高額な補修が必要な外壁タイルの剥離の理由

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外壁タイルの割れ、浮き、剥離を防ぐための「伸縮目地」

建物に地震など外からの力が加わったたり、温湿度によってコンクリートや下地モルタルに伸縮が起こると、タイルと躯体、モルタルは、それぞれ異なった動きをします。

この動きによって、タイル表面に応力が生じ、タイルの割れや剥がれにつながるのを防ぐため、あらかじめ躯体に入れられた切り込みを伸縮目地と言います。

これによって、タイル表面に生じる応力を、目地部分で吸収させることができます。

建物の外観を眺めると、規則的なタイルの細い目地に混ざって、少し太めの幅の目地が見られます。これが伸縮目地です。

混同されて用いられることもありますが、似たような目地にもう一つ、ひび割れ誘発目地というものもあります。

こちらは構造躯体に生じるひび割れを集中させる目的で設けられるもので、厳密に言うと、若干の違いがありますが、設置される位置関係上、兼用される場合もあります。

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伸縮目地

おおよそ、面積が10㎡以内となるように壁面に設けられます。

マンションの階高(スラブ-スラブ間の高さ)は約3mですので、一般的に3m間隔で入っています。

また、柱型の周囲に設けられるもの、各階の床コンクリートの打継部分、開口部周り、これらはひび割れ誘発と伸縮の役目を兼ねて設けられます。

伸縮目地の不具合、部分的なものなのか?そもそも施工方法に問題が?

タイルの剥離原因は様々ですが、伸縮目地が入っていないというケースも多く見受けられます。

例えば、柱と梁の接合部のタイルを剥がしてみると、コンクリート躯体にひび割れが発生していた場合、そこに応力が集中したことが分かります。

コンクリートの動きにタイルが追従できず、タイル剥離が起きているのです。

伸縮目地は、コンクリート打設時に型枠に目地棒を挿入して作ります。(型枠を脱型したときに切り込みができる仕組みです)

ところが、仕上げの段階で、この切り込みをモルタルで埋めてしまっているケースも見受けられます。

そして、伸縮目地が取られないまま、タイルが連続して貼られてしまっていると、タイル表面に応力が生じ、剥離を引き起こしてしまいます。

部分的に入れ忘れていた、などであれば、比較的容易に補修も可能ですが、マンション全体として、誤った施工がなされていると、実際には補修はかなり困難かつ高額な費用を要することになります。


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