マンションの漏水事故はどう対処する?費用負担や損害賠償の範囲を解説

  • Update: 2023-05-18
マンションの漏水事故はどう対処する?費用負担や損害賠償の範囲を解説

この記事はプロのホームインスペクターが監修しています

マンションで漏水事故が起きたとき、あなたはどう対処しますか?溢れ出る水を目の前にすると、冷静な判断ができなくなる方も多いのではないでしょうか。

マンションの漏水事故は自分1人の問題ではありません。漏水事故の責任が自分にある場合、階下まで被害が及んでしまえば、賠償責任が発生します。責任の有無はもちろん、どこまで賠償しなければならないのか、損害賠償の範囲も気になるところです。

そこで本記事では、マンションで漏水事故が起きたときの対処法と費用負担を解説します。損害賠償の範囲と保険の適用についても触れるので、漏水事故を起こした当事者だけでなく、被害者の方も、ぜひ参考にしてください。

漏水事故が生じたときの対処手順

漏水事故が生じたときの対処手順は次のとおりです。

【対処手順】

  1. 原因を調べて応急処置する
  2. 管理会社へ報告する
  3. 修理を依頼する
  4. 水道業者・電気業者に連絡する
  5. 階下の住民に状況を説明する
  6. 保険会社に連絡する

対処が遅れるほど被害が拡大する可能性があります。手順5までは、その日のうちに、可能な限り短時間で済ませましょう。以下でひとつずつ解説していきます。

(1)原因を調べて応急処置する

まず、漏水の原因を調べます。原因が分からず、漏水を止められない場合は、給水管の止水栓を閉めるのが有効です。蛇口から水は使えなくなりますが、原因によっては、漏水を一時的に止められます。

水が止まらないうちは、バケツで水をうけたり大きなゴミ袋やシートで養生したりと、被害が拡大しないように応急処置してください。処置ができたら、被害状況を写真におさめておきましょう。

(2)管理会社へ報告する

管理会社へ漏水の事実を報告します。このときに、修理業者を指定されたり修理手配してもらえたりするケースが多いため、必ず修理を発注する前に、管理会社へ連絡してください。

独断で、修理業者を選定し発注すると、本来、修理費用を払う必要がなかったとしても、自己負担になってしまう可能性があります。

また、上階や階下の部屋も漏水被害を受けているかもしれません。スムーズにやりとりするためにも、1人で対処しようとせず、管理会社と連携することが大切です。

(3)修理を依頼する

管理会社の指示に従い、修理を依頼します。修理業者を指定されなかった場合は、インターネットなどで、すぐに対応してもらえそうな修理業者を探し、連絡しましょう。

漏水事故に備えて、事前に修理業者を調べておくのがベストです。調べていなかった場合は、今後のためにも、連絡先を控えておくことをおすすめします。

(4)水道業者・電気業者に連絡する

必要に応じて、水道業者や電気業者にも連絡します。水が流れ続けると、その分水道メーターがまわり、高額な水道料が請求されることも。原因にもよりますが、自治体によっては、減額してもらえる可能性があります。事前に適用条件などを確認しておくとよいでしょう。

また、漏水により、電化製品が濡れてしまうと漏電の恐れがあります。誤って触ってしまうと感電の危険性もあるため、専門の電気業者に点検してもらうと安心です。

(5)階下の住民に状況を説明する

管理会社から、連絡しているケースもありますが、階下の住民に漏水事故の状況を説明します。自分が漏水事故を起こしてしまい、階下の部屋まで被害が及んでいる場合は、誠意をもって謝罪しましょう。

被害が及んでいない場合でも、時間が経過とともに、天井にシミができるなどの影響がでてくることも考えられます。上階で漏水があったことを伝えておきましょう。

(6)保険会社に連絡する

被害の全貌がわかった段階で、保険会社に連絡しましょう。後述しますが、漏水事故は一般的に保険が適用されます。しかし、誰の責任による漏水事故かによって、適用される保険は異なるため、原因追及が先決です。

原因解明まで時間がかかるケースも多いですが、修理代の領収書や診断結果は、紛失しないように残しておきましょう。

漏水事故による損害は誰が費用負担する?

漏水事故が生じたとき、気がかりなのが費用負担ではないでしょうか。マンションでの漏水事故の場合、費用負担者は「居住者」「管理組合」「施工業者」の3択です。それぞれ、どのような漏水事故が対象になるのか、みていきましょう。

居住者が費用負担するケース

居住者が費用負担するケースは次の2つです。

  • 漏水事故の発生場所が専有部分
  • 漏水事故の原因が居住者の不注意

キッチンや洗面台の下にある配管の接続不良やピンホールなど、専有部分からの水漏れは、居住者が負担します。

また、蛇口の閉め忘れや掃除を怠ったことによる排水口詰まりなど、不注意が原因の漏水事故も、当然、居住者が費用を負担しなければいけません。

階下の部屋まで被害が及ぶと、損害賠償を求められます。大きな事故にならないように、日頃から水周りの取り扱いには十分注意しましょう。

管理組合が費用負担するケース

管理組合が負担するのは次の2つのケースです。

  • 漏水事故の発生場所が共用部分
  • 原因不明

共用配管の不具合や屋上防水の劣化など、共用部分で発生した漏水事故は、管理組合が費用を負担します。

すぐに共用部分と判断できればよいですが、見極めるのが難しいケースもあるため注意が必要です。たとえば、天井から水が漏れている場合、上階の専有部分が発生場所と考えられがちですが、上階の床下を通っている共用配管から漏水しているかもしれません。

