性、女性、区分所有者、の3種類があると言われているほど、マンションに関するトラブルが多い状況があり、先進国でもまだまだ課題が残されているのが現状だと言えます。

今回は簡単にではありますが、日本と欧米とのマンション管理に関する違いについてお話させていただきました。

山本 直彌
監修者

山本 直彌

大手マンション管理会社での業務経験6年、大手不動産仲介会社での業務経験9年、その他PM・BMマネジメント経験3年

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株式会社さくら事務所

ホームインスペクション(住宅診断)をはじめとする個人向け不動産コンサルティングや管理組合向けコンサルティングを行っている。400を超えるマンション管理組合のコンサルティング実績をもち、大規模修繕工事や長期修繕計画の見直し、瑕疵トラブルなどの管理組合サポートサービスを提供している。

【監修】さくら事務所マンション管理コンサルタント(マンション管理士)

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