マンションのアフターサービス点検活用のためのポイントとスケジュール

  • Update: 2021-04-09
マンションのアフターサービス点検活用のためのポイントとスケジュール
sakura
さくら事務所 編集部

マンションアフターサービスとは、新築マンション分譲引き渡し後に一定期間、不具合や施工不良の無償補修を保証する制度です。

引き渡しの前に、その仕上がりや欠陥・不具合の有無を確認できる専有部とは異なり、共用部は入居するまでチェックすることはできないため、新築時の施工不良を正すために重要なものです。

特に2年目は、無償補修の対象範囲となる項目が多いことから、さくら事務所ではこのタイミングで不具合を洗い出し、本来あるべき施工品質に無償で補修しておくことをお勧めしています。

最近では、アフターサービス点検を有効活用すべく、外部に建物の調査を依頼するマンション管理組合も増えています。

ここでは、さくら事務所のマンション管理士が2年目アフターサービス点検を外部に依頼するためのフローについて解説します。

アフターサービス点検の告知はいつ?

アフターサービス点検活用のためのスケジュールアフターサービスの期限を迎えるにあたり、不具合のある箇所はないか?分譲会社からアンケートが各住戸に配布されます。専有部については、このアンケートに従い点検してほしい箇所や生活する上で気が付いた不具合などを記入し、点検に来てもらうというのが一般的な流れです。

ですが、このアンケートが配布されるのは、アフターサービス期限満了のだいたい1、2カ月前というマンションが多いでしょう。

通常期限満了の1、2カ月前にアフターサービスの存在に気が付いても(専有部なら間に合いますが)、共用部の場合、十分にアフターサービスを活用することができません。このタイミングでは、共用部の不具合有無をチェックするために外部の点検業者に依頼することが現実的ではないからです。

共用部はマンション管理組合の資産であり、その点検や補修には管理組合の修繕積立金を使用することになり、そのためには総会で議決を取る必要があるのです。ですが、総会は多くのマンションで管理規約で定められた最低限の1年に1回というパターンが多いからです。

また、マンション管理組合の予算は前年度の総会で決議されます。

つまり、基本的に2年目に外部業者への依頼を行うためには、1年目が終了した時点の総会でこのような重要な決議をとる必要があるのです。2年目のアフターサービス期限満了の間際で気が付いても十分に活用することができません。

外部の点検業者に依頼する必要があるのか?そのメリットは?

アフターサービス期限満了に伴い、管理会社や分譲会社(施工会社)による点検も行われるでしょう。

「管理会社や分譲会社(施工会社)が点検してくれるなら、それで十分なのではないか?」という意見もありますが、実際にはそれらの調査の後に、多数の欠陥・不具合が発覚することも珍しくはありません。

確かに分譲会社(施工会社)であればマンションに関する知識があり、安心感はあるかもしれません。

ですが、自分たちで分譲・施工したマンションを自分たちでチェックすることになるので、どうしてもチェックが甘くなっているのではないか?客観性に欠けるのでは?といった懸念がついてまわります。

「利益相反の関係にある会社に点検してもらった内容をそのまま鵜呑みにしていいものか?」といったご相談はさくら事務所にもよく頂きます。

また、管理会社による無償の点検では、調査会社に比べると簡略な傾向にあるようで、不具合の見落としや点検範囲などが原因で後日トラブルとなったケースもありますので、注意が必要です。

関連コラム…マンションのアフターサービスの点検、誰がやる?それぞれのメリット&デメリット

アフターサービスを外部に点検する際に必要なこと

マンション総会・理事会

総会での決議はいつまでに?

ケース1 第2期の定期総会(アフターサービス期限が切れる年度の期首)で決議する

1年目が終わった頃の第2期目の定期総会で決議するパターンです。理想的ですが、まだ組合も理事会も発足して1年しかたっていないことから、組合員の建物や管理への意識がそれほど高まっていないケースが多く、実際にはハードルは高くなるでしょう。

ケース2 臨時総会を開催して決議する

定期総会で決議を行わなかった場合、アフターサービス期限の3~6カ月程度前までに臨時総会を開催し、決議するパターンです。

総会でとるべき決議は?

ケース1 外部業者への点検費用の予算執行と発注先業者の両方を決める

ケース2 外部業者への点検費用の予算執行のみ決議し、業者選定は理事会にゆだねる

ケース3 外部業者への点検費用の予算執行のみ決議し、理事会で業者選定後に改めて総会を開く

総会で決議をとるための理事会の準備、いつまでに何を?

総会で決議するためには、総会前月の理事会で議案の内容を決定する必要があります。

発注先の決議までとるためには、理事会は総会の3カ月程度前には業者への問い合わせ、複数社の見積もり取得ならびにプレゼンを受け、発注先業者を絞り込む必要があるでしょう。

例1)3月の通常総会で発注先まで決めるパターン

11月 理事会が、業者への問い合わせ・複数社の見積取得ならびにプレゼンを受ける

12月~1月 理事会で点検業者の比較検討および絞り込みを行う

2月  理事会で総会議案を決定

3月  通常総会で予算執行・発注を決議(発注契約の締結)

アフターサービス期限の2カ月程度前までに、点検業務に着手

例2)3月のアフターサービス期限を前に、臨時総会で発注先まで決めるパターン

8月 理事会で業者への問い合わせ・複数社の見積取得ならびにプレゼンを受ける

9月~10月 理事会で点検業者の比較検討および絞り込みを行う

11月 理事会で総会議案を決定

12月 臨時総会で予算執行・発注を決議(発注契約の締結)

1月  点検業務に着手

※建物の規模によっても異なりますが、最低でも3カ月前(12月)に総会で決議をとっておく必要があるでしょう

アフターサービス活用の意識の高まり

これまでハードルが高いとされてきた2年目のアフターサービス点検ですが、近年お問い合わせは増加傾向にあります。

新築引き渡し時の内覧会で建物のプロ(ホームインスペクター)に同行してもらうことも一般的になり、「新築だからといって完璧な状態とは限らない」という理解が広まったことも関係しているかもしれません。

分譲会社・施工会社による保証は10年までありますが、構造に関わる部分や漏水など致命的な不具合が対象になります。仕上げに関する大部分は2年目が最後のチャンスになりますので、ぜひ有効活用されることをお勧めします。

このタイミングで補修できなかった不具合も、来る最初の大規模修繕工事でマンションの修繕積立金で補修することになります。将来の修繕積立金不足を避けるためにも、施工時の不良はアフターサービス点検でしっかり無償補修してもらいましょう。

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