マンションのインターホンの交換時期や費用は?交換時の注意点も解説

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マンションのインターホンの交換時期や費用は?交換時の注意点も解説

この記事はマンション管理士/一級建築士などの専門家が監修しています

「最近、マンションのインターホンの調子が悪い」
「より機能性が高いインターホンに交換したい」

上記のような理由でインターホンの交換を検討している方もいるのではないでしょうか。

しかし共同住宅であるマンションだからこそ、インターホンの交換に関して気を付けなければいけないことが多いです。

そこで本記事では、マンションのインターホンの交換時期や気になる費用、交換時の注意点を解説します。

マンションのインターホンの交換を検討している方は、後々トラブルに発展することがないように、ぜひ本記事をお役立てください。

マンションのインターホンは2種類

マンションのインターホンのシステムは「集合住宅システム」と「住戸完結システム」の2種類に分けられます。

システムの種類によって、交換費用や交換時の注意点などが異なるため、はじめに自分のマンションのインターホンシステムについて、理解しておきましょう。

集合住宅システム

集合住宅システムは、オートロックが付いたマンションで採用されています。

マンションのエントランスに集合玄関機があり、各住戸のインターホンと有線で繋がり、連動しているのが特徴です。

集合住宅システムのインターホンは、火災報知設備や機械警備の機能も担っています。

火災による煙など感知してインターホンを通じて、管理室や警備会社へ通報したりマンション内へ知らせたりするため、防犯・防災対策として役立ちます。

住戸完結システム

オートロックでないマンションに採用されているのが、住戸完結システムです。

各住戸の玄関の外(共用廊下)に子機が設置されており、各住戸で独立したシステムになっています。
有線の場合と無線の場合があります。
住戸完結システムでも、カメラ機能が付いているインターホンもあります。

マンションのインターホンは自分で個別に交換できる?

マンションのインターホンは、自分で個別に交換できないケースがほとんどです。

オートロック付の集合住宅システの場合は、各住戸のインターホンと集合玄関機の互換性がないといけません。

またマンションのインターホンは基本的に共用部扱いです。そのため住戸完結システムの場合も、個人の判断で個別にインターホンを交換することはできません。

修理対応できない不具合が生じている場合は、管理組合で全戸一斉に交換するのが一般的です。住戸完結システムは、物理的に個別交換が可能ですが、まとめて交換したほうが割安になる傾向があります。

交換したい事情があるときは、まず管理規約でルールを確認し、管理組合に相談しましょう。

マンションのインターホンの耐用年数と交換時期

マンションのインターホンの耐用年数は、15年程度です。15年を目処に交換することが推奨されています。

耐用年数を過ぎると「集合玄関場から呼び出しても音声が通じない」「住戸の中から呼びかけても向こう側に音声が聞こえていない」などの不具合が頻発するようになります。

また、インターホンメーカーで修理用の部品を保有している期間は、生産終了後7年~10年が目安です。7年~10年を経過すると部品交換による修理ができなくなるため、インターホンの交換時期は、耐用年数だけでなく部品の生産終了のタイミングも考慮しましょう。

マンションのインターホンの交換費用

マンションのインターホンの交換費用は、戸当たり10~18万円が相場です。インターホンの種類や機能性、システムなどにより金額が異なります。

全戸一斉にインターホン交換する場合、全額を管理組合が負担(修繕積立金)するケースが多いですが、一部個人での支払いが発生するマンションもあるため、管理規約などで確認しましょう。

また住戸完結システムのマンションで、個別交換が認められた場合も、誰が費用を負担するのか、明確にしておく必要があります。

最新のマンションのインターホンの機能

最新のインターホンは、セキュリティ・快適性・防災の面で機能が充実しています。具体的には以下のとおりです。

・液晶モニターの大型化~大画面で見やすい
・自動録画機能~不在時の来訪者を確認できる
・カメラ機能の向上~ワイドビュー、ズーム機能、暗視機能、ダブルカメラ(各住戸の玄関前)付きなど
・専用アプリとの連動~スマホで来訪者の確認・通話、オートロックの解錠
・災害時の全住戸一斉放送~停電時でも火災などの災害を全住戸に知らせる
・非接触キー~オートロックにかざすだけで解錠

