マンションの水漏れは、個人の問題ではなくほかの専有部分や共用部分が関係している可能性があり、少々厄介です。上の階から水が漏れてきていても、共用配管に問題が生じていることもあり、原因を追求するのが難しいケースもあります。
さらに、対応が遅れるほど被害は拡大し、居住者間トラブルにもなりかねません。加害者になってしまうと、被害状況によっては百万単位の損害賠償を求められることもあるのです。
そこでこの記事では、マンションで水漏れが発生した際に被害を最小限に抑えられるよう、水漏れの原因や対処法、修理費用について解説します。
目次
マンションで水漏れするおもな原因
マンションの水漏れのおもな原因は以下の4つです。
・配管の劣化
・屋上や開口部からの雨漏り
・給湯器などの設備の不具合や故障
・居住者の不注意
詳しく見ていきましょう。
配管の劣化
配管の劣化によりサビて穴が開き漏水することがあります。2000年代以降に建てられたマンションは、専有部の配管に樹脂管が使われているケースがほとんどです。
さびが発生しない樹脂管は、耐用年数が30~40年で、使い方によってはそれ以上に長持ちします。
しかし旧耐震基準で建てられたマンションの多くは、鉄や銅の管が使われており、汚れの蓄積や経年による酸化でサビて穴が開きやすいです。築30年頃から漏水のリスクが高まります。
屋上や開口部からの雨漏り
屋上や外壁も雨漏りしやすい場所です。築年数の経過に伴い、屋上の防水層は劣化します。
大規模修繕工事などで適切な時期に防水工事が行われているマンションは、雨漏りするリスクが低いですが、そうでない場合は注意が必要です。
また窓などの開口部は、壁に穴を開けているため、雨水が浸入しやすくなっています。
窓と壁を隙間なく繋げて止水するためにシーリングが施工されていますが、シーリング材は10年程度で劣化して隙間ができるため、定期的なメンテナンスが不可欠です。
給湯器などの設備の不具合や故障
給湯器・トイレ本体や部品・給水設備などの不具合や故障が原因で漏水することもあります。
また設備自体に問題がなくても、地震の揺れや施工時の不具合などの何らかの理由で、設備と配管の接合部分がずれて漏水に繋がることも少なくありません。
必ずしも経年劣化が原因による漏水とは限らないため、慎重に原因追及する必要があります。
居住者の不注意
マンションでの漏水で原因がわかりやすいのが、居住者の不注意によるものです。
たとえば、洗濯機の給水栓をつなぐ部分が緩んで水漏れするケースは多々あります。そのほか蛇口を閉め忘れていたり、掃除を怠ったことでキッチンの排水口が詰まったりすることも。
すぐに漏水に気がつけば大事にはなりませんが、外出して長時間気がつかないなど対処が遅れると、下の階まで被害が及んでしまう可能性があります。
【トラブル事例】マンションの漏水事故で床下が水浸しに…
マンションの床下が水浸しになり、隣の住戸まで被害が広がっていた事例があります。
漏水の原因は、エアコンの結露水を流す配管でした。エアコンを使うと結露水が生じるため、結露水を流す配管が壁の中に通っています。その配管の接合部分が壁の中で外れていたのです。
エアコンを使い続けると意外に多くの結露水が発生します。漏水に気がつかずに使い続けていたことで、床下にプールのように水が溜まり隣の住戸まで被害が及んでいました。
マンションでの漏水というと、キッチン・お風呂・洗面台から水が漏れていることが多いですが、思わぬ箇所から漏水していることも少なくありません。
とくにマンションのような共同住宅では「どこからどういった理由で水が漏れているのか」「どこまで被害が及んでいるのか」を明確にしないと、居住者間のトラブルに発展します。
迅速な原因追及と被害調査が不可欠です。
下記動画ではマンションで多い漏水トラブルについて紹介しているので、参考にしてください。
マンションで水漏れが起きたときの責任の所在マンションで水漏れ発生!原因と責任の所在は?

