マンションの水漏れ時に適用できるのは火災保険!適用条件を徹底解説

  • Update: 2023-03-16
マンションの水漏れ時に適用できるのは火災保険!適用条件を徹底解説

この記事はマンション管理士/一級建築士などの専門家が監修しています

マンションの水漏れ対策のひとつとして有効なのが、火災保険への加入です。直接的に水漏れ被害を抑えられるわけではありませんが、費用面での安心感を得られ、居住者間トラブルの回避にも繋がります。しかし、火災保険はどのような水漏れでも適用されるというわけではありません。本記事では、マンションで水漏れが発生した際に使える、火災保険の種類や適用条件について解説します。

アフターサービス徹底活用のポイント

マンションで水漏れが発生した際に適用される火災保険

一言で水漏れといってもさまざまなケースが考えられます。適用される火災保険の内容も異なるため、ここではつぎの3つのケースについてみていきましょう。

  • 水漏れを起こしてしまった場合
  • 水漏れの被害を受けた場合
  • 共用部で水漏れが起きている場合

水漏れを起こしてしまった場合

自分が加害者となり、水漏れを起こしてしまったケースです。水漏れを起こし他人の部屋まで被害が及んだ場合には「個人賠償責任保険」が適用されます。

個人賠償責任保険とは、他人にケガを負わせてしまったり、他人のモノを壊してしまったりしたときに賠償できる保険ですが、水漏れが原因による損害賠償も補償の対象です。他人の専有部における、壁紙などの内装・家財・仮住まい費用を補償できます。

個人賠償責任保険は、火災保険や自動車保険の特約で加入するのが一般的です。ただし、管理組合で個人賠償責任保険に加入しているマンションもあるため、重複しないように確認しておきましょう。

水漏れ被害を受けた場合

自室の天井から水が漏れているなど、水漏れの被害者になったケースです。被害者の場合は以下2つの保険が適用されます。

  • 加害者が加入する個人賠償責任保険
  • 自身が加入する火災保険の水漏れ補償

加害者が個人賠償責任保険に加入していれば、その保険で賠償してもらえます。しかし、相手との関係性が築けておらず、要求しにくいこともあるでしょう。その場合は、自分が加入している火災保険の水漏れ補償で対応可能です。家財が対象になっていれば、家具や家電も補償されます。

また、加害者側の個人賠償責任保険が適応できたとしても、補償されるのは時価です。自身が加入する火災保険の水漏れ補償を合わせて使うと、新品と時価との差額を補償される可能性もあります。

共有部で水漏れが起きている場合

マンション共有部で水漏れが起きている場合は、管理組合が加入する火災保険の「施設賠償責任補償特約」が適用されます。

施設賠償責任補償特約とは、マンションの欠陥や管理不足が原因の水漏れ被害を補償する保険です。水漏れ以外にも、外壁の落下などマンション側の責任で、第三者に損害を与えたケースも補償範囲に含まれます。

施設賠償責任特約は、建物管理賠償責任補償と呼ばれることもあり、保険会社により名称はさまざまです。

水漏れの発生原因が分からないと被害を受けても適用できない

ここまで説明してきたとおり、水漏れは原因によって適用される保険が異なります。原因が分からなければ、どの保険を使えるのか判断できず、保険金を受け取れません。

原因を追求するには専門業者による調査が必要です。床を剥いだり壁を壊したりと大掛かりな調査になることも多く、その分費用もかさみます。その費用を補償できるのがマンション総合保険の「水濡れ原因調査費用補償」です。

水漏れ原因調査費用補償では、原因特定のための調査費用だけではなく、調査のために壊した床や壁の復旧費用も含まれます。費用を気にすることなく、スムーズに原因調査を依頼できるため、水漏れ被害者への早急な保険適用につながるでしょう。

火災保険の「水災補償」と「水漏れ補償」の違い

「水災補償」と「水漏れ補償」は、どちらも水の被害を補償しますが、その原因が異なります。水災補償は、洪水や土砂崩れなどの自然災害による被害が対象で、以下の支払い基準が設定されています。

  • 建物(家財)の保険価額に対して30%以上の損害を受けたと
  • 「床上浸水」または「地盤面から45cmを超える浸水」によって損害が生じたとき

水漏れ補償は、給排水管の不具合や他人の過失が原因の水漏れ被害が対象です。内装の修繕費用と家財の買替え費用が補償されます。水漏れの原因である給排水管の修理代などは補償されません。

契約内容によっては、水災補償や水漏れ補償が対象外になっていることもあります。もちろん適用範囲が広いほど保険料は高額になるため、マンションの立地や階数、昨今の自然災害を踏まえ、必要な保険を契約しましょう。

アフター点検サービスを利用して水漏れを未然に防ごう

火災保険に加入していれば、金銭的負担を大きく軽減できます。自分が水漏れの加害者になったときは個人賠償責任保険、被害者になったときは水漏れ補償を契約していると安心です。保険適用されない原因不明の水漏れには、水濡れ原因調査費用補償で備えましょう。

火災保険はなくてはならない備えですが、そもそも水漏れを未然に防ぐためには、マンションの施工不良や不具合を補修しておくことが大切になります。そこで、利用したいのがマンションのアフターサービスです。

新築マンションでは、10年目までの計5回、アフターサービスとして売主に無料で補修してもらえることがあります。しかし、施工不良や不具合に気がつけず活用できていないマンションが多いのが現状です。アフターサービスには、外壁や屋上など、雨水の浸入が予想される箇所が対象に含まれることも多いため、アフターサービスを利用して、水漏れを未然に防ぎましょう。

さくら事務所では、アフターサービスを有効活用するためのアフター点検を実施中です。専門家が、第三者の立場でマンション共用部の不具合を調査し、アフターサービスの対象か判断します。アフターサービスを利用して不具合を直しておくことで、大規模修繕の費用削減にもつながりますので、気になる方はぜひお気軽にお問い合わせください。

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山本 直彌
監修者

山本 直彌

大手マンション管理会社での業務経験6年、大手不動産仲介会社での業務経験9年、その他PM・BMマネジメント経験3年

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【監修】さくら事務所マンション管理コンサルタント(マンション管理士)

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