また、原因不明の水漏れも管理組合の費用負担になります。実際、調査をしても原因がわからないことは少なくありません。区分所有者法では、原因が明らかでない場合、共用部分として管理組合が対応することになっています。

施工業者が費用負担するケース

漏水事故の原因が施工ミスの場合は、施工業者が費用を負担します。しかし、施工ミスを指摘するのは、そう簡単ではありません。

施工ミスの疑いがあったとしても、施工会社はよほどの調査結果がない限り、認めるわけにはいかないのです。施工会社に認めてもらうためには、専門知識のある業者にしっかりと調査してもらう必要があります。

漏水事故を起こしたときの損害賠償の範囲

損害賠償額は、ケースにより大きく異なるため、具体的な金額は一概にはいえません。そこで、ここでは、損害賠償の範囲「何に対して費用を払うのか」について解説します。

床や壁などの内装修理費用

漏水事故によって被害を受けた、他人の部屋の床や壁などの内装修理費用を賠償します。直接の漏水被害がなくても、調査のために壊さざるを得なかった、内装の修理費用も負担しなければなりません。

被害が大きくなるほど、修繕の範囲も広がります。漏水事故を起こしてしまったときは、迅速に対処し、被害の拡大防止に努めましょう。

家財のクリーニング代または時価相当額

漏水事故により、他人の部屋に置かれていた、衣類やカーペットなどが汚れた場合は、クリーニング代を賠償します。クリーニングで対応できる家財は、買い替え費用を負担する必要はありません。

冷蔵庫・テレビなどの電化製品や家具など、クリーニングできない家財が、水漏れの被害を受けた場合は、損耗時点の時価相当額で買い替え費用を賠償します。

購入後、年数が経過した家財の金銭的価値は、新品と同等ではありません。新しく買い替えたとしても、購入費用全額ではなく、使えなくなった家財の時価相当額を賠償すればよいのです。

ホテルの宿泊費

生活できないほど、漏水被害が大きい場合は、避難場所としてホテルの宿泊費を賠償するケースがあります。ただし、相場より高い場合は全額負担する必要はありません。

とはいっても、ホテルの宿泊費は、時期やエリアによって金額はさまざまで、金額設定が難しいのも事実です。こうした損害額を算出しにくいものは、両者の話合いにより金額が決まります。

休業損害や慰謝料は認められないことが多い

「仕事を休んで漏水事故に対応した」といった、休業損害は認められないことが多いです。仕事を休んだ明確な理由(勤務時間外で対応できなかったのか)と、実際に給料が減った事実が必要になります。

漏水は物損事故です。モノが汚れたり使えなくなったりする精神的苦痛は、内装修理や家財の賠償で補填されると考えられています。例外もありますが、基本的に慰謝料は認められないと認識しておきましょう。

漏水事故の損害賠償は保険が適用される

ここまで、損害賠償額の範囲を説明してきましたが、漏水事故はおもに以下3種類の保険が適用されます。

  • マンション総合保険(施設賠償責任保険特約など)
  • 個人賠償責任保険
  • 火災保険の水漏れ保証特約

マンション総合保険は、管理組合が加入する保険です。共用部分の漏水による被害など、管理組合が責任を負うべき損害賠償が保証されます。

個人賠償責任保険は、他人に損害を与えた場合に適用される保険です。他人の部屋まで漏水被害が拡大した場合に生じる損害賠償が保証されます。火災保険や自動車保険などに付帯していることもあるので、確認してみましょう。

火災保険の水濡れ保証特約は、自分の不注意や設備の経年劣化を除く漏水事故で、自室の内装修理が発生する場合に、保険金を受け取れます。加害者の保険でも対応できますが、全額受け取れなかったり、保険に加入していなかったりする可能性があるので、備えておくと安心です。

定期的にマンションを調査して漏水事故を防ごう!

マンションの漏水事故による被害は、保険が適用されます。損害賠償の点から考えると、最低限、個人賠償責任保険に加入していれば、多額の自己負担は免れるでしょう。

しかし、保険に加入していたとしても、漏水事故を防げるわけではありません。漏水事故により、長期間生活が制限されたり居住者間でのトラブルに発展したりと、金銭面以外でも多くの問題が発生します。

マンションの漏水事故は、配水管など設備の不具合や劣化が原因のケースが多いです。特に共用部分が原因で発生する漏水は、定期点検をすることで、事前に防げるケースであることも少なくありません。

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藤ノ木 健二
監修者

藤ノ木 健二

大学卒業後、ゼネコンに勤務し、マンション新築工事、マンション大規模修繕工事、学校、病院などの耐震補強工事の現場管理業務に従事。

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【監修】さくら事務所マンション管理コンサルタント(マンション管理士)

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