人手不足については、マンション管理業でも例外ではなく、人手が不足していることで、どのような問題などがあるのでしょうか。
さらには、マンション管理には、みなさんが考えている以上の大事な側面を持っています。
それらについて詳しく紹介していきます。
目次
マンション管理員の深刻な人手不足

マンション管理業界では、深刻なほどの人手不足が問題となっています。
その理由としてあるのは、
- 企業の定年延長
- 再雇用制度
この2つの動きが顕著となり応募者が激減しているということです。
政府が、70歳までの継続雇用を要請するなど、高齢者の就労支援を進めています。
ひとむかし前では、定年でリタイアされた方の人気の再就職先としてマンションの管理業という選択肢がありました。
高齢者の就労支援の政策によって、以前のように対象の人材がいないため、応募者が激減しているという事があります。
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加速するマンションの3つ目の老いとは?

これまでマンションでは、2つの老いがクローズアップされてきました。
- 建物の老朽化
- 居住者の高齢化
がよく言われている老いですが、最近では、これにもう一つの老いが加わっています。それは、
- 管理員さんの高齢化
という問題も大きく取り沙汰されています。
以前であれば、70歳を超えたら管理会社としても雇用の延長はなかったですが、今は体に持病などがなく、勤務に支障などがない場合は雇用が延長されるケースも多くなっています。
マンション管理員不足の現状とは?

