マンションの維持費は高い?相場や老後困らないための対策を紹介

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マンションの維持費は高い?相場や老後困らないための対策を紹介

この記事はマンション管理士/一級建築士などの専門家が監修しています

分譲マンションで快適に住み続けるためには、適切な維持管理が不可欠です。マンションの場合、維持管理にかかる費用は、管理費や修繕積立金から賄われます。

「自分のマンションではどのような維持管理費用がかかっている?」

「管理費や修繕積立金が高すぎると感じるけれど妥当なの?」

上記のような疑問がある方も多いのではないでしょうか。

本記事では、分譲マンションの維持管理費の種類と相場、老後に維持管理費で困らないための対策を紹介します。

マンションの維持費の目安は月額4~7万円

維持費はマンションの仕様や規模、グレードなどによって大きく変わりますが、おおよその目安は月額4~7万円です。マンションの維持費はおもに以下の5つに分けられます。

(1)管理費

(2)修繕積立金

(3)駐車場・駐輪場・トランクルーム利用料

(4)保険料

(5)固定資産税

基本は毎月支払いますが、保険料や固定資産税など1年に一度まとめて支払うものもあります。

【内訳別】マンションで毎月かかる維持費の相場

分譲マンションの維持管理費の相場を、以下5つに分けて紹介します。

(1)管理費

(2)修繕積立金

(3)駐車場・駐輪場・トランクルーム利用料

(4)保険料

(5)固定資産税

順にみていきましょう。

(1)管理費

国土交通省の「令和5年度マンション総合調査」によると、マンションの管理費(駐車場使用料等からの充当額を除く)の相場は、戸当たり月額11,503円、㎡単価は158.6円です。

より詳細な相場を把握するために、以下のマンションの規模別の管理費相場をご覧ください。

国土交通省「令和5年度マンション総合調査」をもとに作成

管理費は、20戸以下のマンションで高額な傾向があります。維持管理に必要な金額を区分所有者で出し合うため、総戸数が少ないと1戸当たりの負担額が割高になるためです。

また、ハイグレードな高層マンションが多い、501戸以上の大規模マンションも高額です。戸数が多くても、それ以上に維持管理にお金がかかることから、管理費が高くなります。

【管理費の用途】

管理費は、分譲マンションの日常的な維持管理に使われる費用です。管理会社にマンション管理を委託している場合は、清掃費や管理人の人件費などが含まれる管理委託料が管理費の大部分を占めています。

また管理組合で加入している共用部の保険料、エレベーター・消防設備などの保守点検費、共用部の電気代や水道料なども管理費です。

 

(2)修繕積立金

修繕積立金も国土交通省の「令和5年度マンション総合調査」から紹介します。

修繕積立金(駐車場使用料等からの充当額を除く)の相場は、戸当たり月額13,054円、㎡単価は181.9円です。

管理費と同様にマンションの規模によっても金額に差があります。規模別の修繕積立金は、下記グラフを参考にしてください。

国土交通省「令和5年度マンション総合調査」をもとに作成

修繕積立金は管理費程、規模別の違いが大きくはありませんが、20戸以下と501戸以上はやはり高額な傾向です。

また、修繕積立金は将来の修繕に備える費用のため、実際に使うタイミングが来たときに、物価高などにより足りなくなることがあります。修繕費用が不足すると、徴収方法にかかわらず値上げされるため注意しましょう。

【修繕積立金の用途】

修繕積立金は、マンションの大規模修繕などに備えて、毎月区分所有者から徴収して積み立てられる費用です。

大規模修繕のほか、給排水管・エレベーター・機械式駐車場などの更新工事、災害による損傷個所の修繕工事、バリアフリー化などマンションをグレードアップさせる改良工事などに使われます。

修繕積立金の積立方式については、下記記事を参考にしてください。

マンションの修繕積立金の段階増額積立方式と均等積立方式の違い!増額のタイミングは?

 

(3)駐車場・駐輪場・トランクルーム利用料

マンションの駐車場・駐輪場・トランクルームなどを利用するときに、料金がかかるケースがあります。支払い方法は年払いや月払いなど、マンションによってさまざまです。

駐車場・駐輪場・トランクルーム利用料は、マンションや地域によって差が大きい費用です。

駐車料は都市部では月30,000~50,000円前後、地方や郊外では5,000円前後で利用できるマンションもあります。

駐輪場は月数百円です。年払いで先に支払うケースもあります。全戸にトランクルームがある場合は無料で使えることもありますが、そうでない場合は、広さやタイプ(屋内か屋外かなど)によって、利用料はさまざまです。

(4)保険料

区分所有者が個人でかける専有部の保険も、維持費のひとつといえるでしょう。保険は、専有部で火災や地震の被害や、専有部で生じた水漏れによる被害などに備えるために必要です。

個人賠償責任の特約が付いていれば、水漏れにより階下の住宅に被害があった際も費用負担を軽減できます。

火災保険料は、補償の内容によって保険料が決まります。おおよそ年30,000円前後です。地震保険にも加入するとさらに保険料がプラスされます。保証内容と料金に納得できる保険に加入しましょう。

