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マンション価格の高騰とマンション管理制度が与える影響
2020年から都心を中心に新築マンションの価格が加速度的に高騰しています。さらに2022年4月からマンションの管理評価制度(管理計画認定制度・マンション管理適正評価制度)が開始された影響もあり、マンションの管理費や修繕積立金の金額も上がり始めています。
さらには竣工されたばかりの新築マンションにいたっては、当初から管理費や修繕積立金の金額がこれまでよりも高く設定されることも増えてきました。
一時期、落ちると言われていた東京五輪後のマンション価格や修繕工事費もまったく落ち着くこともなく、現在も先がどうなるのか見通せないぐらい上がり続ける一方です。
マンションの管理費に与える影響
マンションを管理するための人件費(管理委託費など)も同じように高騰しています。
しかしながら、マンションの管理を委託されている管理会社が、管理委託費の値上げを管理組合には言いにくい事情は容易に想像ができます。
そのため、大手デベロッパーが分譲する新築マンションに関しては最初から人件費が高騰している分だけ管理費や修繕積立金が高く設定されるようになっています。次にどれだけ上昇しているのかをモデルケースで検証してみました。
どれだけマンションの管理費と修繕積立金の平均値が上昇しているのか
ここに都心のマンションにおける分譲年別の管理費の平均と修繕積立金の平均について調べた表があります。何となく平均値が上昇していることはお分かりいただけると思います。
しかしながら、もっと具体的に考えたほうが、よりこれが異常な状況か理解できると思いますので、モデルケースを想定して考えてみましょう。
【都心 70m2 3LDKの分譲マンション 居住者の場合】
2017年
<月間>
管理費:24,507円(350.1円×70m2)/ 月
修繕積立金:8,351円(119.3円×70m2)/ 月
<年間>
管理費:294,084円(24,507円×12ヵ月)
修繕積立金:100,212円(8,351円×12ヵ月)
合計:394,296円(年間)
2022年
<月間>
管理費:28,560円(408円×70m2)/ 月
修繕積立金:12,446円(177.8円×70m2)/ 月
<年間>
管理費:342,720円(28,560円×12ヵ月)
修繕積立金:149,352円(12,446円×12ヵ月)
合計:492,072円(年間)
【70m2 3LDK】のマンションをモデルケースにして、2017年と2022年の管理費+修繕積立金の合計値を比較してみると、年間で約10万円近い値上げになっていることが分かります。
そのため、これだけのコスト増になると、より将来的なコストを抑える方法を模索しなければいけません。そのためにも「2年目アフターサービス」を徹底的に活用することは非常に大事な要素になってきます。
2年目アフターサービスを活用することで得られる恩恵とは
現在、管理費+修繕積立金が大幅な負担増となっている中で、共用部分の「2年目アフターサービス」を活用することで得られる恩恵とはどんなものなのかを見ていきましょう。
この事例は実際にさくら事務所が第三者のコンサルタントとして関わった事例になります。
ここで注目してほしいポイントは、実際に共用部分の2年目アフターサービスを活用して掛かった点検費用と、それが2年目アフターサービスを活用しない場合に同じ内容を補修すると掛かる費用(概算補修費用)の差分がかなり大きいということです。
例えば事例1の場合は、
「2年目アフターサービス」の活用で掛かった点検費用が約60万円に対し、概算補修費用は1,500万円以上
事例2の場合は、
点検費用が約250万円に対し、概算補修費用は3,000万円以上
となっています。
ここからも分かるとおり「2年目アフターサービス」を最大限活用すれば、数十万円、数百万円の費用で数千万円の補修費用の抑制につながるなど、非常に大きなコスト削減メリットを生み出すことが分かっていただけると思います。
さらにマンションの管理状況によっては、2年目アフターサービスの活用で、大規模修繕工事1回分にあたる費用を浮かすことも期待でき、大規模修繕工事の工事周期を少しでも延ばすことにも寄与できる可能性があります。
つまり費用対効果の面でも、「2年目アフターサービス」を活用しない手はないと言うことになります。
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電気料金の値上げが与える影響
2020年末以降、電気料金についても値上げの傾向が続いています。さらにはウクライナ情勢でエネルギー資源が不安定化したことで、今後もより値上げの幅が大きくなるだろうと予想されます。火力発電に対する世界的な懸念も大きく影響を受けています。
このコラムをご覧になっている皆さんも電気料金の値上げを実感されていることと思いますが、皆さんがそうであるようにマンションも専有部分だけではなく、当たり前ですが共用部に関しても同じように電気料金に対するコストは増加します。つまりそのままそれはマンション管理費ならびに修繕積立金にも影響を及ぼすことになります。
ここまでで言えることが1つあるとすれば、現状コストが上がることはあっても、下がる見込みがまったく見つかりません。そのために活用できるものは全て活用していく手立てを検証していかなければいけません。「2年目アフターサービス」の重要度は増すばかりです。
最後に
マンション価格高騰と工事費が高騰すると、マンションを建設する側は当たり前ですが、できるだけ建設コストを下げようとします。そうすると無理筋な依頼納期だったり、それにより突貫工事のような事態に陥り、雑に作られる可能性のあるマンションも出てきます。それらの多くは2020年あたりから増加傾向にあります。
ここで気づくことがありませんか。ちょうど今年あたりに共用部分の「2年目アフターサービス」を活用する必要があるマンションが多いということです。この機会は絶対に逃してはいけません。ここで必ず活用することをオススメします。
管理会社が2年目は自主的にチェックをするところもありますが、多くの管理会社は分譲会社の系列子会社だったりすることも多く、しっかりと利益相反なくチェックするためには、第三者を入れてしっかりと確認することが大切です。
人間ドックと同じで、もし「2年目アフターサービス」を活用して、マンションに何も不具合がなければ、それはそれで、しっかりと造られたマンションの証明ともいえます。
将来の修繕積立費を抑え、徹底的に不具合を2年目で補修するためにも、第三者のコンサルタントを登用した上で、共用部分の「2年目アフターサービス」を活用し、適切に対処することがマンション管理組合には求められます。