マンションの共有部・専有部の違いとは?注意点やトラブルの対処法を徹底解説

  • Update: 2022-12-08
マンションの共有部・専有部の違いとは?注意点やトラブルの対処法を徹底解説

この記事はマンション管理士/一級建築士などの専門家が監修しています

マンションは「建物の区分所有等に関する法律」(区分所有法)により共有部と専有部に分けられ、それぞれルールや責任の所在が異なります。しかし、共有部と専有部の線引きが曖昧だったり、ルールを理解していなかったりすることが原因で、トラブルに発展することも少なくありません。

この記事では、マンションの共有部と専有部の違い、共有部での注意点、トラブル対処法、共用部の設備修理について徹底解説します。メンテナンス費用を抑える方法にも触れるので、ぜひ参考にしてください。

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マンションの共用部・専有部とは?違いを解説

専有部と聞くと「居室内のこと」とイメージする方が多いのではないでしょうか。しかし、オートロック付のインターフォンや玄関ドアなど、共用部と連携または連続していることにより簡単に線引きできないものもあるのです。

ここでは、専有部と共用部を明確に線引きするために「具体的な違い」と「責任について」解説します。

具体的な違い

前述のとおりマンションには「専有部」と「共用部」があります。

専有部とは、住戸内にあるトイレやキッチンなどの設備、壁紙や床材などの内装のことです。コンクリート躯体部分は含まれず、配管や配線は共用部か各住戸に分岐された部分のみが専有部となります。

一方、共用部は専有部以外のすべてを指しますが、ややこしいのが「専用使用部分」。専用使用部分とは、共用部のうち、特定の区分所有者の利用が優遇または独占されている領域のことで、以下が例としてあげられます。

  • バルコニー
  • 専用庭
  • トランクルーム
  • ポーチ

ちなみに、玄関ドアは既設の鍵と内側の塗装は専有部となりますが、それ以外は専用使用部分です。

責任について

ここでは区分所有者と管理組合どちらの責任になるのか、以下2つの事例を紹介します。

  • 天井からの漏水
  • 玄関ドアの修理交換

ケース①天井からの漏水

漏水の原因が専有部の配管の場合は区分所有者、原因不明または共有部の配管の場合は管理組合の責任になります。

原因がはっきりしている場合は、区分所有者の個人賠償責任特約、管理組合の施設賠償(建物管理賠償)特約を適用可能です。

また、保険によっては原因の調査費用が補償される特約もあるため、保険の保障内容を確認しておきましょう。

ケース②玄関ドアの修理交換

玄関ドアの不具合は、老朽化などで全住戸の玄関ドアを交換すると取り決められた場合を除き、区分所有者の責任になります。

玄関ドアは、既設の鍵および内側の塗装以外は専用使用部分、つまり共有部のため、管理組合の責任になりそうです。

しかし、多くのマンションで「通常使用に伴う専有使用部の不具合は区分所有者が負担する」と定められており、区分所有者の責任となっています。

マンション共用部の注意点

共用部の使用には、トラブルを未然に防ぐための注意点があります。ここでは一般的な以下3つの共用部の注意点を確認していきましょう。

  • 私物の扱い
  • ベランダ・バルコニー
  • 駐車場の利用

私物の扱い

マンションの廊下や階段などの共用部に私物を置くことは禁止されています。最近では宅配業者が玄関前に荷物を置く「置き配サービス」も人気ですが、なるべく手渡しで受け取るなど、他の居住者に迷惑をかけないよう注意するべきでしょう。

共用部に私物を置く行為は、通行や日常清掃の妨げになるだけでなく、災害時の避難や消防の妨げになることも考えられます。居住者全員の心地の良い安全な暮らしのためにも、共用部の私物は厳しく管理していきましょう。

ベランダ・バルコニー

ベランダやバルコニーは専有部と勘違いされやすいですが、専用使用部分です。専有部のように区分所有者が自由に利用できるわけではありません。

専用使用部分のなかでも、ベランダやバルコニーは、避難ハッチや隣室バルコニーとの隔て板が設置されており、災害時の避難経路といった重要な役割があります。

廊下や階段と違い私物を置くことが容認されているマンションが多いですが、災害に備え避難ハッチや隔て板のそばには大きな荷物を置かないように徹底しましょう。

また、重量の軽いものは風で飛ばされてしまいます。周囲に迷惑をかけないためにも、軽いものは固定するなどの対策が必要です。

駐車場の利用

無料でマンション敷地内の駐車場を利用できるなど、駐車場が専用使用部分となる場合や、管理組合との賃貸契約になる場合、駐車場を利用できるのは使用権利のある区分所有者(および同居家族)だけです。

区分所有者が車を手放したことにより、駐車場が不要になったとしても、駐車場使用契約書や賃貸借契約書で、第三者に転貸することは禁止されています。

マンションの駐車場は、住戸数に対して数が足りていないことも多く、トラブルになりやすいため十分に気を付けましょう。

マンション共用部でトラブル(迷惑行為)の対処法

マンションの共用部のルールを守れず、迷惑行為でトラブルになることも少なくありません。迷惑行為の多くは、共用部の私物やごみのポイ捨て、マンション敷地内の違法駐車、ゴミの未分別など、居住者のモラルによるものがほとんどです。

こうした迷惑行為があれば、管理人および管理組合、管理会社で情報共有し、解決に努めます。必要があれば、理事会にて解決策を話し合いましょう。迷惑行為の当事者を特定できない場合は掲示板に注意文書を掲示するなどの対処法が一般的です。

マンション共用部の設備修理・メンテナンス

エレベーターや立体駐車場など大規模な設備修理は、予め決められた長期修繕計画に則った大規模修繕工事内でおこないます。費用は修繕積立金で賄うため、予算管理が重要です。

日常清掃など日々のメンテナンスは、外部の清掃業者などに委託します。委託費用や備品代金は管理費から賄うため、なにをどこまで依頼するのか見極めましょう。

メンテナンス費用は、業務内容や依頼頻度を減らしたり、低価格で依頼できる業者に変更したりすることで抑えられます。また、マンション照明をLEDに変更すると、長期的に電気代の節約や電球交換頻度を下げることも可能です。

マンション共用部・専有部の違いを理解して快適に過ごそう

マンション専有部は居室内の住宅設備や内装です。専有部以外は共用部になりますが、特定の区分所有者が優先して利用できる専用使用部分もあります。

専有部分の工事やリフォームはある程度自由にできますが、共用部に係る部分は管理組合の責任となるため、リフォームや使用方法にはとくに注意が必要です。また、専用使用部分でも、日常使用による不具合は区分所有者の責任になります。

お住まいのマンションによって規約や使用細則は異なります。疑問や不安、トラブルが生じた場合はまず管理規約や使用細則で確認してください。共用部・専有部の違いをよく理解して、トラブルのない快適なマンション生活を送りましょう。

山本 直彌
監修者

山本 直彌

大手マンション管理会社での業務経験6年、大手不動産仲介会社での業務経験9年、その他PM・BMマネジメント経験3年

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ホームインスペクション(住宅診断)をはじめとする個人向け不動産コンサルティングや管理組合向けコンサルティングを行っている。400を超えるマンション管理組合のコンサルティング実績をもち、大規模修繕工事や長期修繕計画の見直し、瑕疵トラブルなどの管理組合サポートサービスを提供している。

【監修】さくら事務所マンション管理コンサルタント(マンション管理士)

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