(5)固定資産税

固定資産税は、毎年1月1日時点で分譲マンションなどの固定資産を所有している方が納める税金です。マンションを所有している限り納めなければいけないため、資金計画をたてる段階で頭に入れておきましょう。

固定資産税はマンションによって異なりますが、年10~20万円前後です。新築マンションの場合は、5年または7年間(長期優良住宅の場合)軽減措置を受けられ、安くなります。

都市計画税は自治体によって大きく差があるため、マンションのある自治体に確認しましょう。

マンションで不定期で発生する維持費

分譲マンションでは、定期的に生じる維持管理費のほかに、思いがけず必要になる以下の費用もあります。

・修繕積立一時金

・管理費・修繕積立金の増額

・専有部の修繕費用

以下で詳しく解説します。

修繕積立一時金

修繕積立一時金は、修繕積立金が足りないときに臨時で徴収される修繕費用のことです。工事単価が上がっていたり修繕が必要な箇所が増えたりすると、想定よりも多くの修繕費用がかかります。

一時金としてまとまった金額を区分所有者から徴収することで、修繕積立金を補填するのです。修繕積立金とは別に修繕積立一時金を徴収される可能性があることを覚えておきましょう。

管理費・修繕積立金の増額

管理費や修繕積立金は増額される可能性が高いです。これから先もずっと維持管理にかかる費用が変わらないという保証はありません。

物価上昇が問題視されている現在、修繕に必要な資材、管理人や作業員の人件費も高騰しています。管理会社から管理委託費の値上げを要請されることも。

修繕費用は、修繕積立一時金でしのぐケースも考えられますが、区分所有者の負担が大きいため、計画的な修繕積立金の増額が必要になるのです。

分譲マンションを適切に維持管理していくために修繕積立金の増額は悪いことではありません。

しかし、そうして増額にこぎつけ、ようやく大規模修繕工事が実施できるようになったとしても、その肝心な工事内容に不要なものが含まれていたり、不適切な仕様であったりすれば、せっかくの増額も無駄になってしまいます。

だからこそ、管理組合は、長期修繕計画や工事の見積もり内容を注意深く確認し、「この工事は本当に今、必要なのか」「この仕様は妥当なのか」といった視点を持ち支出を抑えていくことも同時に検討する必要があります。

 

専有部の修繕費用

マンションの維持管理費というと、管理費や修繕積立金に目がいきがちですが、専有部の修繕費用も確保しておかなければいけません。たとえば、キッチンや給湯器などの設備は築年数の経過とともに劣化し、不具合が生じてきます。

分譲マンションの場合、基本的に玄関ドアや窓サッシは専用使用部分と呼ばれる共用部です。共用部は修繕積立金で修理しますが、マンションによっては専有部扱いになっているケースもあります。

どこまで自費で修繕するのか把握しておくためにも、共用部と専有部の区別を管理規約などで確認しておきましょう。

維持費が高いマンションの特徴と対策

維持費が高いマンションには以下3つの特徴があります。

・総戸数が30戸未満と規模が小さい

・機械式駐車場が採用されている

・築30年を超えている

それぞれ対策と合わせて見ていきましょう。

総戸数が30戸未満と規模が小さい

総戸数が少ない小規模マンションは、スケールメリットが働かないため、戸当たりの維持費の負担が大きくなりやすいです。

たとえば駐車場のトラブルで補修人員を1人呼ぶのに3万円かかる場合、戸数が大きいほうが戸当たりの負担額は少なくなります。

管理委託費に関しても、管理会社は委託費のなかから利益を上げていく必要があるため、規模が小さいマンションのほうが一戸当たりの単価がどうしても割高になってしまうのです。

総戸数が少ないマンションは、そうした小さな積み重ねにより維持費が大きくなっていくため、コスト削減の意識を高くもつことが大切になります。

機械式駐車場が採用されている

機械式駐車場は管理費と修繕積立金、どちらにとっても金食い虫です。

月に1回または2~3ヶ月に1回行われるメーカーの保守点検費は管理費から賄われます。

大規模修繕に近い金額が必要になる駐車場の更新料、塗装や部品交換といった修繕費用は修繕積立金です。

機械式駐車場の点検や修繕は、メーカー推奨の期間で実施しないと保証が利かなくなることがあるため、避けては通れません。

駐車場の需要があり安定した使用料収入を得られていればよいですが、契約が減っている場合は、機械式駐車場の一部を埋め戻ししたり3段式を2段式に変更したりと、コスト削減を図りましょう。

機械式駐車場については下記動画で詳しく解説していますので、参考にしてください。

【マンション管理】機械式駐車場は金食い虫!解決方法はあるのか?

築30年を超えている

築30~50年は、もっともマンションの維持費がかかる時期です。

築30年を超えると、3回目の大規模修繕工事・エレベーターの更新・機械式駐車場の更新・給排水管の更新が必要になります。

さらに、40年を超えると玄関扉や窓サッシの交換の時期です。

エレベーターや機械式駐車場などメーカーで保全計画が出されているものは、優先的にやらなければいけませんが、ほかは劣化状況や使われている部材によって、更新時期を伸ばせる可能性があります。

維持費がかさむ時期だからこそ、長期修繕計画を見直して不要不急の修繕費用を抑えましょう。

築30年を超えたマンションで修繕費にお悩みの方は、ぜひ下記動画をチェックしてください。

 

【マンション管理】それ全部修繕する必要ある?築30年を超えたマンションの修繕費は「激増」か?