マンションでの水漏れは原因によって責任の所在が異なり、修理費用を払う人や損害賠償する人が決まります。
ここでは、居住者(区分所有者)・管理組合・施工会社または分譲会社の3つに分けて、それぞれどのような水漏れで責任が発生するのか見ていきましょう。
専有部の漏水は居住者(区分所有者)
専有部の配管や設備などが原因で漏水した場合は、居住者(区分所有者)の責任となります。マンションの場合、配管は全世帯で繋がっているため、専有部と共用部の線引きが難しいですが、一般的には以下のとおりです。
・給水管:メーターを過ぎた部分から蛇口までは専有部、それ以外は共用部
・排水管:継手につながる横引き管からが専有部、それ以外は共用部
また、トイレやキッチンの排水詰まりや洗濯機のホース外れ、水道凍結など、居住者に過失がある場合も、当然、責任の所在は居住者になります。
共用部または原因不明の漏水は管理組合
屋上防水の劣化や外壁のひび割れ、共用部の配管の劣化など共用部分が原因の雨漏りは管理組合の責任です。バルコニーや窓サッシも共用部分の扱いになります。
さらに漏水の原因がわからない場合も、管理組合が責任を取らなければいけません。
区分所有法第九条(建物の設置又は保存の瑕疵に関する推定)では以下のように記載されています。
建物の設置又は保存に瑕疵(かし)があることにより他人に損害を生じたときは、その瑕疵は、共用部分の設置又は保存にあるものと推定する。
区分所有法では、そもそも、マンションの瑕疵(水漏れ)は共用部分から生じていると推定されることになっているため、共用部が原因でないことを照明できない限り、管理組合の責任となるのです。
施工の不備による漏水は施工会社または分譲会社
施工の不備による漏水は、施工会社または分譲会社の責任です。施工時の不備により窓などの開口部から雨漏りしたり、施工時の配管の接続不良により漏水したりすることもあります。
その場合、施工時に不備があったことを立証できれば、水漏れ箇所が専有部か共用部かは関係なく、施工会社または分譲会社の責任になります。
ただし漏水の原因が、施工の不備なのか経年劣化なのか、見極めが難しいケースも少なくありません。また築10年(品確法の瑕疵担保責任の適用期間)を過ぎると、状況によっては無償での補修が難しいこともあります。
漏水があったときはもちろん、屋上防水の劣化やひび割れなど漏水に繋がりそうな不具合があれば、9年目までに第三者の専門家に調査を依頼することをおすすめします。
マンションで水漏れが発生した際の対処法

実際にマンションで水漏れが発生した際は、落ち着いて行動することが大切です。ここでは水漏れが発生したときの対策について解説します。
応急処置をする
水による被害を最小限に抑えるためにつぎの応急処置をします。
- 水の元栓を閉じる
- タオルで水漏れ箇所を押さえる
- 水受けを用意する
- 家財などを養生する
- 被害状況を撮影しておく
まず、自室の水の元栓を閉じておきましょう。根本的な解決にはなりませんが、不具合が起きている場所によっては一時的に水漏れを止められるかもしれません。水漏れ箇所がわかり手が届くようであれば、タオルで押さえておくのも有効です。
天井からポタポタと水滴が落ちてきている場合は、バケツなどで水を受けます。家財を水から守るために、ゴミ袋や耐水性のあるビニールシートなどで簡易的に養生しておくと安心です。状況が落ち着いたら、被害状況を写真に撮っておきましょう。
速やかに管理会社や管理組合に連絡する
水漏れが発生していたら、速やかに管理会社や管理組合に連絡します。水漏れの原因が共用部の可能性もありますし、ほかに原因があったとしても被害状況を確認しなければなりません。
また、自分が被害者・加害者どちらであってもほかの部屋の居住者とのやりとりが必要になります。自ら直接訪問し話そうとすると、新たなトラブルに発展するリスクもあるため、必ず管理会社など第三者を通して対応しましょう。
管理会社は夜間でも連絡できる緊急連絡先を設けています。水漏れに限ったことではありませんが、いざというときのために確認しておくとよいでしょう。
管理会社や管理組合に連絡すると、修理の手配など今後の動きを指示されるので従ってください。
保険会社に連絡する
マンションの水漏れは保険が使える可能性があります。応急処置や管理会社への連絡が済み、落ち着いた段階で保険会社に連絡しましょう。
自分が加害者のときは個人賠償責任保険、被害者のときは火災保険の水漏れ補償が適用されます。個人賠償責任保険は自動車保険やクレジットカードに付帯していることも。
保険の加入状況を確認し、該当する保険会社に水漏れの報告をしてください。
また、共用部からの水漏れなど管理組合の責任になる場合は、管理組合が加入する施設賠償責任補償特約が適用されます。
マンションの水漏れ時の保険については、下記記事で詳しく解説しているので、参考にしてください。
マンションの水漏れ時に適用できるのは火災保険!適用条件を徹底解説
マンションで水漏れが発生した際の修理費用

