マンション瑕疵調査は最初が肝心!調査会社を選ぶ5つのポイント

  • Update: 2019-10-07
マンション瑕疵調査は最初が肝心!調査会社を選ぶ5つのポイント

近年、大手住宅会社による施工不良や不具合が度々ニュースで取り沙汰されています。

大手分譲会社によるマンションの構造スリットの不設置が発覚しましたのも記憶に新しいところかもしれません。

ニュースになるものならないもの、瑕疵の程度など状況はさまざまですが、マンションで施工不良や瑕疵が発覚したとなれば、管理組合の苦労は大変なものです。

瑕疵の調査、施工会社との折衝、補修工事と長い戦いが始まります。

また、その瑕疵の度合いや補修を要する箇所、修繕方法によっては、一時的に住民の退去が必要になるケースや、瑕疵の程度が深刻で修繕に長期間を要する場合などは、分譲会社や施工会社に買い取ってもらうことことを検討することもあります。

ここでは、さくら事務所のマンション管理士が瑕疵調査会社を選ぶ際のポイント5つを解説します。

①調査会社はどこまでやってくれるのか?

調査会社に依頼する際には、どこまで、どんなことまでその調査会社がやってくれるのか?をあらかじめ確認しておきましょう。

調査会社によっては、本当に「瑕疵(不具合)の調査」までしか対応できないところもあります。

建物に不具合が見つかった際にまず確認したいのが、「アフターサービスの期限内か?」ということ。

アフターサービスの期限内であれば、必要に応じて管理組合(理事会)が補修内容について折衝を行うことになりますが、費用負担については原則として分譲会社、施工会社の負担となりますが、不具合の内容によってはアフターサービス保証の対象になるかどうか?の話し合いが必要になることもあります。

建築の知識しか持たない調査会社では、瑕疵の調査はできますが、それらを踏まえた分譲会社や施工会社との折衝の窓口や、管理組合への説明や合意形成のサポートまではできない、といったケースがあるのです。

その調査会社にどこまでの対応をお願いしたいのか?依頼する際にはその会社の対応範囲を含めて、しっかりと確認しましょう。

②その調査会社、マンションに利害関係はないのか?

「調査会社に建物の調査を頼んだが、瑕疵が発覚した途端、逃げられてしまった」という管理組合からお問合せをいただくこともあります。

建物の調査の結果、瑕疵や施工不良が発覚した場合、その結果をもとに、施工会社や分譲会社と補修や費用負担の話し合いが行われます。

ですが、もし管理組合が自分たちのサポートをしてもらうためにお願いした調査会社が、実は「その分譲会社や施工会社の利害関係者」だったらどうでしょう?

実際のところ、自分の置かれている環境をリスクにさらしてまで、管理組合のために尽力してくれるでしょうか・・・

また、どんなに誠実に管理組合のために調査してもらったところで、「利害関係者の調査結果は信用ならない」という方も管理組合にはいらっしゃるかもしれません。

調査会社が調査専門の会社ではなく、新築時の設計や施工監理などを分譲会社や施工会社から依頼を受ける業務も行なっている場合には、瑕疵補修の折衝までは行ってもらえないことも考えられます。

③なぜ不具合が起きたのか?原因追及はできるのか?(外壁タイルの例)

マンションの瑕疵・施工不良の中でも、周辺に危険を及ぼす可能性があり、お問合せが多い「外壁タイル」を例にとってみてみましょう。

大規模修繕工事前の劣化診断や、自然災害により、外壁タイルの浮きが発覚。まずは外壁タイルの浮きの状況や浮いている範囲を特定するための調査が必要になります。

その結果を踏まえ、売主・分譲会社との補修の折衝、実際の補修工事の検討に進みますが、ここで重要なのが「なぜ外壁タイルが浮いてしまったのか?」という原因の究明です。

ここを曖昧にしてしまうと「経年劣化によるもの」「地震の挙動によるもの」とされてしまい、当初の施工方法に原因がなかったのか?という疑問が解消されないまま、売主・分譲会社との折衝に臨まなければならなくなるのです。

