マンション管理組合のトラブル相談窓口を紹介!事例別の相談先も

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マンション管理組合のトラブル相談窓口を紹介!事例別の相談先も

この記事はマンション管理士/一級建築士などの専門家が監修しています

マンション内でトラブルが起きたとき、対処法に悩んでしまうこともあるでしょう。理事会で話し合ったり管理会社の力を借りたりして解決できればよいですが、問題が複雑で対処が難しいケースも少なくありません。

そこで本記事では、マンション内でトラブルが生じたときに、管理組合として相談できる窓口を紹介します。事例も交えて解説するので、相談先を探している方はぜひ参考にしてください。

管理組合のトラブル相談窓口

管理組合が相談できる窓口はおもに以下の5つです。

(1)委託契約をしている管理会社

(2)公益財団法人マンション管理センター

(3)一般社団法人マンション管理業協会

(4)マンション紛争解決センター

(5)マンション管理士など専門家が在籍する事務所

順に紹介します。

(1)委託契約している管理会社

理事会内で解決できない場合は、まず委託契約している管理会社に相談してみましょう。

設備関係の不具合や共用部での事件や事故、管理費・修繕積立金の滞納などマンション内で起きたトラブルは、報告も兼ねてまず管理会社に相談するのがおすすめです。

基本的に管理委託契約の業務範囲に含まれている内容であれば、無料で対応・対策してもらえるため、契約内容を確認してみましょう。

(2)公益財団法人マンション管理センター

公益財団法人マンション管理センターは、2001年に施行された「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」に基づき、マンション管理適正化推進センターから指定を受けている唯一の団体です。

おもに以下の内容を相談できます。

・区分所有法や管理規約

・総会や理事会

・管理費や修繕積立金

・修繕

・財産の保全

・耐震改修など

マンション標準管理規約やマンション管理に関する法令などを参考にした、公正なアドバイスを受けられます。電話やメール、面談(要予約)で無料相談できます。

アドバイスの時間は15分前後です。当事者間の仲裁に入ったり弁護士や特定の企業を紹介したりすることはありません。

参照:公益財団法人マンション管理センター「相談窓口について」

(3)一般社団法人マンション管理業協会

一般社団法人マンション管理業協会は「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」に規定されている指定法人です。

一般の方だけでなく、マンション管理業者からの相談も受け付けています。

おもな相談内容は管理委託契約書に関係することです。

具体的には以下のような相談があります。

・事務管理業務

・管理員業務

・清掃業務

・建物・設備等管理業務など

委託契約を結んでいる管理会社とのトラブルや、管理会社に話しにくい契約内容についての相談窓口としておすすめです。

一般社団法人マンション管理業協会も、調停・仲裁・ 斡旋はおこないません。電話(15分以内)面談(30分以内)と細かく相談時間が設定されています。メールやFAXでの相談も可能で、いずれも料金はかかりません。

参照:一般社団法人マンション管理業協会「相談業務・苦情解決制度」

(4)マンション紛争解決センター®

マンション紛争解決センターは、マンション管理のトラブルに対し、中立な立場の第三者として当事者間に介入して、話し合いで問題解決を図る(ADR※裁判外紛争解決手続き)機関です。ADRの実施について、法務大臣から認証され設立されました。

アドバイスだけでは解決できないトラブルが生じているけれど、訴訟上の手続きはしたくない、第三者機関の手を借りて早期に解決したい場合におすすめです。

以下のような幅広いトラブルを取り扱っています。

・管理費や積立金の滞納

・マンション内商業施設や近隣とのトラブル

・修繕業者や外部専門家とのトラブル

・大規模修繕工事をめぐるトラブル

・ペット・騒音・漏水事故等のトラブル

・脱法民泊をめぐるトラブルなど

参照:日本マンション管理士会連合会「マンション紛争解決センター®のご案内」

 

(5)マンション管理士など専門家が在籍する事務所

マンション内でのトラブルは、マンション管理士などの専門家が在籍する事務所やコンサルティング会社に相談することもできます。

事務所や会社によって相談できる内容やサポートできる範囲が異なりますが、大半が無料相談を受け付けているため、まずは話を聞いてみるとよいでしょう。

アドバイスだけでなく、有料で仲裁に向けて動いてもらえることもあり、トラブルの解決が難航しているときにおすすめです。

ただし事務所や会社によって問題解決スキルが異なるため、実績や経験が豊富で抱えているトラブルに精通した、信頼できる事務所を見つけることが重要になります。

【事例紹介】マンション管理に関するよくある相談と連絡先

ここからは、マンション管理に関するよくある相談事例4つと相談先を紹介します。

・天井から水漏れしている

・修繕積立金が足りず借り入れしたい

・大規模修繕工事の見積もりが正しいか不安

・管理会社を変更したい

順にみていきましょう。

事例1:天井から水漏れしている

天井から水漏れしており、どう対応すればよいか悩んでいるマンション居住者からの相談です。水漏れはまず管理会社に相談しましょう。管理組合が加入している保険が適用される可能性があるためです。

