マンションの駐車場の空き問題、どう解決?

  • Update: 2019-01-16
マンションの駐車場の空き問題、どう解決?
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株式会社さくら事務所

この記事はマンション管理士/一級建築士などの専門家が監修しています

近年、都心部を中心に、マンションの駐車場の空きに悩むマンション管理組合が増えています。

若者のクルマ離れ、居住者の高齢化、カーシェアリングの普及なども影響しているのでしょう。

参考までに「新築分譲マンションの駐車場設置率」を見てみると、ここ数年の駐車場へのニーズが見て取れます。

不動産経済研究所によれば、新築分譲マンションの駐車場設置率は年々下がり続けています。

首都圏マンションでは平成19年の77.3%をピークに低下しており、平成29年(1~6月)は42.2%にまで落ち込みました。

23区では平成28年の設置率は28.9%とついに3割以下という数字になっています。

駐車場ニーズに変化があるのは明らかですので、築10年前後のマンションで駐車場に多くの空きが出ているのも致し方ないことなのかもしれません。

とはいえ、「時代が変わったからしょうがない」とばかりも言っていられません。

駐車場の空きがマンションの財政を脅かす?

分譲マンションの場合、駐車場の「空き」はそのままお金の問題に繋がります。

修繕積立金や管理費と同様に、その駐車料の利用料もマンションの大事な財源の一つですので、思うように稼働せず、想定の駐車場使用料が得られなければ、管理組合の収入減です。

本来、駐車場の使用料は駐車場のメンテナンス費用として見込まれ、更に一部は修繕積立金に加えるもので、そもそも使用料で駐車場自体のメンテナンスの費用を賄うこともできなければ、管理費会計から持ち出しになってしまいます。

とはいえ、いくら稼働していないからといっても機械式駐車場のメンテナンスや将来的に必要となる交換費用を無視するわけにはいきません。

機械式駐車場の場合にはメンテナンス費用・交換費用は高額ですので、空きスペースの増加は今後のマンション全体の管理組合の収支にも大きく影響するかもしれません。

駐車場の外部貸しとは?その注意点

そんな中、マンションの駐車場の空きスペースを、外部に貸し出すマンションもあります。「駐車場の外部貸し」です。

本来、マンションの所有者が使う駐車場の空き区画を、外部の人に使ってもらい少しでも赤字を減らしましょう、という考え方によるものです。

とはいえ、外部貸しにもいくつか注意が必要です。

駐車場の外部貸しを行なう際に、検討すべきポイントを4つご紹介します。

①外部の人が敷地内に出入りすることに

外部の方に貸すということは、つまり、敷地内に居住者以外の方の出入りが増えるということになります。

お住まいの方の中には、そこに抵抗を感じるかたもいらっしゃるでしょう。

中には、「セキュリティを求めてマンションにしたのに・・・」という声もあがるかもしれません。

②管理会社にお任せしよう?

「管理会社にお任せすればやってくれるでしょう」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、契約しているマンションの管理会社が、外部利用者との契約などの事務を代行してくれるケースはほとんどありません。

手続きは不動産業者などに代行してもらうのが現実的です。

③サブリースでお任せ?収益は?

利用者の確保も含め一括して業者に任せ、一定の料金を業者から受け取るサブリース。

契約者との煩雑な手続きなど、事務作業が減るのが大きなメリットです。

ですがその分、受け取る賃料は一般的な駐車場賃料相場の4割程度に。

収益性を考えるか、手間を掛けずに一定の安定した収入を取るか、十分な検討が必要でしょう。

④事業税はかかる?かからない?

基本的にマンションに付属している駐車場は、居住者の利用を目的としており、その使用料は駐車場の管理や修繕に充てられ使途が限定されていることから非課税となっています。

ところが、外部の方に広く貸し出す場合、街中の月極駐車場と同じく収益事業と解釈され、得られた収益に応じて一般企業と同様に事業税などが課せられます。

また、契約の仕方(貸し出す条件)によって課税される対象が異なりますので、注意が必要です。

駐車場の空き、「外部貸し」だけが解決法ではない

外部に貸し出すことで収入を得て、管理組合の財源を安定させることができますが、上記のような注意点もあることから、充分に話し合いを重ねて方針を決めることをお勧めします。

また、駐車場の空き問題(使用料の収入減)の解決法は、「外部貸し」だけではありません。

「使用料を値下げして、居住者にもっと使ってもらいやすいようにする」「機械式駐車場を一部撤去して平置きに変更する」「駐車場の保守管理業者を変更してコストを削減する」など他にも方法があります。

他のマンションの解決事例を知る専門家から、提案をうけてみてもいいでしょう。

土屋 輝之
監修者

土屋 輝之

2003年さくら事務所に参画、不動産仲介から新築マンション販売センター長を経る間に、不動産売買及び 運用コンサルティング、マンション管理組合の運営コンサルティングなどを幅広く長年にわたって経験。不動産、建築関連資格も数多く保持し、深い知識と経験を織り込んだコンサルティングで支持される不動産売買とマンション管理のスペシャリスト

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ホームインスペクション(住宅診断)をはじめとする個人向け不動産コンサルティングや管理組合向けコンサルティングを行っている。400を超えるマンション管理組合のコンサルティング実績をもち、大規模修繕工事や長期修繕計画の見直し、瑕疵トラブルなどの管理組合サポートサービスを提供している。

【監修】さくら事務所マンション管理コンサルタント(マンション管理士)

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