例えば、調査の中では、こんな新築時の施工不良が発覚することがあります。

躯体の表面がツルツルで剥がれやすい

本来、タイルを張るコンクリート躯体の表面には目粗しという下地処理作業を行いますが、これが不十分でツルツルだと、接着のために塗ったモルタルがしっかりくっつかず、はがれやすくなってしまいます。

モルタルが十分に硬化せずに強度が弱い

「下地調整モルタル」「張付けモルタル」を塗る際に、下地のコンクリートから急激にモルタルの水分を吸い取られてしまったため、十分に硬化せず強度が確保されなかった場合時間とともに剥離が始まり進行します。

乾燥したコンクリートに急速に水分を吸収されないよう吸水調整剤が使用されることが多いのですが、その際に適切な施工がされていないと、吸水調整材を使ったことが逆効果となることがあります。

目地の不具合がタイル浮きを起こす

外壁には「シーリング材」と呼ばれる弾力がありゴム状の材料が詰められた目地が入っています。その目地の深さが不足するなど施工が適正に行われていない場合や必要な箇所に目地が入っていないことでタイルが浮く原因となることがあります。

不具合は、その原因を追究しなければ、適切な補修方法を選択することができません。

対処療法的にその場しのぎの補修をしても、数年後には同じことを繰り返すかもしれないのです。

④マンション居住者に正しく伝えることも重要な仕事

実際の補修工事は着手~完了まで早くても6か月程度、長引けば2年以上に及ぶこともあります。

外壁タイルの場合、まずは既存の浮いたタイルを剥がす作業から始めますが、その際に発生する騒音・振動・塵埃は、マンション居住者の生活に大きく影響します。

日常生活を送る上での我慢の限界を超える、という環境を強いられることもあるでしょう。

過去、さくら事務所で瑕疵調査をおこなったあるマンションでは、外壁タイルの不具合が発覚、補修のために全住戸が一時退去しました。

仮住居の家賃や引越し費用は分譲会社や施工会社に負担してもらいましたが、不慣れな仮住まいでの生活を2年近く強いられることになりました。

このような負担を強いる可能性もあり、調査結果や分譲会社や施工会社からの結果報告について、マンションの所有者のみなさんに正確に状況をご理解いただく必要があります。

とはいえ、建築の専門用語は難しい言葉ばかり・・・

専門的な内容をわかりやすく、マンション所有者の皆さんに解説し、合意形成に向けて話し合いを進めていきましょう。

⑤同じことを繰り返さないために。補修工事のチェックは?

マンションによっては、補修を行っても、適切な補修方法ではなかった、実はきちんと補修されていなかった、という理由で、その後も同じ不具合に悩まされるケースもあります。

決まった仕様通りに施工していない、工事が雑だった、というケースもあります。

適切な補修方法で、きちんと補修工事がされたことを、第三者である瑕疵調査会社やコンサルティング会社にチェックしてもらって、初めて安心といえるでしょう。

まずは、目指すゴールや方針を決めておくが大事

いかがでしたでしょうか?

瑕疵や不具合が発覚したら、長い闘いになりますが、実際に補修工事が始まる頃には、8割がたその結果は決まっていると考えたほうがいいでしょう。

分譲会社や施工会社との話し合いにあたり、どこをゴールにもってくるのか?何を目指して交渉するのか?マンション管理組合できちんと話し合うことが重要です。

ゴール設定から瑕疵補修のコンサルティング会社に入ってもらってもいいでしょう。

マンションに瑕疵の可能性が疑われる際は、さくら事務所のマンション管理士にお気軽にお問合せください。

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株式会社さくら事務所

ホームインスペクション(住宅診断)をはじめとする個人向け不動産コンサルティングや管理組合向けコンサルティングを行っている。400を超えるマンション管理組合のコンサルティング実績をもち、大規模修繕工事や長期修繕計画の見直し、瑕疵トラブルなどの管理組合サポートサービスを提供している。

【監修】さくら事務所マンション管理コンサルタント(マンション管理士)

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