時代の変化とともに、オートロックに求められる機能も変わってきます。マンションの資産価値を高めるためにも、時代のニーズに合ったインターホンに交換することを検討しましょう。

マンションのインターホンを交換する際の注意点

マンションのインターホンを交換するときは、以下4つの注意点があります。

・メーカー変更の選択肢は少ない
・管理会社経由でないと交換できないことがある
・インターホンは納品までに3ヶ月前後かかる
・コスト削減はインターホン以外で考える

とくに集合住宅システムの場合は気をつけてください。順に解説します。

メーカー変更の選択肢は少ない

まず前提として、マンションのインターホン市場は、長きにわたり二つの大手メーカーが大部分のシェアを占めている状況を理解しておく必要があります。したがって、メーカーの選択肢はもともと限られています。
また、集合住宅のインターホンを交換する際は、コストを抑えるために既存の配線をそのまま利用するのが一般的です。しかし、基本的に同じ製造元の後継機種にしか対応しておらず、異なるメーカーの製品を導入するには配線ごと入れ替える大掛かりな工事が伴います。結果としてかえって費用が膨らむことも珍しくありません。
ただし、十数年に一度のシステム更新という大きな節目に、マンション全体の価値向上を見据えて、機能・コスト・将来性を天秤にかけた結果、メーカー変更することが最も合理的な判断となるケースも十分に考えられるでしょう。

管理会社経由でないと交換できないことがある

管理会社が起用している機械警備のシステムが入っている場合は、管理会社経由かつ決められたメーカーのインターホンにしか交換できないことがあります。

その場合は管理会社に見積もりを取得することになるため、管理組合の独断で各社に相見積もりを取ることができません。

管理会社経由でなくてもよい場合は、相見積もりをとって、比較検討できるためコストを削減しやすくなります。

インターホンは納品までに3ヶ月前後かかる

新しいインターホンをメーカーに発注すると、納品までに3ヶ月前後かかります。

インターホンが壊れたままだといつ誰が来たか分からないだけでなく、部屋で何かあったときに警報が鳴らずに両隣や上下階の部屋に迷惑をかけることも。

インターホン設備は、防犯や安全に貢献しているため、故障などで交換が必要なときは速やかに対処することが大切です。

コスト削減はインターホン以外で考える

インターホンは安全に暮らすために必要な設備のため、交換費用を無理に抑えるのはおすすめできません。

コスト削減に変わってできることは、自分たちのマンションはどのような方法でいくらでインターホンを交換できるのか把握して、その費用を前提に計画を立て、備えておくことです。

合わせて、ほかの修繕の周期を伸ばしたり修繕方法を変えたりするなどして、マンション全体の修繕コストの低減化を図りましょう。

マンションのインターホンを交換して安心・安全な暮らしを守ろう

マンションのインターホンは、基本的に全戸で一斉に交換するのが一般的です。とくに集合住宅システムのインターホンは、オートロックと紐づいている必要があるため、個別に交換はできません。

交換費用は戸当たり10~18万円が相場ですが、インターホンは共用部にあたるため、多くのマンションでは管理組合が費用を負担しています。

インターホンの耐用年数は15年が目安です。自分たちのマンションでインターホンを交換する場合、どのような機能が必要で、いくらかかるのか今一度見直し、資金が足りなくならないように計画しておきましょう。

しっかり備えておくことが、居住者の安心・安全な暮らしを守ることに繋がります。

インターホンに限らず、設備の更新はマンションによって異なる注意点や課題があり一筋縄ではいかないことも多いです。メーカーや管理会社に任せきりにならずに、管理組合としての意見や要望を伝えるためも、どのように進めていくのか整理しておくことが大切です。

マンションの設備でお困りの際は、これまで1000件以上のご依頼実績があるさくら事務所までお気軽にご相談ください。

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三木 幸一郎
監修者

三木 幸一郎

明治大学政治経済学部卒業後、ゼネコン→不動産仲介業・建築業経営を経て→鉄鋼系エンジニアリング会社→マンション管理会社フロント(管理部次長)→さくら事務所

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