大規模修繕工事、先延ばしして大丈夫?劣化診断(建物診断)にセカンドオピニオン

  • Update: 2019-10-13
大規模修繕工事、先延ばしして大丈夫?劣化診断(建物診断)にセカンドオピニオン

経験豊かなコンサルタントがマンションに伺い、管理組合理事や修繕委員の皆様と一緒に、共用部をめぐり劣化の状況や大規模修繕工事のポイントについて解説する「マンション劣化診断ツアーサービス」

今回は、本サービス実施前のお打合せに同行しましたので、そのときの様子をご紹介します。

大規模修繕で失敗しないための3ステップ

大規模修繕工事の延期を検討中、管理会社の劣化診断の結果は・・・?

マンション劣化診断ツアー

今回、劣化診断ツアーのお問合せを頂いたのは足立区にある築12年、総戸数28戸の小規模マンションです。

今回、お申込みいただいた経緯について理事長さんに伺いました。

長期修繕計画では、2019年度に大規模修繕工事を実施する計画になっていましたが、資金計画と照らし合わせ、2022年まで先延ばしを検討中とのことです。

2018年度に、長期修繕計画に合わせて管理会社による無料の劣化診断が行われましたが、その報告書を見ても、どう判断していいのかわからないという状況だっそう。

拝見させていただいた劣化診断の報告書は、部位ごとに劣化状況が記載してあり、劣化した部位の画像が細かく報告されていました。

大規模修繕工事をやはり計画通りにやった方が良いのかもしれない・・・そんな風にも読める報告書に理事長自身、「大規模修繕工事を先延ばしにして大丈夫なのか?」と感じてしまったそうです。

大規模修繕工事実施ありき、でおこなわれてしまう劣化診断(建物診断)

「劣化診断」ですが、本来、大規模修繕工事前に、その実施時期や劣化した項目をどう修繕するのか?どこまで修繕するのか?を判断するために行われるものです。

今回、管理会社が無料で行ってくれたそうですが、マンションによっては長期修繕計画の中にこの劣化診断が費用とともに組み込まれているケースもあります。

日々の管理業務を委託していることもあり、身近に感じている管理会社から「もともと計画に入っており、費用も計画のうちなので調査しましょう」とすすめられてしまうと、そのまま劣化診断を行ってしまう、というのもわかるような気もします。

そして、大規模修繕工事実施を後押しされているような報告を受けて、そのまま計画通りの大規模修繕工事を実施してしまう・・・というのも自然な流れかもしれません。

日頃、他のマンションの劣化の状況などを知る由もなく、新築時の状態から比較してしまうと、全ての劣化ポイントが問題あるのではないかと思えてくるようでした。

大規模修繕工事に細かい設計って本当に必要・・・?

さて、さまざまなご質問をいただく中、話はさくら事務所のすすめる、大規模修繕工事の進め方「プロポーザル方式」にもおよびました。

一般的に広く知られる大規模修繕工事の施工会社選定方法の一つに設計監理方式があります。

設計監理とは、詳細な検討の末に設計を行い、また設計された図面そのままに、現場できちんと施工がされているかどうかを確認する(監理する)ものです。

ですが、さくら事務所では「そもそも新築でもないのに、設計って必要?」と考えています。

0から新しい建物をつくるのでもなく、もともとある建物、それも設計図書に基づいてつくられたマンション、年月とともに劣化したその機能を取り戻すことが主な目的であれば、「設計監理」という方式をとる必要が本当にあるのでしょうか・・・。

また、設計監理方式で勧めるコンサルタントは、そのマンションの状態を調べるべく詳細な劣化診断を行います。

築年数から考えれば、不要とも思えるようなコンクリートの中性化などの調査も、フルパックで高額な診断費用で実施されてしまうのです。

さくら事務所のすすめるプロポーザル方式では、「設計」というプロセスははさみません。

予め居住者にアンケートを行い管理組合の要望をまとめた上で、修繕工事を行う施工会社から、修繕方法や施工方法など、ダイレクトに提案をもらい、それらを比較検討します。

特に提案力に差が出るのが、一つは足場などの仮設工事です。

仮設工事は、大規模修繕工事のときのためだけのものであり、終わってしまったらなにも残りませんがそれでも、大規模修繕工事の施工費用のうちに占める割合は大きいもの。

適切な足場工事、コストダウンの方法、工事期間中も快適に過ゴスための仮設工事など、設計者ではなく、実際に施工をしている方からだからこそ細やかな提案を受けることができます。

もちろんこれら足場工事含め、施工会社からの各社提案を技術的に比較検討するのは、専門知識を要しますので、そこを建築知識の豊富なコンストラクション・マネージャーがサポートします。

とはいえ、施工会社のプレゼンを比較しながら現場代理人との面談など含め、最終的に判断するのは理事会のみなさん。

自分たちで納得して選ぶことで、満足できる大規模修繕工事につながるのです。

「何で今さら、劣化診断?」の鋭い質問

マンション理事長今回、伺ったコンストラクション・マネージャーは、このプロポーザル方式でいくつものマンションの大規模修繕工事の施工会社選定をサポートしてきたメンバーです。

そこで、理事長から鋭い質問。

「これまで施工会社選定のサポートをされていたのに、なぜ今また劣化診断の新サービスを始められたのですか?」

さくら事務所の大規模修繕工事のコンサルティング業務も、多くのマンションからお問合せを頂いていますが、一部のマンションで残念なのがそのタイミング。

劣化診断も行った上で「大規模修繕工事をすることになったから」という、大規模修繕工事実施ありきで、施工会社選定のお問い合わせをいただくケースが多いのです。

ですが中には、「あれ?まだ2~3年は工事しなくてもいいのでは?」「ここはもっときちっと調査すべきだったのでは?」ということもありました。

これらは大規模修繕工事前の劣化診断が本来の「大規模修繕工事の実施時期」「工事項目や修繕方法」についての判断材料として機能していないからなのです。

本来、その実施時期を判断するためのものでしたが、すっかり最初のステップのような位置づけになってしまっていました。

とはいえ、すでに劣化診断を行い大規模修繕工事実施ありきで進むマンションがもう一度、他社の高額な劣化診断を行うのは、費用面でも実現は難しいでしょう。

組合の中では、「もうやったんだからいいじゃない」「管理会社がやってくれたんだから、わざわざよそにたのまなくても」という声もあるでしょう。

総会決議を要するような高額な金額では、劣化診断のセカンドオピニオンを受けるのは非現実的でしょう。

そこで、本サービスでは、総会の決議を要せず、理事会決済でまかなえるような、15万円(税別)という価格に設定。

セカンドオピニオンとしてもご利用いただける金額になっています。


さて、当日の流れや、理事長さんにご準備いただくもの、ご参加の皆さまにお知らせいただくものなどもご案内終了。

いよいよ、次回は実際の、マンション劣化診断ツアーに同行してきます。

※今回、モニターとして応募くださったため、事前打合せを行いましたが、本サービスでは通常、事前打合せは行っておりません。

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株式会社さくら事務所

ホームインスペクション(住宅診断)をはじめとする個人向け不動産コンサルティングや管理組合向けコンサルティングを行っている。400を超えるマンション管理組合のコンサルティング実績をもち、大規模修繕工事や長期修繕計画の見直し、瑕疵トラブルなどの管理組合サポートサービスを提供している。

【監修】さくら事務所マンション管理コンサルタント(マンション管理士)

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