マンションの資産価値を分けるポイントは?資産性のあるマンションの特徴と対策

  • Update: 2024-08-08
マンションの資産価値を分けるポイントは?資産性のあるマンションの特徴と対策

この記事はマンション管理士/一級建築士などの専門家が監修しています

年数が経っても価値が落ちにくい、または購入価格よりも高く売れる「資産性のあるマンション」とは、どのような特徴があるのでしょうか。

本記事では、資産性のあるマンションの特徴と対策について解説します。

これからマンションを購入する方だけではなく、今住んでいるマンションの資産性を高めたい方向けにも対策を紹介しているので、ぜひ最後までお読みください。

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マンションの資産価値は「立地」が影響大

マンション価格における最大のポイントは「立地」です。

建物は経年劣化によって資産価値が下がりますが、立地がよく人気エリアなら土地の価格が下がりにくいためマンションの資産価値を維持できます。将来的に地価が上昇すれば高い売却益も期待できるのです。

逆に人気のないエリアは地価が下がる可能性があり、マンションの資産価値も下がることが懸念されます。

人気の土地は、交通アクセスがよい、災害リスクが低い(ハザードマップで確認してください)、人口が多い、周辺施設が充実しているなど暮らしやすい条件が揃っているケースが大半です。

2024年公示地価からみる資産価値のあるエリア

出典:国土交通省「令和6年地価公示の概要」

国土交通省「令和6年地価公示の概要」によると、全国平均の地価変動率は上がっているものの、都道府県別では上昇エリアと下落エリアの格差が激しくなっていることがわかります。

三大都市圏のほか、地方四都市(札幌、仙台、広島、福岡)がある都道府県は、地方の中でも人が集まりやすいことから1.0%以上の地価上昇が目立ち、近年タワマンなどの大規模な再開発も見られます。一方、新潟県・徳島県・鹿児島県などは長期的に平均地価が下がり続けているようです。

資産価値が落ちにくいマンションの特徴

マンション価格を決めるのは、立地だけではありません。

ここからは、資産価値が落ちにくいマンションの特徴を説明していきます。

・間取りがエリア属性に合っている

・日当たりと眺望のよさが約束されている

・マンション管理のレベルが高い

(1)間取りがエリア属性に合っている

マンションの資産価値を左右するポイントとして「間取り」も大事です。

たとえ好立地のマンションでも使いにくい間取りの部屋は売れ残ることが予想され、その部屋だけ価格が下がる場合もあります。

需要が高い間取りにするためには、周辺マンションのエリア属性を見極めるのがおすすめです。周辺に学校や公園がある場合はファミリー世帯、オフィスビルが多い場合は単身者が多いと判断できるでしょう。

ファミリー世帯が多いエリアなら3LDKから4LDKの広い間取りの需要があります。一方、単身者が多いエリアなら1DKなどのコンパクトな間取りが無難です。

(2)日当たりと眺望のよさが約束されている

マンションは南向きや東向きが人気で、とくに高層マンションは上層階ほど日当たりと眺望のよさから需要が高く、資産価格も落ちにくくなります。

ただし、周辺の建物によっても左右されます。南向きのマンションでも、目の前に日差しを遮る高層マンションが建っていたら、結果的に日当たりも眺望も悪くなりマンションの資産価格が落ちてしまうのです。

入居後に新たなマンション建設が始まる場合もあるため、事前に周辺の建設予定を確認しましょう。

また、公園が隣接しているなど長期的に建物が建たないことが約束されていれば、マンションの資産価値も維持しやすくなります。

(3)マンション管理のレベルが高い

居住後に日当たりや間取りを変えることは難しいですが、管理を健全に行うことで資産価値を上げられます。

たとえば、外壁やエントランス、共用廊下や階段など、共用部の修繕が行き届いているか、また、省エネ化や、インターネット回線の高速化、バリアフリーなど、建物を時代に合わせて住みやすくアップグレードしているかどうかについても、資産価値に影響するポイントです。

さらに、長期修繕計画を定期的に見直し妥当な金額の修繕積立金を徴収していれば、経年劣化に伴い工事費用が膨らむ大規模修繕工事にも借り入れや一時金の徴収をすることなく対応することができるでしょう。適切な修繕積立金を積み立てていることは、修繕積立金が不足する周囲の他のマンションよりも大きなアドバンテージとして、売却時に買主にアピールできる要素の一つです。

資産価値が落ちやすいマンションの特徴

資産価値が落ちやすいマンションも確認しておきましょう。

・築年数が浅い(新築~築5年前後)

・管理組合が機能していない

・長期修繕計画を見直していない

(1)築年数が浅い(新築~築5年前後)

出典:東日本不動産流通機構「レインズデータライブラリー」

上記のグラフによると、築年数が浅いほど平均㎡単価の下落率も激しくなることがわかります。

新築から5年以内なら、設備の性能はほぼ同レベルで建物価格も大きく減価しません。しかし、購入価格が高い分、経年による建物の減価が激しく時間が経つにつれて大きな売却益を得にくい状態となります。

一方、築30年前後になると減価は落ち着き安く買えますが、建物の劣化も進んでいるため、大規模な設備交換などの修繕費用が追加でかかる可能性があります。これまでの管理状態によってマンションの資産価値が大きく変わってくる時期でもあるのです。

(2)管理組合が機能していない

とくに居住者の高齢化が進んでいるマンションにおいて、区分所有者の無関心などにより役員のなりて不足が起こって管理組合が機能していない傾向があります。

その結果、修繕費用積立金の値上げや一時金徴収のハードルが高くなり、資金不足によって適切な時期に必要な工事ができなくなる場合もあるのです。放置しておくとマンションの資産価値は下落していき、空き部屋が増えるリスクも抱えることになります。

