
10年目の劣化診断はアフターサービスを意識する
大規模修繕工事の前には、必ず劣化診断が行われます。工事の規模や予定、予算額を想定するためです。 1回目の大規模修繕工事の際は、この劣化診断を10年目に行うことをお勧めしています。 「10年目」は、大変重要な年です。雨漏りや主要構造部のひび割れなど、特定の不具合事象を売主に補修請求できるアフターサービスの期限の年なのです。 ※アフターサービスについては「アフターサービスの有効活用と修繕積立金の節約術」をご覧ください。 10年目に劣化診断を実施する場合でも、アフターサービス対象項目を意識した診断にはなっていないことがあります。 雨漏りの疑いがある住戸はないかなど、アフターサービスを意識した調査が行われるようにしたいものです。 診断結果の中に、売主にアフターサービスの範囲で補修を依頼すべき項目があるかどうかを管理組合で検証しましょう。
施工会社などの選定は管理組合の「性格」を十分に考慮する
劣化診断や工事、監理などは、管理会社の工事部門に一括して任せる(設計施工方式・責任施工方式)ことも、それぞれを異なる会社に任せる(工事監理方式・設計監理方式)こともできます。委託する施工会社などの選定にあたっては、それぞれ特性を、よく理解しておくことが大切です。 さらにポイントとしては、組合運営を通し「細かな検証のうえでものごとを決めようとする人」が多いのか、「大まかなポイントが把握できれば信頼できる業者に任せたいと思う人」が多いのかなど、管理組合の特性を見極めましょう。 ある管理組合には適した発注方式であっても、自身の管理組合には合わないこともあるのです。 管理組合の性格や重視しているポイントを考慮し、施工会社や発注方式を決めましょう。
工事の適性価格を知れば適切な金額で発注できる
まずは見積もりを施工会社などに依頼しますが、基本的には必要な工事金額よりも高めに出てきます。そこで、見積金額削減のために複数の会社から見積もりを取ることがありますが、相見積もりだけでは大幅な削減は期待できません。また逆に、見積金額が非常に安い場合には、格安料金の代わりに、安価で耐久性が低い材料を使う可能性もあります。 工事の品質を下げずに大幅なコスト削減をはかるにはどうしたらいいのか?それは、管理組合が施工会社と同等の建築コストの知識を得ることです。 現在の建築資材や施工費の単価とかけ離れていないか、必要のない工事が計上されていないかなどを細かく精査し、適切な価格を把握していれば価格交渉ができます。 多くの方にとって工事発注は慣れないことですが、数千~億単位のお金が動きますので、管理組合が専門性を高め、「根拠ある金額」を知り、納得のうえで工事を発注しましょう。