分譲マンションと戸建て30年でかかる維持管理費は大きく変わらない

分譲マンションと戸建て、トータルで考えたときにどちらの維持管理費のほうが高いのか、気になっている方もいるのではないでしょうか。

実は分譲マンションと戸建てでは、30年の長期で考えたときにかかる費用は大きくは変わりません。

前述した通り、分譲マンションの修繕積立金の平均㎡単価が181.9円です。さらに専有部の修繕費用がかかるため、合わせると㎡単価は200円程度になります。一方戸建ての修繕費用は㎡単価220円前後が目安です。

日常的な管理にかかる費用は、分譲マンションの場合、平均㎡単価が158.6円。戸建ては管理費がありませんが、その分庭の手入れや整備、外構のメンテナンスなどにお金がかかります。

また電気代も、住居に囲まれているマンションよりも戸建ての方が高額になりやすいのが特徴です。

総合的に見ると、若干戸建ての方が高い印象がありますが大きな違いはないといえるでしょう。

マンションの維持費で老後困らないための対策

「分譲マンションの維持管理費が高くて払えない」と老後困らないための対策を2つ紹介します。

・維持費の高騰を想定して個人の支出を見直す

・マンション全体で支出を減らす

以下で具体的に解説します。

維持費の高騰を想定して個人の支出を見直す

一つ目は維持管理費の高騰を想定して、個人の支出を見直すことです。

まずは、マンションの修繕積立金の積立状況(長期修繕計画に対して足りているのか)や借入金の有無、などから資金不足になる可能性があるか確認しておきましょう。

たとえ余裕のある資金計画を立てていたとしても、修繕積立一時金や管理費・修繕積立金の値上げなど、想定外の出費が増え、生活を圧迫することも考えられます。

急な値上げや出費にも対応できるように、住宅ローンを借り換えて金利を安くしたり、保険会社や保険の内容を見直して保険料をおさえたりして、固定費の削減を検討しましょう。

マンション全体で支出を減らす

二つ目は、マンション全体で支出を減らす努力をすることです。

管理費や修繕積立金の値上げを防いだり、最小限の値上げ幅におさえたりと、管理組合全体でコストカットを目指しましょう。

管理費は管理委託業務を減らすことで委託料を安くできる可能性があります。たとえばガラスの清掃頻度やポリッシャーによる床清掃の回数を減らすなど。

修繕積立金は過剰な工事や時期尚早な工事などを避けることで、修繕費用を節約でき、無駄な支出を減らせます。そのためにも、大規模修繕の時期や内容、見積り額が適正なのか、第三者の専門家のアドバイスも交えて慎重に進めていくことが非常に重要です。

マンションの維持費が高くて払えないとどうなる?

管理費や修繕積立金が払えていないと、管理会社から電話や書面で督促されます。電話や書面で対応しないと内容証明が届き、それでも払えなければ訴訟に発展することも。

固定資産税の場合は、市町村から督促状が届きます。それでも払えない場合は、マンションを差し押さえられ競売にかけられるため、支払いに困ったときは早めに市町村に相談してください。

いずれも支払いが遅れると遅延損害金が発生し、より厳しい状況になります。毎月かかる維持費に備えて、余裕のある資金計画を立てましょう。

マンションは維持費の増額も視野に入れ老後に備えよう

分譲マンションの維持管理にかかる費用は以下の5つです。

・管理費

・修繕積立金

・駐車場などの使用料

・保険料

・固定資産税

修繕費用が足りなければ、管理費・修繕積立金の値上げや修繕積立一時金としてまとまった金額を徴収されることもあります。

修繕積立一時金は区分所有者の負担が大きいため、将来維持管理費で困らないためにも、個人の支出だけでなく管理組合全体でマンションのコストに目を向け、見直していきましょう。

さくら事務所では、管理費の見直しアドバイスをおこなっています。現在のマンションの管理状況について、過不足な項目はないか、コストダウンできる可能性がないか、チェックします。管理費が高いと感じている方はぜひご活用ください。

そのほか長期修繕計画の見直し・作成サービスも実施しています。修繕積立金の過不足を判断するには、長期修繕計画が適正でなければいけません。修繕積立金の値上げを余儀なくされている、将来的に修繕積立金が足りない、といったマンションにおすすめです。

さくら事務所は第三者の専門家として、中立の立場で管理組合のみなさまをサポートいたします。1999年の創業以来900件を超えるサポート実績がありますので、安心してご相談ください。

管理費見直し・管理会社変更アドバイス

長期修繕計画の見直し・作成

以下の動画でも管理費が上がりやすいマンションの特徴について詳しく解説しています。

 

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山中 行雄
監修者

山中 行雄

マンション管理会社で約20年勤務。東京、千葉、広島、沖縄など、様々な地域で管理組合運営業務に携わる。

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