管理員を募集しても応募者がいないため、長期にわたって欠員を補充できない事が問題となっています。
以前ですと、1ヶ月間は代わりが業務を勤めて、1か月後には新たな管理員さんが着任するとことが多かったですが、現在では後任の方が決まらない事が多いです。
また、新規の受託が応募者がいないために、受託できないというようなこともよく聞くようになっています。
人手不足なので、人件費も高騰するということに繋がりますが、この値上げが管理組合として受け入れられなければ業務も仕様の変更などがされます。
たとえば、勤務時間を短くするや、清掃の頻度のスパンを長くするということが管理費の値上げを避けるための手段として検討せざるを得ない状況が起こっています。
どうしてマンション管理人は人手不足なのか?
まずは、応募者が少ないと言う事と管理員の離職率が高いという事があります。
それに加えて、
- 3Kのイメージ
- 多角的なスキルが求められる
- 責任と待遇のアンバランス
があります。
また、高級住宅地では、さらに厳しい状況になっています。
まず、仕事がきついということ。3K(きつい・きたない・危険)のイメージがあります。
そして求められるスキルが多角的になってきているということ。
パソコンを取り扱えることや、メールなどできることが管理員には必須のスキルとみなされています。また責任と待遇のアンバランスがあります。
管理会社によって待遇の違いはありますが、やはり求められるスキルと責任が待遇に合っていないことがあります。時給などの待遇が高くないことに加えて、高齢者にとって大変なパソコンのスキルやその他多くのスキルが求められて、責任も重大となれば応募者が減るのは当たり前かもしれません。
そして高級住宅地のエリアでは、さらにこれが厳しい状況だということが言われています。
管理員に就く人は、通勤時間が長いことが厳しい人が多いですし、時給などに交通費が含まれているパターンもあるので、より近い場所で管理人の職を見つけることになります。
そういった条件から、高級住宅地だとそのエリアに近い場所では、なかなか管理人になろうというような方の応募が厳しくなります。
マンション管理人不足によるマンションの居住者への影響とは
マンション管理員の不足がマンションの居住者にどのような影響を与えるのでしょうか。
マンション居住者への影響として言われているのは、
- ゴミ屋敷状態
- 水質の不安
- 不法投棄
ほとんどの人は、マンション管理員の人がいなくならない限り、重要性に気づかないと思いますが、管理人はマンションの生活を支える重要な役目を担っています。
管理員がいなくなったことでマンション内の清掃、それからゴミの出し方が非常に悪くなってしまい、ゴミ屋敷状態になってしまうこともあるようです。
また、飲料水の水質が不安で飲めないという相談も時々あります。
さらに、ゴミの不法投棄の被害です。マンションの敷地の中に、粗大ごみなどを放置することになると、やがてそれが外部の方の不法投棄につながる場合があり、困るというマンションもあります。
それに加えて最近多くなっているのは、管理委託業務の撤退です。
管理会社から、管理委託業務の撤退を宣告される管理組合が少なくありません。
やはり人手不足で管理委託費が上がらないとなると、管理会社は損益分岐点を下回ってまで、業務を継続することが難しくなります。
そういった場合には、3ヵ月から6ヵ月の期限を定めて、管理組合に管理委託業務を撤退したいと申し出をします。
また申し出を受けた組合から、新しい管理会社を選定するサポートをお願いしたいという相談も非常に多くなってきています。
マンション管理員の意外な側面
マンション管理員には、意識しないと気づかない大事な側面があります。
それが、
- 高齢者の安否確認
- 認知症サポート
- 高齢者の話し相手
- 子供たちの見守り
管理人さんは命を支える仕事とも言われることが、もう一つの側面であり、その側面が非常に責任が重いと言われている理由でもあります。
まず、高齢者が多いマンションだと、管理人が高齢居住者の安否確認を担っていること。
次に、管理会社によっては、管理員に認知症サポーターのような認定資格を取得させて、高齢者の見守りに一役買っています。
そして業務なのかどうかは微妙なところですが、居住者の方が管理員に話しかけてきたり、高齢者の方の話相手として管理人は大事な存在です。
さらには、下校してきた時の子供たちの見守りです。
普段では気づかないような意外な側面なので、認識していない管理組合も多いかと思います。管理員が、命を支える仕事であると言われているのには、こういった理由があります。
管理サービスの質の低下
管理員の人手不足に拍車がかかっていけば、、コミュニケーション力ですとか、来訪者受付対応、事務管理能力、そして清掃や日常点検、先ほどお話をしたようなマンション管理員の側面である高齢者見守りなど、しっかりとフォローできないまま管理員として現場に送り込まれることでしょう。
管理員への期待値は、近年高く求められる傾向が強くなっています。この期待値を下げなければ、管理員の雇用が困難になる可能性が高く、管理員にマンション管理のプロとして期待をすればするほど、適した人材は見つかりにくくなることでしょう。
これからのマンション管理
管理人不足が叫ばれている中、これからのマンション管理はどうなっていくのでしょうか。
AI管理人
マンション管理の世界でも、御多分に洩れずAIを活用することが常識になるかもしれません。
すでにAI管理人に関しては実証実験が始まっていて、大手管理会社は、AI管理の開発を競うような状況です。
実用化も間近ではないかと言われています。
AI管理員、それから清掃ロボットを導入することで、コストを大幅にダウンすることができます。これまでは、管理室に管理員がいて受付をしてくれることがよかったのですが、今後は、管理室の前に置かれたタブレットによって、居住者の様々な要望を叶える時代が来るかもしれません。
外国人労働者
管理員業務を、外国人労働者が担うようになる日も近いとも言われています。
また日常清掃などは、居住者の方が行うような変則的な業務もありえますし、清掃ロボットによる無人化も進むのではないでしょうか。
マンション管理人不足についてのまとめ
現在はマンションの管理は管理会社に管理委託をしているマンションが圧倒的に多くなっています。ですが今後は、場合によっては自主管理が増えていくのではないかと言われています。管理会社に委託せず、清掃などできる範囲のことは組合員で行って、管理組合で管理員を雇ったり、専門業者に依頼したりします。
そして管理に無関心な組合はスラム化が加速する恐れがあり、また積立金の不足でもマンションのスラム化を加速させるのではないかと言われています。
「修繕積立金が足りない」「大規模修繕が進まない」「管理会社に不信感」「瑕疵・欠陥が見つかった」「理事同士のコミュニケーションが大変」管理組合の様々な課題の相談はさくら事務所に