マンションのセキュリティはここをチェック!危険なポイントや対策とは

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マンションのセキュリティはここをチェック!危険なポイントや対策とは

マンションには防犯カメラやオートロックなど、さまざまな防犯設備があります。セキュリティ重視でマンション選びをしている方は、設備の有無だけでなく、いかに効果的な方法でセキュリティ対策されているのかも要チェックです。

本記事では、マンションのセキュリティの種類に加えて「どのようなオートロックだと防犯性が高いのか」「防犯カメラはどこに設置してあると効果的なのか」といった、より効果的な対策ができているマンションの特徴について解説します。

また自分でできるセキュリティ対策も紹介するので、防犯対策を強化したいマンション居住者の方もぜひ参考にしてください。

マンションのセキュリティでチェックすべきポイント

セキュリティが高いマンションか判断するためには、以下9つのポイントをチェックしましょう。

・部外者が侵入しにくいオートロックが採用されている
・複製されにくい鍵が採用されている
・防犯カメラが複数個所に設置されている
・モニター付きインターホンが付いている
・防犯ガラスが採用されている
・エレベーターの防犯性が高い
・集合郵便受けが外から開けられない
・24時間管理人が常駐している
・セキュリティシステムに加入している

順に解説します。

(1)部外者が侵入しにくいオートロックが採用されている

ピッキングや複製しにくい「非接触キー式」や「生体認証式」のオートロックは防犯性が高いです。

非接触キー式は、ICチップが埋め込まれた鍵をセンサーにかざし解錠するタイプで、カード型の鍵もあります。
生体認証は登録された顔や指紋で解錠するため、鍵の紛失や複製のリスクがありません。

住戸の鍵でオートロックも解錠できる「集合キー式」や番号を入力して解錠する「暗証番号式」は、複製されたり暗証番号を知られたりする危険性があります。

(2)複製されにくい鍵が採用されている

セキュリティの高い鍵は、ディンプルキーやキーレス錠です。

ディンプルキーとは鍵の表面に複数の丸いくぼみがついており、一般的な鍵よりも複製されにくくなっています。
キーレス錠は鍵穴がない非接触キーのことです。オートロックだけでなく個別の住戸に関してもキーレス錠が採用されているマンションもあります。

また、玄関ドアの上部と下部に1つずつ、計2つの鍵が付いているダブルロックも防犯対策に効果的です。

(3)防犯カメラが複数個所に設置されている

防犯カメラの数が多いほどセキュリティが高くなります。とくに有効な設置場所は以下の7か所です。

・エントランス
・エレベーター
・共用廊下
・非常階段
・裏口
・駐車場
・駐輪場

とくにエントランスには、死角がないように複数台設置されているのが理想です。

ダミーの防犯カメラを設置しているマンションもあります。抑止力にはなりますが犯人特定には使えません。入居後、設置している防犯カメラが本物か確認しておきましょう。

(4)モニター付きインターホンが付いている

モニター付きインターホンが付いていれば訪問者の顔が見えるため、不審者が来たときに解錠せずに済みます。録画や録音できる高機能なモニター付きインターホンだとより安心できるでしょう。

モニター付きインターホンの機能は、見ただけでは分かりません。本体に記載されている品番で取扱説明書を調べたり、管理会社や管理組合に聞いたりして確かめましょう。

(5)防犯ガラスが採用されている

合わせガラスなどの割れにくい防犯ガラスは、割るのに時間がかかるため、窓を割って住戸に侵入してくるのを抑止できます。

合わせガラスは2枚のガラスの間に特殊フィルムが挟まっているガラスです。
ガラスにひびが入ったとしても、フィルムがあることでモノが貫通しにくくなっています。台風の飛散物による被害を受けにくいのも利点です。

防犯性の高い合わせガラスには「防犯ガラス」と記載されているシールが貼られているものもあります。

(6)エレベーターの防犯性が高い

セキュリティがしっかりしているマンションは、居住者のなかでもエレベーターを利用できる人を限定しています。

たとえば号室によって使えるエレベーターが違ったり、関係のないフロアの階数ボタンを押しても反応しない仕様であったり、オートロックや自宅の玄関の鍵とは別のエレベーター専用キーがあったりなどです。