上下階の漏水トラブルは、基本的に当事者間で解決しなければいけません。訪問するなどして話し合う必要がありますが、連絡が取れない場合は、保険の確認と合わせて、管理会社から上階の住人の緊急連絡先へ連絡してもらい、話し合える状況を整えましょう。

事例2:修繕積立金が足りず借り入れしたい

修繕積立金が足りずに必要な修繕ができないため、借り入れを検討している管理組合からの相談です。

修繕積立金不足による借り入れは、住宅支援機構のマンション共用部分リフォーム融資が一般的です。

修繕積立金の滞納率などの条件はありますが、マンションすまい・る債を活用したり、マンション管理認定制度で認定を受けていたりすると、利率が割引されます。

借り入れを検討する場合は、住宅支援機構の融資相談窓口に相談してみましょう。

参照:住宅金融支援機構「マンション共用部分リフォーム融資」

 

事例3:大規模修繕工事の見積もり正しいか不安

大規模修繕の見積もりを依頼したところ、思っていたよりも高額で不安になった管理組合からの相談です。

大規模修繕の見積もりについて相談したい場合は、マンション工事に知見の深い第三者の専門家に相談することをおすすめします。利害関係のない第三者に相談することで、公平中立なアドバイスをもらえます。

大規模修繕の見積もりは金額だけではなく「工事の仕様が適切か」「仕様に見合った金額なのか」も見極めなければいけません。

高耐久な仕様だった場合、ほかの見積もりと比べて高額だったとしても、長期的に考えるとその業者を採用したほうがよいこともあります。

目の前の大規模修繕だけでなくマンションの将来まで予見して、アドバイスしてもらえる専門家に相談しましょう。

大規模修繕をおこなう際の相談窓口については下記記事でも紹介しています。

大規模修繕の相談窓口は4つ!メリットデメリットを知ってトラブル回避しよう

事例4:管理会社を変更したい

管理委託料が高い、管理会社の対応に不信感がある、など理由で管理会社変更を検討している管理組合からの相談です。

管理会社変更に関するお悩みは、マンション管理業界と管理会社をよく知っているコンサルタント会社に相談しましょう。

誰に相談することなく管理組合内で話し合って、管理会社を変更することもできますが、今の管理会社に頼めないため理事会や委員会の負担が大きくなります。また後々問題が起きたときに「どうしてこの管理会社にしたんだ」と責任追及されてしまうことも。

プロの知見をもったコンサルタントに相談しておくことで、管理組合の負担が減るだけでなく、管理会社の選考過程や結果について責任説明も果たせます。

マンション管理のトラブルは内容に応じた連絡先を見極めて相談しよう

マンション管理に関する理事の方々のお悩みやマンション内でのトラブルはさまざまです。お悩みやトラブルの内容やどこまで対応してほしいかによって、適した相談先は異なります。

内容によっては、解決が長引くほど深刻な問題に発展するケースもあるため、理事会だけでの話し合いでどうにもならないときは、早めに外部の機関に相談して解決の糸口を見つけましょう。

さくら事務所はマンションの管理組合の皆さまのミカタとなり、あらゆる相談を受け付けています。

マンション工事だけでなく、管理組合運営にも知見の深い専門家がチームを組んで、問題解決に向けてお手伝いいたします。利害関係のない第三者として、公平中立な立場でのアドバイスが可能です。

初回相談は無料のため、相談する(無料)ボタンから、マンション管理に悩んでいる方は些細なことでもお気軽にご相談ください。

 

上記の動画では、マンション管理組合で実際に起こったトラブル事例と、その対策について解説しています。

  • 理事長の不正や横領はなぜ起きる? 
  • 理事長の長期在任や組合員の無関心が原因。任期制限やチェック体制の整備が有効です。
  • 管理人の不正やパワハラにはどう対応する? 
  • 定期的な研修と理事会の監視体制、問題発覚時の毅然とした対応がカギです。
  • トラブルを未然に防ぐには? 
  • 管理規約の整備、透明性の確保、専門家の活用と組合員の意識向上が重要です。
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山中 行雄
監修者

山中 行雄

マンション管理会社で約20年勤務。東京、千葉、広島、沖縄など、様々な地域で管理組合運営業務に携わる。

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