マンション大規模修繕工事の想定外~タイルの浮き・剥離~

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マンション大規模修繕工事の想定外~タイルの浮き・剥離~
監修者:藤ノ木 健二
監修者:藤ノ木 健二

この記事はマンション管理士/一級建築士などの専門家が監修しています

大規模修繕工事の想定外~タイルの浮き・剥離~

大規模修繕工事が始まり仮設足場が組立てられ、建物全体の調査が行われたときに、想定外の不具合が発見されることが少なくありません。

マンション大規模修繕工事_足場

その中でも特に多いのが外壁タイルの浮き・剥離です。

近年の分譲マンションでは外壁タイル張りの仕上げが主流で、総戸数50戸程度の規模のマンションでも外壁が数十万枚のタイルによって、仕上げられているものもあります。

タイルは美しい外観と耐久性を合わせ持つ優れた素材ですが、不具合が発生して剥落した場合には建物の居住者や利用者だけでなく、通行人の方々などに危害を与えてしまう可能性があります。

タイル

一般的に大規模修繕工事の前に、建物全体の調査が行われることはなく、通常に歩行できる範囲だけの調査を行い、不具合の発生している割合を推定して工事の金額を決定しています。

外壁タイルの場合には張替や補修が必要となる割合を、概ね3~5%程度の数量として予測しているケースが多いと思われますが、実際には10%~15%以上の割合で補修が必要となることがあります。

このような状況では、マンションの規模にもよりますが追加工事に必要な金額は、数百万円~数千万円、大規模マンションなどでは1億円を超える費用が必要になったケースもあります。こうなると予め計上されていた予備費などの範囲で対応することが、不可能となるだけでなく急遽一時金を徴収したり、緊急に融資を受けることなどを検討しなければならない事態となります。

また、1回目の大規模修繕工事の実施時期は、一般的に10年を超えていますので分譲会社の保証期間は過ぎていますが、不具合の状況によっては分譲会社や施工会社に、補修費用の一部を負担してもらえる場合もありますので、分譲会社・施工会社へ速やかに連絡することをおすすめします。

こうした事態を招かないためにも、定期的に建物を点検しましょう。

私達が毎年健康診断を受けるのと同じように、建物も定期的に健康状態をチェックすることが大切なのです。

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    朝日新聞

    2025年3月31日

    朝日新聞(3/31発行)にて、さくら事務所・マンション管理コンサルタントの土屋輝之が取材協力した記事が掲載されています。 ●マンション修繕の発注先は「談合の検査対象」 住民「心身ボロボロ」 ※会員限定記事

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    日経ビジネス電子版

    2025年3月18日

    日経ビジネス電子版(3/18公開)にて、さくら事務所 マンション管理コンサルタント・土屋輝之のインタビュー記事が掲載されました。 ※会員限定記事 ●マンション修繕談合疑惑「工事費は1~2割高い」 専門家が明かす手口

藤ノ木 健二
監修者

藤ノ木 健二

大学卒業後、ゼネコンに勤務し、マンション新築工事、マンション大規模修繕工事、学校、病院などの耐震補強工事の現場管理業務に従事。

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