タワーマンションの欠陥を洗い出すアフターサービス点検のポイント

  • Update: 2021-03-28
タワーマンションの欠陥を洗い出すアフターサービス点検のポイント
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株式会社さくら事務所

この記事はプロのホームインスペクターが監修しています

購入したタワーマンションが欠陥マンションだった、手抜き工事が発覚した、という報道が度々あります

もちろんマンションに関する欠陥の問題はタワーマンションに限ったことではなく、一概にタワーマンションは欠陥が多い、というようなことはありません。

ですが、通常の板状マンションと比較し、タワーマンションはその特殊なつくりから、隠蔽された部分が多く、普段一目につかない部分で欠陥や不具合が見つかることは実際少なくありません。

ここではマンション管理コンサルタントが、タワーマンションで特に注意したい欠陥や手抜き工事について、さくら事務所がこれまで行ってきたアフターサービス点検の事例をもとに解説します。

タワーマンションで欠陥が発覚するポイント① 共用廊下の天井裏

タワーマンションに限ったものでもありませんが、内廊下のマンションの場合、天井裏に欠陥が隠れている可能性があります。

マンション、戸建てに限らず、普段の生活では目に入らない屋根裏や床下などの部分には、ダクトの接続不良や、断熱材の欠損、コンクリートの施工不良などの欠陥が隠れていることは珍しくありません。表面の見えない部分でこそ施工品質がわかるのです。

マンションの場合、専有部であれば、内覧会の際にプロの立ち合いを依頼されるケースも増えており、その際に欠陥や不具合の補修・是正を依頼することができます(お引き渡し時にプロのチェックを受けていない場合は、入居後1年、2年のアフターサービス点検で不具合を洗い出し、補修をお願いすることになるでしょう。)

ですが、マンション共用部は入居時にその仕上がりや欠陥・不具合の有無を購入者が確認する機会もなく、内廊下の天井裏までチェックすることは難しいでしょう。

1年目・2年目のアフターサービスのタイミングで欠陥・不具合の有無を点検しておきたいところですが、管理会社や分譲会社(施工会社)による点検では十分なチェックが難しいこともあります。

まだまだ一般的には、外廊下のマンションが多く、内廊下型のマンションの点検の実績を十分に持たない業者では、どんな不具合が隠れているか、どんな部分に不具合が起きやすいのか?という推測に基づいた点検ができないのです。

内廊下の天井裏をくまなく点検するには、設置されている点検口の数が圧倒的に足りていないこともあります。天井カセットエアコンの点検しか想定されておらず、それに対応する箇所しか設置されていないこともあります。点検口の数、設置位置によっては欠陥・不具合があっても修繕ができない、というケースもあります。

さくら事務所がこれまでに行ってきたタワーマンションのアフターサービス点検では、今後も点検・修繕を可能にするため、アフターサービスの点検を機に、天井裏の点検口の増設をお勧めすることもあります。

具体的に共用廊下の天井裏で発覚する不具合としては、防火区画貫通部の処理の施工不良や、指定されたものではない材料の使用、電気ケーブルの処理が乱雑であったり、コンクリートスラブのひび割れや、工事中に飲食されたと思われる空き缶や工具などの残置などさまざまです。

(残置物については、直ちに建物に支障をきたすようなものではありませんが、本来は不燃化が義務化されている部分になるため、金属類などが放置されている場合、火災が起きた際には危険があります)

タワーマンションで欠陥が発覚するポイント② 防火区画貫通部

耐火もしくは準耐火建築物は、その規模により建物を一定の面積ごとに区画することが求められており、これは「防火区画」と呼ばれます。火災発生時に火炎が一気に建物に燃え広がるのを防ぎ、安全に避難できるようにすることが目的とされています。

従って、区画する壁や床は容易に燃えない耐火構造となっており、この区画の壁や床を配管などが貫通する場合も容易に燃えない処理がなされなければなりません。隙間があればそこから火炎が隣の区画に燃え広がってしまう可能性があるからです。

これは「防火区画貫通部」と呼ばれ、具体的には配管貫通部とその壁の隙間を耐火パテで埋める必要があります。片側だけ処理すればいいもの、両側を処理しなければいけないもの、など法令で決められた措置を取る必要がありますが、これらは普段の生活で目に見えない部分なこともあり、いい加減な施工がされているケースも少なくありません。

最初から必要な箇所が処理されていないものや、新築時にはパテ処理されていたが1年2年でパテが剝がれてしまったものなどがあります。

基本的にパテ埋め処理は、現場作業員の手作業によるもののため、これらはほぼ施工不良と考えていいでしょう。

防火区画貫通部の処理は通常の板状マンションでもよく見られる欠陥・不具合ですが、外廊下マンションであれば注意すべき貫通部は住戸同士くらいですが、内廊下のマンションの場合、住戸同士に加え、住戸と内廊下の間も防火区画とされるため、結果としてタワーマンションで多く見られることとなります。

タワーマンションで欠陥が発覚するポイント③ 地下ピットの漏水

通常のマンションであれば、地下ピットは地下1階になりますが、タワーマンションに限らず、地下が駐車場になっている場合は地下1階に地下ピットは設けられません。また、タワーマンションではその設備の規模から、更にその下の地下2階に設備室が設けられることもあり、地下ピットはさらにその下に作られることになります。

地下ピットは、仕上げがされていないことからマンション内で躯体の状況が確認できる貴重な場所です。

施工品質の良し悪しがわかる部分でもあり、不具合が隠れていたというようなケースはタワーマンションに限らず多々あります。

関連コラム…マンションの施工品質は、地下ピットが教えてくれる

ですが、地下1階2階に地下ピットが設けられず、通常より深い場所に設けられている場合、注意したいのが漏水です。

地下が深くなると地下水がコンクリートの小さなひび割れや隙間から漏れ出てくる可能性が高くなるためです。

地下水の深さについては立地によるケースもありますが、地下浅くにある地下ピットより、深くに設けられた地下ピットの方が地下水による漏水リスクは確実に高くなります。

コンクリートにひび割れ等ないか、2年目のアフターサービスでしっかりチェックしておくことをお勧めします。

管理会社や分譲会社の点検では見落とされがちな”隠蔽部”こそしっかりチェックを

さくら事務所で行うアフターサービス活用のための点検業務では、特に隠蔽部の点検に注意して行われます。

通常、分譲会社(施工会社)や管理会社による点検業務では、きわめて表面的な点検であり、結果として隠ぺい部での欠陥や不具合がその後の調査で発見されるケースも稀ではありません。

アフターサービス点検を有効活用するためには、タワーマンションでの実績はもちろん、隠蔽部の調査もしっかり行う業者に依頼することをお勧めします。

山本 直彌
監修者

山本 直彌

大手マンション管理会社での業務経験6年、大手不動産仲介会社での業務経験9年、その他PM・BMマネジメント経験3年

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ホームインスペクション(住宅診断)をはじめとする個人向け不動産コンサルティングや管理組合向けコンサルティングを行っている。400を超えるマンション管理組合のコンサルティング実績をもち、大規模修繕工事や長期修繕計画の見直し、瑕疵トラブルなどの管理組合サポートサービスを提供している。

【監修】さくら事務所マンション管理コンサルタント(マンション管理士)

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