マンション管理適正評価制度とは?評価項目とその活用法を解説

  • Update: 2021-03-05
マンション管理適正評価制度とは?評価項目とその活用法を解説
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株式会社さくら事務所

2022年4月、マンションの管理状況を評価する「マンション管理適正評価制度」がいよいよスタートする予定です。

これまで「マンションは管理を買え」と言われながらも、マンションの管理状況について基準となる明確な指標もなく評価が難しいのが現状でした。

マンションにお住まいの方やこれから中古マンションを購入しようという方に、本制度はどのような影響をもたらすのでしょうか?

さくら事務所のマンション管理士がマンション管理適正評価制度の概要や注意点、活用法について解説します。

マンション管理適正評価制度とは

マンション管理適正評価制度とは、マンション管理業協会の定めた評価項目に沿ってマンションの管理状態をチェックするものです。管理が行き届いているとして高評価を得たマンションは、保険料率の見直しなどのメリットが受けられる可能性があります。

この新制度の背景には、マンション管理適正化法の改正があります。

2022年施行予定の改正マンション管理適正化法では、マンションの老朽化を抑制し、周辺の危害などを防止するための維持管理適正化に向けた取り組みの強化を喫緊の課題としており、適切な管理を有するマンションを認定しインセンティブを受けることができるような仕組みづくりを検討しています。

近年では、修繕もままならずスラム化した老朽化マンションも問題になっています。

空き家となり崩落の危険もあるようなマンションは損壊による周辺住民への危険や治安の悪化にもつながり、これらの防止が大きな目的となっています。

尚、現時点ではマンション管理業協会の定めたマンション管理評価制度の評価項目と、マンション管理適正化法に新たに規定される国による基本方針に基づく管理計画認定制度等の新制度の内容がどの程度異なることになるのかは未だはっきりと分かっていません。

マンション管理評価適正化制度の評価項目とは?

マンション管理適正評価制度の評価項目マンション管理適正評価制度の評価項目は、「管理体制関係」「組合収支会計」「建築・設備」「耐震診断関係」「生活関連」といった以下の5つのカテゴリーから構成さています。

管理体制関係(20点)

理事長等の管理者に関する規定や、総会の開催、議事録の保管、規約が標準管理規約に準拠しているか?、等が評価項目になります。

本項目はそれほど高いハードルではないでしょう。

組合収支会計(40点)

一般会計に余剰金はあるか?滞納している住戸は何%程度か?(またその滞納期間)、修繕積立金の徴収方式について等の評価項目で、5つの項目のうち最も高い40点の配点となります。

一般会計については、こちらもさほど高いハードルではありませんが、修繕積立金について満点を取るには、「均等積立方式による徴収」「計画期間の推定工事費を積立金累計額が上回る」「組合の年度収入額が長期修繕計画上の年度収入通りに徴収」といった条件が必要になります。ここはハードルが高い印象です。

建築・設備(20点)

長期修繕計画の有無や期間、見直しの頻度、竣工図書や修繕履歴の保管についての評価項目です。

国土交通省による長期修繕計画のガイドラインでは、5年ごとの見直しが推奨されていますが、本評価項目では7年ごととなっていますが、長期修繕計画の見直しは総会議決事項にもあたりますので、2年の猶予を設け7年ごとの見直しが評価項目となっています。

修繕履歴の保存に関しては、管理会社に協力が必要になるケースもあるでしょう。

耐震診断関係(10点)

耐震診断の実施有無、またはその結果による改修計画の有無等が評価項目になります。

新耐震基準を満たしていれば(建築確認済証の交付年月日が昭和56年6月1日以降)、特段何の取り組みも必要なく10点が得点できます。

生活関連(10点)

緊急時の対応、消防訓練の実施有無、防災マニュアルの整備状況などについての評価項目です。

マンション管理適正評価制度の評価結果

上記の評価項目の結果、評価結果は以下の5段階に分かれます。

S・・・特に秀でた管理状態 90~100点

A・・・適切な管理状態である 70~89点

B・・・管理状態に一部の問題あり 50~69点

C・・・管理状態に問題あり 20~49点

D・・・管理不全の恐れがある 0~19点

評価項目を見る限り、業務品質が一定程度保たれているマンション管理会社に管理を委託していれば、A評価までは問題なく取れる可能性が高いかと思います。

Sランクでも安心できない?その落とし穴

マンション管理適正評価制度のSランクただ、評価結果を鵜呑みにするのはリスクもあります。

S評価のマンションであっても、手放しで安心できるマンションであるとは言い切れないのです。

具体的な事例を挙げて見てみましょう。

あるSランクマンションのケース

修繕積立金を段階増額方式と一時金による徴収方式を採用しており、期間中の収入が予定の修繕費用を上回るマンションのケースです。

管理体制関係 20点
管理組合収支関係 31点
建築・設備 20点
耐震診断関係 10点
生活関連 9点

→ 合計90点(S評価)

結果としてS評価にはなりますが、マンションの経年とともに居住者も高齢化していきます。先々、段階増額で必要とされる金額の見直しが決議されるという保証はありません。

また、ある程度まとまった金額を一時金として徴収することになっていますが、さまざまなライフステージにある多くの世帯から、必要な時期にまとまた金額を集めることができるのか、という点は懸念が残るでしょう。