エントランスに不審者が侵入できたとしても、目的の部屋までスムーズに辿り着かないように工夫されています。

(7)集合郵便受けが外から開けられない

エントランスにある集合郵便受けが、外から開けられる構造や外から見られる配置になっていないかもチェックしましょう。

外部から郵便ポストを開けられたり隙間から郵便物を取り出されたりすると、郵便物の宛名から個人を特定される危険性があります。

郵便受けを開けるところを見られる配置の場合は、何号室に住んでいるか容易に知られてしまうため注意が必要です。

(8)24時間管理人が常駐している

管理人が24時間常駐しているマンションは、常に監視の目があるため不審者に狙われにくいです。

管理人が24時間体制でない場合は、管理人がいる曜日や時間帯を聞いておきましょう。仕事などで不在にしがちな曜日や時間帯に管理人が勤務していれば、24時間常駐していなくても、セキュリティ効果は高いといえます。

(9)セキュリティシステムに加入している

防犯意識が高いマンションでは、マンション全体でセキュリティシステムに加入しているケースもあります。セキュリティシステムとは、警備会社と連携し、不法侵入などの犯罪を防ぐシステムです。

セキュリティシステムに加入しているマンションは、バルコニーや窓に防犯センサーが設置されており、不審者の侵入を感知すると警備会社が駆け付けます。

個人でできるマンションのセキュリティ対策

マンションの設備に頼るだけでなく、個人でセキュリティ対策することも大切です。

個人でできる以下7つのセキュリティ対策について紹介します。
・窓やドアはすべて施錠する
・補助鍵を付ける
・サムターンカバーやドアカバーを付ける
・合鍵の管理に気を付ける
・窓に防犯フィルムを貼る
・窓用防犯ブザーを取付ける
・長期間不在にするときは郵便を停止する

順にみていきましょう。

(1)窓やドアはすべて施錠する

基本的なことですが、すべての窓やドアを忘れずに施錠することは最大の防犯対策です。

警察庁が公表している「令和4年の刑法犯に関する統計資料」によると、共同住宅の侵入窃盗では、空き巣がもっとも多くなっています。

そして下記の表からわかるとおり、共同住宅の空き巣において圧倒的に多い侵入手段が、鍵を閉めていないことによる表出入口からの侵入です。

出典:警察庁「令和4年の刑法犯に関する統計資料 図表:2-2-1-5(発生場所・侵入口・侵入手段別空き巣・忍込み・居空き認知件数 R4)」

戸締りに細心の注意を払っていれば空き巣被害の大半が避けられたのです。

(2)補助鍵を付ける

ドアや窓ガラスに補助鍵を付けておくのも効果的です。鍵を増やすことで侵入までの時間を稼げます。

補助鍵は高性能なものでなくても構いません。とくに窓は外から補助鍵が付いていることが見えるだけで、防犯意識の高さをアピールできます。

空き巣に狙われたら巧妙な手口により高確率で侵入されるため、標的にされない部屋にすることが大切です。

(3)サムターンカバーやドアカバーを付ける

サムターンカバーやドアカバーを付ければ、鍵を開けて侵入されるのを防げます。

サムターンカバーとは、室内側の玄関ドアのつまみに取り付けるものです。サムターンカバーを付けることでドアのつまみが回らなくなります。

ドアカバーは玄関ドアの隙間を塞ぐものです。ドアの隙間から細い棒などを入れてサムターンを回して解錠されるのを避けられます。

(4)合鍵の管理に気を付ける

合鍵は本当に必要な数だけ用意して、管理に気をつけてください。合鍵を玄関の目につきやすい場所に置いていたりポストに入れておいたりするのは危険です。

鍵に彫り込まれている番号や記号だけで容易に複製できる鍵もあります。子どもに持たせるときは「合鍵は人に見せない」など家庭内でルールを決めておくとよいでしょう。

(5)窓に防犯フィルムを貼る

窓に防犯フィルムを貼れば防犯性の高い窓ガラスでなくても、ガラスの強度を上げられます。

警視庁の調査によると、表出入り口についで2番目に多い侵入口が窓です。窓は施錠忘れと同じくらいガラス破りによる侵入も多くなっています。

防犯フィルムなら防犯ガラスに交換する必要がないため、手軽にできるセキュリティ対策といえるでしょう。

(6)窓用防犯ブザーを取り付ける

市販されている窓用防犯ブザーの取り付けも有効なセキュリティ対策です。

窓に衝撃が与えられたときに作動する衝撃検知型や、窓が開いたときに知らせる開放検知型、衝撃と開閉どちらにも対応している衝撃開放検知型があります。

衝撃検知型は本体ひとつを設置すればよいため、前や後ろに押し開けるタイプの窓でも設置可能です。横にスライドして開けるタイプの窓には親機と子機を設置する開放検知型が向いています。