マンションで水漏れが発生した際の費用は、トータルで100万円を超えることもあります。マンションの水漏れでかかる費用内訳は以下のとおりです。
・水漏れの調査費用
・水漏れ箇所を直す費用
・内装の復旧費用
・ほかの部屋への損害賠償
配管の不具合が水漏れの原因だった場合、配管自体の修理費用の相場は、1mあたり5,000~10,000円ですが、調査のために床や壁を壊したり、復旧するには数万単位の費用が発生します。
たとえば、配管の漏水が疑われる場合は、めぼしい場所の床を一旦剥がして調査しなければいけなく、調査自体が高額になりやすい傾向です。
水道代は減額してもらえるかも
水漏れに気がつくのか遅れた場合など、大量の水が漏れてしまうと、その分水道メーターがまわり、通常通りに検針し請求されると水道代は高額に…。
しかし、水漏れの原因や場所によっては、水道代を減額してもらえることがあるため覚えておきましょう。
たとえば、水漏れの発生場所が目視できない場所で発見が遅れたときや、自然災害が原因で配管に不具合が生じたときは、水道代を減額してもらえる可能性が高くなります。
減額される条件は各自治体により異なるため、管轄の水道局に確認してみましょう。
マンションでの水漏れを放置するとどんな影響がある?
水漏れを放置するとカビ・ダニが発生します。家財が汚れるだけでなく、空気汚染により、シックハウス症候群やアレルギー症状に悩まされることも。さらに、床材や壁紙の剥がれ・建物自体の劣化の恐れもあり、災害時に、より大きな被害を招いてしまうかもしれません。
また、被害が拡大すると損害賠償額がかさみます。高額な水道代を請求されることもあるでしょう。マンションでの水漏れは個人の問題ではありません。水漏れを発見した場合は、早急に対応しましょう。
マンションの水漏れを未然に防ぐ方法

マンションの水漏れを未然に防ぐためには居住者ができることは「水回りを整理整頓しておくこと」が有効です。とくに気を付けたいのが、洗面台やキッチンシンク下の収納部分。
シャワーホースがついている場合、収納内にホースを伝う水を受けるタンクが設置されています。通常、タンク内の水は自然に蒸発するものです。しかし、水栓本体に水がかかると大量に水が溜まり蒸発しきれないことも。タンクが見える状態に整理整頓されていれば、溢れる前に水を捨てられます。
ほかにも「配管に水滴がついている」「床部分に濡れた跡がある」ときは要注意。水漏れの可能性があります。こうした異常にすぐ気がつけるように、水回りの配管近くに物を置きすぎないよう、日頃から気を付けましょう。
第3者のプロ視点でマンション共用部の点検依頼も可能!

人的ミスによる水漏れは、水回りの整理整頓など意識していれば未然に防げます。それでも万が一、加害者になってしまった場合は、管理会社または管理組合と連携し、早急な解決に努めましょう。
一方、配管の不具合や共用部の経年劣化または施工不良による水漏れは、原因追及に時間がかかります。放置するほど被害は拡大するため、水漏れが生じる前に定期的にマンションを調査することが大切です。
さくら事務所では、共用部のアフターサービスを最大限に活用するアフター点検サービスを承っております。
第三者のプロ視点で、現地に出向き漏水調査を実施。共用部での水漏れもアフターサービス規準の保証対象であれば無償で補修工事できるかもしれません。アフターサービス以外にも、施工不良が見つかり分譲会社の費用負担で修繕したケースもあります。
理事会への出席や住民説明会のフォロー、補修工事完了時の検収検査なども全面的にサポートいたしますので、お気軽にお問い合わせください。







