マンションの外壁から分かる、コンクリートの劣化

マンションも一定の築年数になると、経年劣化などの影響で外壁に汚れなどが目立つようになり、どうしても建物に古さを感じてしまうようになります。さくら事務所で中古マンションをご検討している方からのご依頼により、専有部分の個人向けホームインスペクション(住宅診断)を行った際に「このマンション、まだ構造的に大丈夫なんでしょうか?」といった質問をいただくこともあります。

「構造的に大丈夫?」という漠然とした不安は、少しだけ専門的に言い換えるならば「コンクリート強度は大丈夫なのか」ということになるでしょう。

外壁の汚れなどが気になってくる頃は、管理組合としてもちょうど大規模修繕について検討を始める時期に差し掛かっていると思います。建物の見た目はもちろん資産価値を左右するポイントの一つでもありますので、ここは慎重に検討したいもの。具体的にどんなポイントをチェックしたら良いのかをご紹介します。

コンクリートは古くなると、弱くなるもの?

コンクリートは古くなると弱くなるもの、と思われている方が多いのではないでしょうか。けれども基本的に、特別な条件下でなければコンクリートは経年とともに強度が低下することはありません。

いわゆるコンクリートの劣化とは、コンクリートの中性化を指します。
劣化のメカニズムは、高アルカリ性の出来立てのコンクリートが、年月とともに空気中の炭酸ガス(二酸化炭素)と反応し、徐々にそのアルカリ性が低下し中性化してきます。 単に中性化が進行しただけでは強度が極端に劣ることはありませんが、問題は中性化することで鉄筋が錆びてしまうこと。

鉄筋はコンクリートのアルカリ性によって錆びることなく、コンクリートと一体となって強度を発揮します。ところが、コンクリートの中性化が内部の鉄筋にまで到達すると、鉄筋の錆を誘発し、錆び付いた鉄筋はコンクリートを押し上げて爆裂させてしまいます。こうなると少なからず構造にも影響を与えてしまうことになるのです。

どのくらいのスピードで中性化が進行するかは、表面仕上げによっても異なります。 適切にコンクリートを仕上げ材で保護するしないで大きな差が出てくる、というわけです。

もちろん、表面にひび割れがあれば、コンクリートが空気に触れる面積が増えるのでその進行速度は早まります。早期にひび割れを発見するために、定期点検が欠かせません。

外壁の仕上げやひび割れの状態などからもある程度の劣化が予想できますが、一部の躯体を抜き取り、圧縮・引っ張り試験で、設計基準強度と比較するとより詳細な結果がわかるでしょう。

 

劣化状況の目安は?

判断の目安としては、 外壁や軒裏など、見える限りの構造躯体を観察してみて、壁に白いものが付着していないかどうか。これはエフロレッセンスと呼ばれる不具合で、コンクリートのセメント成分(アルカリ成分)が水分とともに染み出した跡なのです。

マンション外壁のエフロレッセンス

 

白くなっているのが壁の一部だけ、または少量の場合は過度に気にする必要もありませんが、壁面全体が白っぽくなっていたりするケースは要注意。コンクリート躯体にひび割れが生じ、そこから水が浸透してコンクリートの成分が流れ出している可能性もあるためです。程度にもよりますが、中性化が進行していると考えられます。

マンションタイル目地のエフロレッセンス

 

また、壁に茶色の染みのようなものが見えた場合は内部鉄筋の錆が起きている可能性が高い状況です。これは中性化が内部まで進行してしまっているか、もしくはひび割れから浸透した水が、内部の鉄筋まで到達したと考えられますが、いずれにしても望ましい状態とはいえません。鉄筋にも水分が直接触れている場合は錆を進行させてしまうことも考えられますので、適切な診断と補修が必要でしょう。

マンション鉄筋のサビ

 

そして、最後はコンクリートの爆裂。コンクリートが崩れ落ち、鉄筋が露出して見えているようだと、かなり深刻な状況。すぐに建物が崩れるということはないにしても、大きな地震が起きた際など相応の被害が起こる可能性が否めません。

マンション鉄筋コンクリートの爆裂

 

ちなみに、鉄筋の露出が見られた場合、公的な融資として有名なフラット35では、融資不可となってしまうため、売買に影響が出てしまう可能性も。

永く快適なマンションライフを送るためにも、また大切なマンションの資産価値を維持するためにも、大規模修繕の検討と計画は十分に管理組合で議論し、建物の状況に応じて慎重に行いましょう。

 

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