長嶋修が解説!マンション管理組合における外部専門家の活用とその注意点

  • Update: 2019-11-26
長嶋修が解説!マンション管理組合における外部専門家の活用とその注意点

より住みやすく資産価値を維持できるようなマンションの管理を目指して、はたまた、理事の負担軽減などさまざまな理由で、外部の専門家を活用するマンション管理組合があります。

管理組合内部で人材が見当たらない場合、必要に応じて専門家の知識や経験を活用することは非常に有用です。

中にはそもそも理事のなり手がいないなど、切迫したマンション管理組合もあります。

こうした組合をうまく回すためには、なおさら外部人材の登用は不可欠でしょう。

ここでは、マンション管理組合における外部専門家の活用について解説します。

マンション総合調査に見る専門家の活用

平成30年度マンション総合調査では、41.8%のマンション管理組合で建築士、弁護士、マンション管理士など外部専門家を活用しているという結果になりました。

外部専門家を活用したマンション管理組合によれば、その理由は「大規模修繕等の実施」が最も多く、次いで「知識・ノウハウの不足」、「管理費の滞納等への法的措置」が挙げられました。

選任形式は単発のコンサルティング業務が61.2%と最も多く、外部役員の就任(理事長等への就任)はわずか4.1%。

外部役員についてはまだまだ浸透していないものの、今後の選任の意向については、28.3%のマンションが「検討している」又は「将来必要となれば検討したい」と答えています。

その検討理由としてはやはり、区分所有者の高齢化が37.6%と最も多く、次いで役員のなり手不足(36.5%)が挙げられていました。

管理組合の外部役員の選任・登用について

すでに理事を外部から招聘するスタイルをとっているマンションでは、「理事に議決権を持たせるケース」と「持たせないケース」の両方あるようですが、専門家や管理会社の社員が理事になったり議決権を持つことには、慎重になったほうがいいでしょう。

外部人材の理事登用は利益相反を生まないように、第三者性、客観性が保てるスタンスにとどめるほうが賢明です。

イタリアやフランスのマンション管理では、所有者で構成する「理事会」と「管理者」を分けています。

理事会は監査機関的な役割を担い、執行機関である管理者の業務を監督・監査するイメージです。

この管理者の中にフランスでは8割、イタリアでは4割程度の外部専門家が存在します。

外部専門家をマンション管理組合の役員として選任する3つのパターン

2016年のマンション管理標準規約改正では、「外部専門家を役員として選任できることとする場合」として、標準管理規約に条文案が記載されており、第三者管理方式について、以下の3つのパターンを想定しています。

①理事・監事外部専門家型

従来の通り所有者で構成される理事会役員に、外部専門家を入れる方式です。

運営不全に陥っている現状を改善したいマンションや大規模修繕、耐震改修、建て替え等に際し、専門的な知見が必要なケースなどに向いています。

②外部管理者理事会監督型

外部専門家を区分所有法上の「管理者」として選任、理事会は管理者を監視する役目になります。

管理者は「執行者」、理事会は「監視」、総会は「意思決定」と、分担や責任が明確化されます。

管理費滞納回収や反社会的勢力、被災などへの対応に向いています。

③外部管理者総会監督型

外部専門家を区分所有法上の「管理者」として選任します。

理事会は設けず、区分所有者から選任された「監事」が管理者を監視します。

この際には監査法人等の外部監査を義務付けます。

規模の小さいマンションや理事長のなり手がいない例外的なケースが想定されます。

外部専門家を選任する際の注意点

いずれの場合も、外部管理者の選任や解任規定外部管理者が行う取引の健全性をどう確保するのかなどの課題が残ります。

まず、依頼する外部専門家の能力について。

管理者には、清掃や植栽など日常的な管理に関する知識はもちろん、修繕など建物に関する知識、会計・税務に関する知識、管理費滞納や住民トラブル解決など法的知識まで、広範な知識が求められます。

これらすべて対応できる専門家を探すのは、簡単なことではありません。

管理組合の運営はコツコツとノウハウを積み上げながら進んでいく息の長い取り組みですが、個人や小規模組織の専門家が役員に就任した場合、辞退や担当が変わるなど、継続性についてのリスクがあるでしょう。

また専門家がミスや横領などの犯罪を犯した場合には賠償を求めることになりますが、そうした補償負担の体力があるかといった点も考慮が必要でしょう。

さらに管理会社が管理者に就任する場合、管理会社としては売上や利益を追求する一方で、区分所有者の便益を最大化しなければならないというトレードオフが生じます。

管理組合の運営手法を検討するうちに、結果として現行の方式で進めることになるかもしれませんが、マンション管理は、自分たちが主体的に行うにせよ、専門家に任せるにせよ、組合に「時間+能力+やる気」もしくは「お金」があるか、どちらかを満たさないと成立しません。

皆さんでよく話し合って、最適な道を選択していただければと思います。

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