窓のタイプに合わせて選びましょう。

(7)長期間不在にするときは郵便を停止する

長期間不在にするときは郵便を一時的に停止しておきましょう。
郵便受けに郵便物が溜まっているのを見られると、長期的に不在にしていることがわかり狙われやすくなります。

また、郵便受けに入りきらなかったチラシが床に溜まると、留守を知られるだけでなく放火の危険性もあります。可能であれば、友人などに定期的に訪問し破棄してもらいましょう。

管理組合の許可が必要なセキュリティ対策

マンションは、戸建てと違い勝手にやってはいけないセキュリティ対策があります。とくに注意すべきなのが、専用使用部分です。

専用使用部分とは、特定の区分所有者のみが使う共用部分を指します。たとえば以下3つのセキュリティ対策は管理組合の許可なしにはおこなえません。

・鍵の変更
・防犯ガラスへの変更
・テレビ付インターホンへの変更

破損や不具合により交換が必要な場合もありますが、現状と同レベルのものにするなど規定があることも。共用部分を変更するときは、総会で決議しマンション全体で改修工事をするのが一般的です。

セキュリティが心配なマンションの特徴

防犯重視の方は下記のようなマンションは避けたほうがよいでしょう。

・低層マンションまたは低層階の部屋
・共用部分の管理が行き届いていない
・窓周りに足場となる木や塀などがある
・人通りが少ない立地にある

居住中のマンションが該当している場合は、自分でできるセキュリティ対策を強化しておくと安心です。

セキュリティが心配なマンションの特徴を順に解説します。

(1)低層マンションまたは低層階の部屋

出典:警察庁「令和4年の刑法犯に関する統計資料 図表:2-2-1-2(住宅を発生場所とする侵入窃盗の手口・住宅形態別認知件数)」

4階建て以上よりも3階建て以下の共同住宅のほうが全項目で認知件数が多くなっていることから、低層の住宅のほうが犯罪に巻き込まれる可能性が高いと判断できます。

4階以上だからといって安心できるわけではありませんが、窓から侵入しやすくマンション内の滞在時間も少なく済む低層階は、高層階に比べ侵入のハードルが低いのです。

(2)共用部分の管理が行き届いていない

共用部分の管理が行き届いていないマンションは、狙われやすくなります。エントランス・集合郵便受け・駐輪場・ゴミ庫などは、外からも見えやすく管理状態を見極められるポイントです。

きちんと清掃されていなかったり煩雑な状態だったりすると、管理が不十分で防犯意識が低いマンションと判断されます。「管理人がいるのか」「週に何回清掃業者が入っているのか」など、マンションの管理状態を確認しておきましょう。

(3)窓周りに足場となる木や塀などがある

窓周りに足場となる木や塀などがあると、窓からの侵入を容易にします。居室の窓から足場にできるようなものがないか、チェックしましょう。

窓から侵入しやすい状況にあるときは、窓の締め忘れに気を付け、防犯ブザーなどで対策することをおすすめします。

(4)人通りが少ない立地にある

人通りが少ない立地にあるマンションは、不審者がいても気づかれにくいため犯罪をおかすには好都合です。

日中だけでなく夜間の人通りも考えて立地を検討しましょう。
たとえば、大きい公園がそばにあると日中は賑わいますが夜間は静まり返り、人目に付きにくくなります。

またエントランスが大きい通りに面していなかったり、窓が木などの陰になっていたりするマンションも注意しましょう。

セキュリティが充実したマンションで安心して過ごそう

マンションには、オートロックや防犯カメラ、24時間常駐している管理人などさまざまなセキュリティ対策がしてあります。

共用部分は自由に変更できないからこそ、セキュリティの充実度を見極めマンション選びをすることが大切です。居住中のマンションのセキュリティが心配な場合は、補助鍵や窓用防犯ブザーなどを活用すれば、防犯対策を強化することができるでしょう。

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