あるAランクマンションのケース

先進的な取り組みなど熱心にマンション管理組合運営が行われているこちらのマンションでは、60年の超長期の長期修繕計画を作成し、修繕積立金の徴収方法は段階増額を採用、既に将来の金額の見直しについても決議済みです。

管理体制関係 18点
管理組合収支関係 32点
建築・設備 20点
耐震診断関係 10点
生活関連 9点

→ 合計89点(A評価)

まずポイントは管理体制関係です。本評価項目では、マンション標準管理規約に準拠した内容であるかが1つのポイントになっていますが、先進的な取り組みをしている熱心なマンション管理組合では、標準管理規約通りになっていないケースも往々にあります。

本来、マンション標準管理規約はそれまでまちまちであったマンションのルールについて、1982年に当時の建設省が1つの見本として出したものです。拘束力もなく採用しなければいけないものでもありませんが、ここでは得点を落としてしまうことになります。

また、30年目以降に発生するエレベーターや機械式駐車場などの多額な修繕・交換費用が必要となる時期まで視野に入れた60年の長期修繕計画を作成しており、段階増額方式で数回にわたる積立金の増額も既に総会決議済みであり将来的にも安心ですが、計画期間の工事費と比較しマイナスになることから満点は取れていません。

とはいえ、長期修繕計画を超長期的なものとし、同時に向こう数十年かけて修繕工事費用の削減努力目標を掲げるケースも珍しいことではありません。

管理会社任せのAランクも危険

先ほど挙げたように、一定程度のレベルの管理会社にお任せしていればある程度の結果は期待できますが、問題は「管理組合が自主的に取り組んだものかどうか?」も大きなポイントになります。

今後、多くのマンションが他マンションとの差別化、エリアで選ばれるマンションとしてアピールすべく、マンション管理適正評価制度を活用することが予想できます。

ただ、「高評価を得るよう管理会社に依頼して高評価を得たマンション」と「管理組合が自主的に取り組み高評価を得たマンション」では、その後の管理力の維持継続ができるかどうかが、おのずと大きく異なることが考えられます。

もちろん評価を受けるためには管理会社の一定の協力も必要ですが、その背景に管理組合や理事会の自主的な取り組みがなければ、長期的に見た管理力の維持継続は難しいかもしれません。

マンション管理評価制度、どう活かせばいいのか?

実際にマンション管理適正化評価制度はどのように活かせばいいのでしょうか?

マンションで管理組合運営に取り組む方の活用法

高評価を得たマンションでも慢心せずに毎年更新し、常に管理状態を意識、更なる改善に努めましょう。

また、低評価だった場合には、短期的・中期的な改善目標を立案し、改善に向け着実に実施していくことが望まれます。

いずれにしても理事会の引継ぎの際には、評価の更なる向上に向けて課題を提示するといいでしょう。一度途切れてしまうと、以前の管理力を取り戻すことは容易ではありません。継続的な努力が必要になります。

また、改善に向けて管理会社からのアドバイスが望めない、有益なアドバイスが得られない、と感じた際には、外部専門家の起用を検討してもいいでしょう。

これから管理良好な中古マンションを購入しようという方の活用法

マンション管理適正評価制度は、これから中古マンションを購入しようとされる方にとっては、一定の目安として活用が期待できるでしょう。

中古マンションの購入検討にあたって、マンションの管理状況を重視する方も増えていますが、現状では契約までに得られる情報はほんのわずかであり、管理に関する情報の扱いも仲介の現場では決して重要視されてはいませんでした。

購入物件検討時にあらかじめ管理状態について目安を知ることができれば、管理状態が良好な物件に絞って物件を検討することもできます。

ですが、S評価、A評価といった高評価でも問題がないものと妄信せず、気になる点やより詳しい管理状況を知りたいと思われる方は、専門家にアドバイスを求めることも検討されるといいでしょう。

また、条件にかなった気に入ったマンションであっても、B、C、D評価のマンションを購入する場合は、管理状態を改善するためには今後相当な努力が必要であることをあらかじめ意識し、一定の覚悟を持って購入されることをお勧めします。特に、資金計画においては修繕積立金や管理費の急激な見直しの可能性についても考慮しておくべきでしょう。

マンション管理評価適正制度に期待すること

マンション管理適正評価制度に活用方法これまでなんの客観的な指標もなかったマンションの管理力について、その目安が示されることは画期的なことです。積極的に活用されることを期待します。

管理組合にとっては、自身のマンションの管理力を客観的に把握することもできなかった中、評価を受けることで改善ポイントが明確になるでしょう。今後の更なる改善に向けた道筋を示すものでもあり、成果を確認することにも繋がります。

高評価のマンションへの何らかのインセンティブが具体的に決まれば、更なるモチベーションの向上も期待できます。

また、管理組合運営に熱心なマンションが増えれば、管理会社の業務品質も更なる向上が望めるかもしれません。

マンション管理適正評価制度が、業界全体の底上げの一助になることを望みます。

また、さくら事務所では、独自のチェック項目でマンションの管理力をチェックし、管理良好なマンションを紹介する「管理良好マンションポータルサイト BORDER5」を運営しています。

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ホームインスペクション(住宅診断)をはじめとする個人向け不動産コンサルティングや管理組合向けコンサルティングを行っている。400を超えるマンション管理組合のコンサルティング実績をもち、大規模修繕工事や長期修繕計画の見直し、瑕疵トラブルなどの管理組合サポートサービスを提供している。

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