新型コロナ感染防止で延期?中止?マンションの総会Q&A

  • Update: 2020-03-27
新型コロナ感染防止で延期?中止?マンションの総会Q&A
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株式会社さくら事務所

新型コロナの感染が広がる中、今月25日、同日40人以上の感染者が発覚した東京都では、「在宅での業務」「不要不急の外出の自粛」の要請を出しました。

「密閉」「密集」「密接」の3つの密を避け、クラスター発生、オーバーシュートを防ぐ狙いです。

ですが、今の時期、マンションの総会予定を前に実施すべきかどうか?集まらずに開催できないものか?といった声も上がっています。

そこで、今回は新型コロナ感染拡大防止を前に、マンション総会について寄せられるご質問にさくら事務所のマンション管理士がQ&A形式でお答えします。

簡単Q&Aリストはこちらから

総会の会場が見つからない!延期して大丈夫?

「開催できない状況にあるのであればその理由が解消されるまではOK。会場が使用できるようになるまでの延期もやむをえません」

<解説>

法務省民事局の見解(「マンションの管理組合等における集会の開催について」)によれば、「集会(注:一般に管理規約における「総会」のこと)の開催をすることができない状況が生じた場合には、その状況が解消された後、本年中に集会を招集し、集会において必要な報告をすれば足りるものと考えられます。」とあります。

新型コロナの影響に総会会場の都合がつかないケースにおいては、本年中「会場が借りられるようになるまで」延期は認められるでしょう。

新型コロナの影響で総会が延期に!私の理事の任期はいつまで?

「総会で後任が選任されるまでがあなたの理事の任期です!」

<解説>

一般的に、管理組合役員の任期は1〜2年ですが、仮に総会の延期により任期満了の期間を超えたとしても、マンション標準管理規約通りの規定(役員の任期:第36条3項)だった場合、任期の満了する役員は、後任の役員が選任されるまでの間引き続きその職務を行うことになります。

感染したらどうしよう・・・集まらないで総会ってできないの?

「最低限の議案のみ上程、議決権行使書を出してもらって開催、というケースもあります」

<解説>

書面等だけで決議できる規定が、区分所有法第45条(書面又は電磁的方法による決議)にありますが、区分所有者「全員」の承諾や賛成が必要なため、総戸数が10戸にも満たないような小規模な管理組合でもない限り現実的な手法として採用されていません。

出席ではなく、議決権行使書を提出してもらう方法がいいでしょう。

くわしくはQ5、Q8もご参照ください。

役員だけが出席する総会を開催する場合、注意すべきことはありますか?

管理委託契約を変更する予定。総会で重要事項説明をしてもらう予定だったのですが・・

そもそも総会は今やるべき?その判断は??

「管理会社の担当者ともよく協議し、理事会で決議します。早めにお知らせしましょう」

<解説>

(一社)マンション管理業協会が公表している「感染症等流行時におけるマンション管理業務におけるガイドラインについて」では、管理会社に対して居住者の安全確保を最優先とすることが求められており、集会(総会)等を延期する基準を管理組合(理事会)に対して事前に提案し、協議することが考えられるとしています。

とはいえ、管理会社任せにならないよう、理事会としてもそれぞれのマンションの実情を鑑みた方針(自治体からの要請や情報発信に基づいた判断基準等)を持たれることが望ましいでしょう。

役員だけが出席する総会を開催する場合、注意すべきことはありますか?

「特別決議や一定の議論を経て決議すべきような議案の上程は避けるのがベターでしょう」

<解説>

総会は予定通り開催するが、特別決議となるような議案や一定の議論を経てから決議すべきと考えられる重要な議案は上程せず、必要最低限の議案(事業報告・決算報告、管理委託契約更新、次期事業計画案・予算案、次期役員選任案の4議案)のみ上程し、組合員には議決権行使書の提出を促す方法で開催されてはいかがでしょうか?

また、議事録作成には議事録署名人2人が必要ですので、総会には議長とあわせ最低3人の出席は必要です。

総会で住民説明した後、決議をとる予定だった議案があるのですが・・・

「延期が望ましいでしょう。協議に参加したくても出席できない人がいるかもしれません」

<解説>

大変残念なことですが、大前提としてそのような議案の上程は延期が望ましいと考えます。
これは、管理組合における住民説明会や総会など多数の人が集まることを前提とした会の開催は、一定の対策を講ずることが不可能でないにしても、多人数が協議を行うための環境を考えれば新型コロナウイルス感染症対策専門家会議が危険性を指摘する「3つの条件が同時に重なる場(密閉空間・近距離での会話・手の届く距離に多くの人)」に近い環境であると考えられるためです。

新型コロナの罹患に不安を覚える方は、協議に参加したくても出席できません。

集まれないので電子投票にしたいのですが・・・

「一般的には管理規約を変更し、電子投票システムを導入する必要があります」

<解説>

新型コロナウィルス感染症対策に限らず、将来的には不在区分所有者が理事や監事に就任する機会も増えることが想定され、電子投票のニーズが高まる可能性があります。

この機会に規約の変更やシステム導入の検討をすることは一考の余地があると思われます。

管理委託契約を変更する予定。総会で重要事項説明をしてもらう予定だったのですが・・

「従前と同一条件で暫定契約を締結することで、第一段階として重要事項説明会を開催しないで契約更新を済ませる方法もあります」

<解説>

管理会社との管理業務委託契約書の更新に関して、従前と異なる内容で契約する場合には、重要事項説明会の開催が法令で義務付けられていますが、管理会社の業界団体である(一社)マンション管理業協会からは「感染症等流行時におけるマンション管理業務におけるガイドライン」が令和2年2月27日に公表されており、一旦、従前と同一条件で暫定契約を締結することにより、第一段階として重要事項説明会を開催しないで済ませる方法などが紹介されています。

その他、管理組合でやっておいたほうがいい新型コロナ対策は?

「基本的なことですが、毎日人が触れるところであることから、「こまめに」清掃することが重要です。日常の管理員や清掃員業務として対応しましょう。」

<解説>

厚生労働省から出されている「新型コロナウイルスに関するQ&A(関連業種の方向け)」では、接触感染の予防には手がよく触れるところ、たとえば、ドアノブ、スイッチ、手すり、エレベーターのボタン、テーブルやカウンター、共用で使うもの(トングやメニュー等)などについて、消毒用アルコールや界面活性剤を含む住居用洗剤等で定期的な清拭をすることが有効とされています。

マンションの場合、日常の管理員・清掃員業務としたいところですが、廊下や階段の「手すり」の拭き清掃は重労働(年配の清掃員にはできない可能性がある)であることから、管理業務委託契約書の日常清掃範囲として明記されていないケース(記載があったとしても「月1回」「年数回」、「定期清掃の清掃範囲になっている」)などが見受けられます。

管理会社に通常の清掃ローテーションを変更してでも、新型コロナが警戒されている期間に関しては、例示された拭き掃除を中心に厚生労働省他から示された方法で日常清掃を行うことをお勧めします。

【参考:新型コロナ感染症に関する清掃・消毒について(東京都感染症情報センター)】


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ホームインスペクション(住宅診断)をはじめとする個人向け不動産コンサルティングや管理組合向けコンサルティングを行っている。400を超えるマンション管理組合のコンサルティング実績をもち、大規模修繕工事や長期修繕計画の見直し、瑕疵トラブルなどの管理組合サポートサービスを提供している。

【監修】さくら事務所マンション管理コンサルタント(マンション管理士)

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