長嶋修が解説!マンション総合調査発表、データから見るマンションの未来

  • Update: 2019-05-01
長嶋修が解説!マンション総合調査発表、データから見るマンションの未来
nagashima
さくら事務所 長嶋修

先日、「平成30年度マンション総合調査」が国土交通省から発表されました。

発表によれば、国内の中古マンションストック数は約644.1万戸にも上ります。

マンションの居住人口は約1,501万人と推計され、今や10人に1人がマンション住まいという計算になります。

近年、生活スタイルの変化などによりマンションに対する住宅としてのニーズや考え方は大きく変化しました。

今回発表された最新の数字も交え、今後のマンションを取り巻く環境やその背景を、さくら事務所創業者会長で不動産コンサルタントの長嶋修が解説します。

マンションは「一時的な住まい」から「永住するもの」に

一戸建てに住む前の「一時的な住まい」だったマンション

かつてマンションは、住宅すごろくの中で一戸建てに住む一つ手前、「一時的な住まい」という位置づけでした。

また、高度成長期からしばらくの間は「一戸建てに手を出せない人が買うもの」という感覚も根強く残っていました。

しかし、いつの間にかそうした感覚はなくなり、現在では、永住するための住まいとして確固たる位置づけにあります。

マンション総合調査では「永住するつもり」が過去最高に

「マンション総合調査」を見てみると、データからもマンションへの永住意識の変化が見て取れます。

昭和55年度には、マンションに「永住するつもり」だと答えた人の割合が21.7%だったのに対して、「いずれは住み替えるつもり」と答えた人の割合は57.0%。

しかしその後の調査では、「住み替える意思」は減り続け、対してマンションに対する永住意識は一貫して伸び続けます。

ついに平成11年度に逆転し、「いずれは住み替えるつもり」であるとした回答が31.5%に対して「永住するつもり」という回答が39.0%となりました。

この傾向はその後も続き、先日発表された最新の調査では「いずれは住み替えるつもり」という回答が17.1%に留まったのに対し、「永住するつもりである」との回答が62.8%と過去最高となりました。

また、マンションの永住意識は、年齢が高くなるほど高くなる傾向も見て取れます。

データに見るマンションの老朽化、高齢化

同じく、マンション総合調査によれば、国内のマンションストックののうち、その約1割にあたる72.9万戸が築40年を超えていました。

この数は、10年後には約2.5倍の184.9万戸、 20年後には約5倍の351.9万戸となる見込みといわれています。

多くのマンションがこれから、建物の本格的な老朽化を向かい合うことになるでしょう。

また、マンション世帯主の年齢はどうでしょうか?

60歳代が27%と最も多く、50代、70代、40代と続きます。

30歳代は5年前の前回の調査と比較して。7.8%から7.1%へと減少している一方で、70歳代以上は18.9%から22.2%と増加しており、マンション居住者の高齢化が見て取れます。

日本はこれから本格的な人口減少、少子高齢化の時代を迎えます。

高齢化に伴い所得も減る一方で、マンションでは修繕積立金が不足し、建物の修繕も管理もおろそかになり、ボロボロになっていくマンションも増えるでしょう。

建て替えをしようにも、一部のマンションを除き、大半のマンションでは建て替えも不可能です。

今後、無価値あるいはマイナス価値になり、スラム化するマンションが増加していくことも予想されます。

空き家率過去最高を記録した「住宅・土地統計調査」

空き家率13.6%は過去最高

同じく4月、総務省が公表した「平成30年住宅・土地統計調査」では、国内の空き家数(846万戸)が話題になりました。

空き家率(総住宅数に占める空き家の割合)は、13.6%と過去最高です。

先進諸外国に比べてもドイツで1%程度、イギリスで3%弱、シンガポールは5%程度、国土の広いアメリカでも11%程度と、日本は特に高い空き家率になっています。

空き家増加によっておこる問題

空き家は少なければ少ないほどいいというものでもありません。

空き家がゼロであれば、仕事や結婚、進学などにともなう引っ越しもできず、災害時の住居といった機動的な運用もできないからです。

ある研究によれば、適正な空き家率は4.8%程度であると言われていますが、そこから考えてみても、やはり日本はかなり高い空き家率になります。

実際に空き家が増加することで、どのような問題が起きるのでしょうか?

まず考えなくてはならないのが地域に与える「外部不経済」

空家が放置されたままになっていると、倒壊の危険性や不審火による火災、犯罪の温床になる可能性も出できますし、虫やネズミといった生物の発生源になることもあります。

これらの問題は、周辺の不動産価値にも影響をもたらすでしょう。

また、これからの人口減少を踏まえ、行政サービスも効率化・縮小化していく必要がありますが、空き家が点在していれば、上下水道などのインフラ修繕といったサービス効率も悪く、税収も減少し、財政にも影響を及ぼします。

国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、日本国内の人口はこれから加速度的に減少していきます。

2015年に1億2709万人だった人口は、50年後の2065年には8808万人と、3900万人も減少するとされているのです。

人口減少の影響も受け、本格的に空き家が増えていくのはこれからでしょう。

空き家増加の背景にある、新築頼みの政策

景気対策の一環としての住宅政策

国内の空き家の増加の原因は、人口減少・世帯減少だけではありません。

国の住宅政策にも大きな問題があると言えるでしょう。

OECD加盟国の多くは、住宅の総量に関する目安や供給目標といった指標を持って政策を行っています。

中長期の目標に合わせて、税制や金融をコントロールして、自治体レベルにまで落とし込んで、住宅総量を管理しながら都市計画づくりがなされるのが一般的です。

しかし日本では、こうした総量をコントロールする目安が一切なく、ただ単に景気対策の一環として住宅政策が行われてきました。

全体的な総量管理を誰も行うことなく、景気対策として新築住居促進政策が行われてきた結果、空き家を量産するかたちとなってしまったのです。

今後問題になるのは「マンションの空き家」

今までの空き家問題は一戸建てがその話題の中心でしたが、今後はマンションの問題が表面化してくるでしょう。

特に共有住宅であるマンションは、個人の意思での修繕や改修は難しいですし、解体なのど処分も難航するでしょう。

先に挙げた、建物の老朽化や居住者の高齢化に、空き家の増加も重なり、スラム化したマンションが国内で増えていくでしょう。

資産価値も大きく下がり、無価値あるいはマイナス価値となり、市場での取引も難しくなります。


いかがでしたでしょうか?

これからの時代、上に挙げたような「無価値、マイナス価値のマンション」と「資産価値を維持し、市場で活発に取引されるマンション」の二極化が進むと思われます。

では、選ばれるマンションであるために、マンション管理組合は何に取り組んでいけばいいのか?

マンションの未来と併せて、これから数回に分けて解説していきます。

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