(3)長期修繕計画を見直していない

多くのマンションでは、まだまだ長期修繕計画の精度が低い状況にあると言えます。修繕項目が抜けていたり、工事費データの根拠が不明確であったり、マンションによっては、存在しない設備が計画に計上されていることも。精度の低い長期修繕計画のまま大規模修繕工事を行うと、過剰な修理を実施して資金不足を加速させます。修繕項目の抜け漏れにより修繕積立金の徴収額がそもそも妥当じゃないなどの問題が生じることもあります。

長期修繕計画を見直ししていないことにより、大規模修繕工事をするたびに資金不足が深刻化していきます。昨今、メディアでも修繕積立金不足が取り上げられ、マンションの財務状況への注目が高まっていますから、資金不足であることはマンションの資産価値に小さくない影響を与えることでしょう。

修繕積立金の積立状況や長期修繕計画は、マンションにかかる「重要事項報告書」に記されているため定期的な確認は必須です。

【対策】管理力アップでマンションの資産価値は高くなる

マンションの資産価格を落とさないための対策として、管理組合の運営状況にも興味を持ち自らもその一員として、管理力をアップさせることが有効です。正しく管理すれば資産価値の維持だけではなく向上も期待できます。マンションが購入時と変わらない価格、またはそれ以上の価格で売れれば、その後の生活も大きく変わることでしょう。

また、適切な計画に基づいて修繕積立金を積み立てていけば、将来の修繕資金に困らずマンションの寿命を延ばすことも可能です。

これまでは、マンションの資産価値といえば立地であり、マンション管理はあまり注目されていませんでした。しかし、2022年4月に施行された「マンション管理適正評価制度」や「マンション管理計画認定制度」といったマンション管理業協会や、行政によるマンション管理状況を見える化する取り組みが始まることで、今、マンション管理への注目はとても高くなっています。マンション管理適正評価制度や、マンション管理計画認定制度は、マンション売買のポータルサイトにも、審査結果が表示されていることもあり、今後ますますマンション管理が資産価値に与える影響が大きくなっていくものと見受けられます。

詳しくは下記記事を参考にしてください。

【マンション管理適正評価制度】評価項目・メリット・デメリット・注意点を解説

他にも役員就任可能範囲を広げて高齢化対策を行ったり、外部専門家による建物劣化診断や長期修繕計画の見直しをしたりすることが、資産価値向上に効果的です。

今のマンションの資産価値の調べ方

マンションの資産価値は、土地の評価額と建物の評価額で決まります。土地と建物、それぞれの評価額について解説します。

・土地の評価額の算出方法

・建物の評価額は固定資産税評価額

土地の評価額の算出方法

土地の評価額の算出は、以下の流れで行います。

(1)国税庁のホームページで路線価を調べる

(2)路線価から土地全体の評価額を計算する

(3)各区分所有者の持ち分を算出する

まず、国税庁のホームページで路線価を調べます。マンションのある都道府県を選択し、「路線価図」から市町村を見ると、住んでいるところの路線価を見ることができます。

次に、その路線価から土地全体の評価額を計算しましょう。計算式は、下のようになります。

土地全体の評価額=路線価×土地面積

最後に区分所有者の持分である専有部分を算出します。計算方法は、以下の通りです。

専有部分の評価額=土地全体の評価額×持分割合

建物の評価額は固定資産税評価額

建物の評価額は、下の書類で確認することができます。

・課税明細書

・固定資産税評価証明書

課税明細書は、区分所有者にその年の税額を知らせる通知書です。「価格」もしくは「評価額」と記載されている数字が建物の評価額になります。

固定資産税評価証明書は、区分所有者本人や関係者(家族)のみ取得できる書類で自治体から発行されます。手数料は自治体によって異なりますが、おおよそ200~400円ほどかかります。

マンションの資産価値は物件選びと管理力で決まる

資産価値を維持しやすいマンションは、なによりも立地選びが重要です。三大都市圏や再開発が進んでいて人が集まりやすい地方4都市など、人気エリアのマンション価値は上昇することも考えられます。同じエリアでも交通の利便性がよかったり災害に強かったりする場所だとなおよいでしょう。

そのほか、マンションの間取り・日当たり・管理力なども、資産価値に影響します。特に管理力は区分所有者の努力次第で改善できる要素です。住んでいるマンションの資産価値を維持または向上させたい方は、積極的に管理組合運営に関わるなど、マンションの管理力向上に務めることで、長期的に健全なマンション運営が可能となり、資産価値を守ることにつながります。

さくら事務所では、資産価値の高いマンション選び、さらには今住んでいるマンションの管理力を上げて資産価値向上を図るために役立つサービスを提供しております。

また、長期修繕計画の適切な見直しを行うことで大規模修繕工事の費用を抑えたり、修繕積立金の不足を防ぐためのサポートもいたします。ただ長期修繕計画を見直すだけでなく、総会決議や運用へ向けたサポートもできる点が強みです。

この機会にぜひお問い合わせください!

長期修繕計画の見直し・作成

また、以下の動画でも詳しく解説していますのでぜひご覧ください。

山本 直彌
監修者

山本 直彌

大手マンション管理会社での業務経験6年、大手不動産仲介会社での業務経験9年、その他PM・BMマネジメント経験3年

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ホームインスペクション(住宅診断)をはじめとする個人向け不動産コンサルティングや管理組合向けコンサルティングを行っている。400を超えるマンション管理組合のコンサルティング実績をもち、大規模修繕工事や長期修繕計画の見直し、瑕疵トラブルなどの管理組合サポートサービスを提供している。

【監修】さくら事務所マンション管理コンサルタント(マンション管理士)

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